植物の進化 多心皮群 その1
ー 原始的な植物の特徴、単子葉類以前 ー

離生心皮のうち、初期に分化した原始的な種群を 特に「多心皮類」と呼ぶが、「多心皮」という用語と混同しないように、『植物の世界/朝日百科』に倣って「木本性多心皮群・草本性多心皮群」を使用する。
被子植物の心皮に関しては、
  多心皮 → 単心皮、 離生心皮 → 合生心皮
のように進化(特殊化)したといわれている。つまり原始的な種では、多数の心皮が離生していることになるが、分類上は原始的な位置にある植物でも実際はそう単純ではなく、単心皮や合生心皮の種もあって多種多様である。
これは、原始的な状態のままの種がある一方で、その後に特殊化が進んだためと考えられる。特にハスノハギリ科やクスノキ科では雌しべが1個しかなく、ここで取り上げる多心皮群は存在しない。
以下に単子葉植物以前に分化したとされる、アンボレラ目からクスノキ目までを概観する。

が木本性多心皮群 原始的とされる形質
目・科・属 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数 萼片と花被片
の未分化☆
雌性先熟
無道管
基部被子植物
アンボレラ目、アンボレラ科 不完全心皮 5 ~ 6
B-1 スイレン目、ヒダテラ科 1 無花被
-2  ハゴロモモ科 ○草本性 2 ~ 18
-3  スイレン科 5 ~ 多数 恐らく
-1 アウストロバイレヤ目
 -1  アウストロバイレヤ科 多数
 -2  トリメニア科 (○) 1(まれに2)
 -3  マツブサ科 8 ~ 13
目・科・属 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数 萼片と花被片
の未分化☆
雌性先熟
無道管
モクレン類
D-1 カネラ目、カネラ科 1 ~ 5 分化
 -2  シキミモドキ科 不完全心皮 2~10数個 分化
コショウ目
 -1  ドクダミ科、ドクダミ属 3 ~ 4 無花被
 ハンゲショウ属 ○草本生 4 無花被
 -2  コショウ科 無花被
 -3  ウマノスズクサ科 3、6 単花被、分化
 ラクトリス属 3 単花被
F-1 モクレン目、ニクズク科 1 単花被
 -2  モクレン科 雄しべ雌しべ共に多数 1
 -3  デゲネリア科 不完全心皮 1
 -4  ヒマンタンドラ科 多数 合着
 -5  エウポマティア科 多数 合着 恐らく
 -6  バンレイシ科 少数~多数 分化
     モノドラ亜科 分化
G-1 クスノキ目、ロウバイ科 5 ~ 30
 -2  シパルナ科  不 明 (GRINの情報と一致しないため)
 -3  ゴモルテガ科 2、3
 -4  アテロスペルマ科  不 明
 -5  ハスノハギリ科 1
 -6  モニミア科 (○) 数個~多数 (無花被)
 -7  クスノキ科 1 恐らく

アムボレラは1種のみなので別だが、その他は各目とも、多心皮群から進化した種が存在する。何分にも見たことが無い種が多いため、Wikipediaその他の写真の利用が可能なサイト、あるいは古い書籍に頼りながら、できるだけ具体例を挙げていきたい。記載内容に関しては、主に『植物の世界/朝日百科』を参考にしている。
また、岡崎市の基礎生物学研究所の許可をいただき、「陸上植物の進化」のホームページからも写真を借用している。

なお、単子葉植物以降に分化した 離生心皮植物 については、「多心皮群 その2」に掲載する。


 
アンボレラ目、アンボレラ科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:5~6
木本性多心皮群 : アムボレラの雄花

Amborella trichopoda Baill. (1869)

小石川植物園 温室
雌雄異株。集散花序が葉腋につく。残念ながら雌花や果実の写真は撮っていない。右写真では、螺旋状に付いた多数の雄しべがの葯が開き切って、花粉を出し終えている。

温室に掲示されている雌花の写真。

花被片に取り囲まれているため、心皮がたくさんある様子がはっきりしない。柱頭が複数あるようだが、『植物の世界』に記載されているような 5~6個には見えない。

果実。
心皮は花托上に配列しているが、受粉後成熟すると花托が裂けて、個々の心皮が分かれる。
果実の写真提供:基礎生物学研究所
 解説文も同ホームページによる

 
B-2 スイレン目、ハゴロモモ科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:5~6
草本性多心皮群 : ジュンサイ属 ジュンサイ、両性花

Brasenia schreberi J.F. Gmel. ( 1791)  Wikipedia より
スイレン科とは異なり、ハゴロモモ科では雌しべは離生する。花の中央に複数のピンク色の子房が確認できる。萼片・花弁ともに3枚しかないのも、スイレンとは大違い。

 
B-3 スイレン目、スイレン科 単心皮 離生心皮 合生心皮  心皮数:5~多数
合生心皮: スイレン の一種 コウホネの幼果

Nymphaea sp.

Nuphar japonica DC. (1821)
コウホネの写真提供:基礎生物学研究所
スイレン属の子房は中位から下位。心皮は合生しているが花柱は離生。コウホネ属は子房上位。合生した心皮の上部は柱頭盤となる。ともに面生胎座。

 
C-1 アウストロバイレヤ目、
  アウストロバイレヤ科
単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:多数
木本性多心皮群 : アウストロバイレヤ、両性花

Austrobaileya scandens C.T. White (1933)

写真提供:基礎生物学研究所
左 先熟する雌性期:中央に黄色い複数の雌しべがある。
右 雄性期:雄しべが開いて花粉を放出中。内側の仮雄しべが雌しべを取り囲み、自家受粉を防ぐ役割を果たしている。

 

C-2 アウストロバイレヤ目、トリメニア科3 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:1
単心皮 : トリメニア属

Trimenia moorei Philipson (1986)
写真提供:基礎生物学研究所
左:集散花序が腋生する。両性または単性。花径は数ミリ。
右上 雌性先熟:雌しべは1個のはずだが、柱頭は細かく割れているように見える。雄しべはまだ花糸も伸び切っていない。
右下 雄性期:花被片が脱落。柱頭が枯れている。
本種の原産地はオーストラリア東部。

 
C-3 アウストロバイレヤ目、マツブサ科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:8~13
木本性多心皮群 : マツブサ属

Schisandra glabra Rehder (1944)
写真提供:基礎生物学研究所

S. rubriflora Rehder & E.H. Wilson (1913)
 Wikipediaより
上左 S. glabraの雌花:多数の離生心皮(雌しべ)が花托に螺旋状につく。果実の形状は不明。
本属で唯一の北アメリカ原産。

上右 S. rubrifloraの雄花:多数の雄しべが螺旋状につく。

左 チョウセンゴミシ:花托(果実が付いている赤い部分)が線状に伸び、集合果は房状になる。
S. chinensis Baill. (1868) Wikipediaより

木本性多心皮群 : サネカズラ属

Kadsura japonica Dunal (1817)
写真提供:武田コンシューマーヘルスケア株式会社

筆者撮影、京都植物園
左 花と幼果:雌雄同株。中央が雄花、右上の緑色の花が雌花。
右 熟果:花托が丸く肥大して、その表面に果実が付く。黄緑色の点は受精・成長しなかった雌しべの痕跡。

木本性多心皮群 : シキミ属

Illicium anisatum L. (1759)

筆者撮影、小石川植物園
シキミ属ではスイレンのように心皮が輪生状に並ぶ。お互いに癒合しているが、種子散布時にはそれぞれ腹側で裂開することから、離生心皮とされる。


 
モクレン類
D-1 カネラ目 カネラ科 単心皮 離生心皮 合生心皮  心皮数:1~5
合生心皮 : カネラ属 カネラ、両性花

Canella winterana Gaertn. (1788)

左写真の部分拡大、Wikipediaより
『植物の世界/朝日百科』によると「2個の心皮が合生して1室、柱頭は2つに分かれ、雌性先熟。10本の雄しべは合着して子房を取り囲んでいる」。一斉開花ではないため、ひとつの花序に蕾から幼果までが揃っている。

 
D-2 カネラ目 シキミモドキ科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:2~10数個
木本性多心皮群 : シキミモドキ属 シキミモドキ

Tasmannia piperita Miers (1858) 

写真提供:米国コーネル大学 維管束植物ハーバリアム
© Pieter B. Pelser & Julie F. Barcelona
左 雌花:二つ折りになって心皮を構成する大胞子葉の上部が、完全には閉じていない極めて原始的な形態をしている。その上部辺縁の両側が線状の柱頭となっている。
右 幼果:1花に稔る果実は1~3個。心皮の割れ目(腹側)がはっきりと残っている。
両氏の写真は、個人的で非営利な用途の利用は許されている。

 
E-1 コショウ目 ドクダミ科 ハンゲショウ属 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:4
草本性多心皮群 : ハンゲショウ

Saururus chinensis Baill. (1871) 

筑波植物園
ドクダミは3個が基部で合着しているが、本種は4個の心皮が離生している『園芸植物大事典』。 雌しべの詳細な写真は無い。

 
E-3 コショウ目 ウマノスズクサ科 ラクトリス属 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:3
木本性多心皮群 : Lactoris fernandeziana

Lactoris fernandeziana Phil. © lukasmekis

写真提供:iNaturalist オーストラリア
© Matias Adolfo Tobar González
このサイトの写真は、個人的な用途の利用は許されている。
チリの沖合、ファン・フェルナンデス諸島特産の種。APG IIIまでは独立した科だったが、APG IVではウマノスズクサ科に含まれることになった。本種 一種のみ。

Wikipedia より
両性花と単性花があり、葉腋に付く。C の花式図では基部が癒合しているが、シキミと同じように、種子散布時に腹側で裂開するようなので「離生」とされているようだ。

 

F-1 モクレン目 ニクズク科 単心皮? 元は複数心皮の離生心皮か? 合生心皮 心皮数:1
ニクズク

Myristica fragrans Houtt. (1774) シンガポールで

ハワイで
「雌しべは1個だが合生心皮ではなく、(複数あった)1心皮性の離生心皮が1個に減数したものと考えられている『植物の世界/朝日百科』」。
上左 樹形:ハワイ動物園内に植栽されたもの。5m程度だが、8m以上になるそうだ。
上右 雌花:高く遠い位置で咲いていた雌花。合着した花被片は、先で3裂する。シンガポールのマングローブ公園、7月。
下左 幼果:果柄が伸びてぶら下る。明瞭な縫合線がある。
下右 熟果:縫合線で割れる。種子は赤い仮種衣に包まれる。

 
F-2 モクレン目 モクレン科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:1
木本性多心皮群 : モクレン属 シナユリノキ

花軸の周りに多数の雌しべが付く。
一つ一つは単心皮。写真は雌性期。

果実には翼がある

Liriodendron chinense
        小石川植物園

果軸を残してバラバラに落ちた果実

 
F-3 モクレン目、デゲネリア科、デゲネリア属3 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:1
単心皮 : Degeneria vitiensis

Degeneria vitiensis W. Bailey & A. C. Smith (1942)
  図版提供:Alchetron(Free Social Encyclopedia for the World)、図の一部を使用。
系統分類学を勉強する人々にとっては、世界的に有名な種とのこと。そのわけは、D-2 のシキミモドキと同じような不完全心皮をもつためである。ただし、心皮はひとつ。
上図4は花被片と雄しべ群を取り除いた花で、5が雌しべの詳細。子房の3分の2ほどが合着していない。
本種は単型科で、南太平洋のフィジー諸島の特産。

D. vitiensis

写真提供:Flora of the World
左 花:中央に黄色く見えるのは 10個ほどある仮雄しべ。
右 果実:腹側で裂開する。

 
F-4 モクレン目 ヒマンタンドラ科 ガルブリミマ属 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:多数
単型科。『植物の世界/朝日百科』の記述を手掛かりに、Flora of the World に掲載されている写真に説明を加える。
木本性多心皮群 : Galbulimima belgrveana

Galbulimima belgrveana Sprague (1922)

写真提供:すべて Flora of the World
左:蕾(中央)と幼果2個。
右:開花して時間が経った花(上)と開花後間もない花(下)。
花の各器官の構成は、次項のエウポマティア科によく似ている。蕾は、花被片が合着して変形したと考えられている2枚の "カリプトラ" に覆われている。キャップ状のカリプトラが取れると開花となり、まるで花弁のような雄しべ群が開く。
雄しべはまず外側に最も幅の広い仮雄しべがあり、続いて稔生のある雄しべ、更に内側にも数多くの仮雄しべが螺旋状に付く。雌しべ群は中心部で、花托に平面的に並んでいる。

G. belgrveana

© Flora of the World
これらの写真は、蕾を解剖したもの。
左:カリプトラを外し、さらに外側の仮雄しべを外した状態。
  ピンク色の部分が、外向きに付く稔性のある葯。
中:正常な雄しべを外すと内側に多数の仮雄しべがある。
右:仮雄しべをすべて外すと、離生心皮が現れる。


© Flora of the World
離生していた心皮は熟すにしたがって互いに癒着して球形の集合果となる。左写真→右写真の右側→同 左 の順に熟していく。
原産地はオーストラリア北東部からニューギニア、インドネシア。

 
F-5 モクレン目 エウポマティア科 エウポマティア属 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:多数
これも単型科。前掲のヒマンタンドラ科とよく似た花の構造をしている。別の科であるから遺伝子配列がそれなりに異なるのだろうが、形態的に違う点は、仮雄しべが稔性のある雄しべの内側だけにあることと、集合果が平板状で丸くならないこと。
木本性多心皮群 : Eupomatia laurina

Eupomatia laurina Robert Brown (1814)

写真提供:すべて Flora of the World
左 蕾と花の側面、右 蕾の断面。
花は花被片が合着して変形したと考えられている "カリプトラ" に覆われており、これが雄しべ群の基部付近で外れると、開花となる。離生した雌しべ群は花托に平面的に並んでいる。

Eupomatia laurina

© Flora of the World に加筆
左 花の正面、右 花の断面:花被片であるキャップは脱落してしまっており、反り返った雄しべの内側にある多数の仮雄しべが、まるで花弁のように見える。

© Flora of the World
花托上に並んだ幼果。「熟すにしたがって互いに癒着して集合果となる『植物の世界/朝日百科』。」
分布はオーストラリア北東部からニューギニア島

 
F-6 モクレン目 バンレイシ科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:多数
多くの属と2千以上の種がある。そのうち、モノドラ亜科以外は心皮が離生した木本性多心皮群である。
木本性多心皮群 : オウソウカ

Artabotrys hexapetalus Bhandari (1965)
『Flora de Filipinas、 Gran edición Atlas I 』/
  Manuel Blanco / 1880-1883 / p.194

Wikimedia Commons より

熱川 バナナワニ園
開花時の雌しべ群は小さく、離生心皮かどうかを確かめにくいが、1花に複数の果実が紡錘形に育つ。多心皮群であることを知らないと、驚かされる。

モクレン目 バンレイシ科 木本性多心皮群 : トゲバンレイシ

Annona hexapetalus Bhandari (1965)

写真提供:米国コーネル大学 維管束植物ハーバリアム
© P.B. Pelser & J.F. Barcelona に加筆

写真提供:米国コーネル大学 維管束植物ハーバリアム

セネガル ダカール市内
上左 花:肉厚の花被片はなかなか開かない。
上右 花:外花被片2枚、内花被片1枚を取り除いたもの。
下左 花の断面:開花時には心皮は離生している。
下右 果実:成長すると心皮は癒合し表面に花柱が刺状に残る。

 
F-6 モクレン目 バンレイシ科 モノドラ亜科 単心皮 離生心皮 合生心皮  心皮数:?
合生心皮 : モノドラ属 Monodora myristica

Monodora myristica Dunal (1817) Wikipedia より

『Curtis's Botanical Magazine』第58巻 3059図

同図の部分拡大
トゲバンレイシの花とは印象がまったく違う。右下は花被片を取り除いた花だが、いくつの心皮が合生しているのか、事典にも記載が無い。果実は15cmほどの丸い果実には、多数の種子が含まれる。

 
G-1 クスノキ目 ロウバイ科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:多数
木本性多心皮群 : ロウバイ

Chimonanthus praecox Link (1822) 小石川植物園

筑波実験植物園
上左 花:萼片から花弁へと連続的に変化する。
上右 雌性期:雄しべが外側に開く。中央には仮雄しべ群と複数の柱頭が混在している。この後雄性期には雄しべが閉じ、外向きの葯が開く。
下左 幼果:子房は中央位で、成長した花托筒に包まれる。先端の突起は仮雄しべの基部が膨らんだもの。
下右 果実:種子のように見えるひとつひとつが痩果。
  筑波実験植物園で落ちた実を採取したもの。

 
G-3 クスノキ目 ゴモルテガ科 単心皮 離生心皮 合生心皮  心皮数:2または3
合生心皮 : ゴモルテガ属 Gomortega keule

 『Atlas de la historia física y política de Chile』
  / Claudio Gay (1854)



左上、左下 Wikipedia より

Gomortega keule I. M. Johnst. (1924)
チリ中部特産の1科1属1種。高さ15mにもなるそうだ。
借用できる花の写真は見つからなかった。両性花で、6~10枚の未分化の花被片と2~11本の雄しべが螺旋状につく。果実のサイズはプラムぐらいで、ジャムに加工される。

 
G-5 クスノキ目、ハスノハギリ科3 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:1
単心皮:ハスノハギリ属 ハスノハギリ

Flore médicale des Antilles, ou, Traité des plantes usuelles (1822) 143図

Hernandia sonora L. (1753)

左図の一部分
雌雄同株。総苞と雌花は4数性、雄花は3数性という変わり者。小花序単位では中央の雌花が先に咲くので、雌性先熟と言えよう。果実を包む丸い袋は萼ではなく、小苞とのこと。

 
G-6 クスノキ目 モミニア科 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:多数
クスノキ科の隣にあるのが不思議な、変わった花の構造をもつ種群。
木本性多心皮群 : Monimia rotundifolia

左半分:Monimia rotundifolia Thouars (1804)
右半分:M. ovalifolia Thouars (1804)
『Histoire des végétaux recueillis sur les isles de France, La Réunion (Bourbon) et Madagascar』(1804) table 9 Fig.1 より、

雄花:左図の部分拡大

Tambourissa elliptica A. DC. (1868) の雄花
Wikipedia より
左:Monimia rotundifoliaは インド洋レユニオン島原産で、雌雄異株。図中 左上に果実が描かれている。
右上:左図の部分拡大、雄花の詳細。イチジクの花嚢のような蕾が割れて開花となる。花托の内面一面に雄しべがつく。
右下:別属、Tambourissa属の雄花の様子。
木本性多心皮群 : Hedycarya arborea

Hedycarya arborea J. R. Forst. & G. Forst. (1775)
 写真提供:flicer / Field guid :
    Flowerig trees of the world / © epitree

写真提供:米国コーネル大学 維管束植物ハーバリアム © Pieter B. Pelser
両写真とも 個人利用が可能なサイトからの借用。

 
G-7 クスノキ目、クスノキ科3 単心皮 離生心皮 合生心皮 心皮数:1
単心皮 : クスノキ属 クスノキ

Cinnamomum camphora J. Presl (1825)          小石川植物園
クスノキ目は単心皮への変化が進み、多数心皮の種はひとつも無い。内外3輪の花被片はほぼ同じ形で、原始的とされる形質のひとつ、花被片の未分化は残っている。


単子葉植物が分化した後の植物にも多心皮群があり、代表的なのはキンポウゲ科である。
別項の「多心皮群 その2」にまとめる予定。

草本性多心皮類:キンポウゲ科 キンポウゲ属 セリバオウレン

Coptis japanica cv. dissecta 小石川植物園

まるで風車、クルクルと回りそうだ

小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ