裸名 nomen nudum について | ||
フイリゲットウ Alpinia sanderae の命名者は、hort. Sandder となっており、通常の人名とは異なっている。 この hort. は Hortorum (庭園の) あるいは Hortulanorum (園芸家の) の略で、命名規約に基づかない名前であることを示している。 フイリゲットウの場合は、hort. の後に固有名詞が続いており、horti Sander & Co. (19c.後期〜20c.前期) の略称である。園芸店や種苗園のカタログに載った例などであり、これも正式名称ではない。 |
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国際植物命名規約で有効な名前とするためには、以下のような条件が必要となる。 @ ラテン語で植物の特徴を記載し、ほかの種との違いも明確にする。 A 基準とする標本を伴う。 B 種や属、目などの「分類階級」に対応した学名を付ける。 C 植物学関係の雑誌などで印刷物として公表する。 |
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学名らしい名前は付いているが、記載内容が不十分な場合には正式な学名とは認められず、「nomen nudum」 (略称 nom. nud. ) が命名者の位置に記載される。 日本語は直訳というか誤訳 ? した「裸名 (ラメイ)」が使われる。 「名前」という言葉に「nude」が付くのは、nude に「無効な」という意味があるためで、「裸」もわからないではないが やはりちょっと 変? 「無効名」とでもすべきであった。 |
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裸名のままの種を探し出し、必要な内容を記載して学会誌など発表すれば、正式な学名となる。 |
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