板根 の 実態

2003年にセネガルで 初めて「パンヤノキ」の巨大な板根を見て以来、いくつかの木を目にしてきた。
 
ダカール市内 Seiba pentandra

板根(buttress root)は、地表を横に伸びる根の「背面」全体が肥大して、屏風のようになったもので、熱帯雨林や湿地帯などで 地中に酸素が乏しい場所で生じることが多い と説明されている。
 
ボゴール植物園 Koompassia excelsa

 
シンガポール植物園 Seiba pentandra

 

また、高木では「板根が木の倒壊を防ぐ役目もある」という説明も見受けられる。
 
ボゴール植物園
Shorea の一種 Canarium の一種

ところが、
「板根の下側は土の中にはほとんど伸びておらず、下端で水平に切れている」とある。 『園芸・植物 用語事典』

本当に そうなのか?
まさか掘ってみるわけにもいかず 気になっていたが、2つの事例で、これが事実に近いことが判明した。
 

Schizolobium parahyba イエロー・ジャカランダ(仮名)

タイ、シリキット植物園。斜面に生えている木に板根があり、その根の下側が見えていた。 少し 土をどけてみると・・・・。
 
イエロー・ジャカランダ(仮名)

 
確かに下端は土の中には伸びておらず、「普通の根」に相当するものが所々から生えている。

理屈からしても、全くの「三角形」では、板根自身の栄養補給ができないので、少なくとも先端は地中に伸びているはずである。
 

Canarium indicum

ボゴール植物園の 第二カナリウム通りで何本も見かけた板根である。
 
Canarium indicum



 まさに、フライング・バットレス。
気根のような形で高い位置から出た根が発達したものか、土が流されて地盤が下がったか・・・。 恐らく 前者だろう。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press
      植物學名辞典/ 牧野富太郎、清水藤太郎
      Catalogue of Life 2009/ITIS
      GRIN Taxonomy for Plants / USDA, ARS
      Wikipedia
      園芸・植物 用語事典/ 土橋 豊
      植物用語事典/ 清水建美
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