アオキ 青木 
Aucuba japonica Thunb. (1783)
APG分類: ガリア科 Garryaceae
  または アオキ科 Aucubaceae
旧科名 :  ミズキ科 Cornaceae
属 名 : アオキ属 Aucuba Thunb. (1783)
中国名 : 青木 qing mu
桃叶珊瑚 属 tao ye shan hu
原産地 : 北海道から沖縄まで
用 途 : 雌雄異株で 赤い実の生る雌株が庭に植えられる。 オレンジや黄色もあるようだ。
葉に黄色い斑のはいった様々な園芸品種がある。

アオキは繁殖力が強く、日陰でも育つ。 鳥が食べた種がばらまかれるためか、園内いたる所に生えてきて 増殖している。

             @ : ラクウショウの隣の アオキ       2011.1.5
普通は高さ 2m程度だが、左のものは 3m にもなっている。

                  A : 樹 形            2011.1.5
上の段奥の東屋の近く。 赤い実が生っている。

2006.10.29    根元                   葉     2011.1.5
葉には大きな鋸歯(ギザギザ)があり、薄手でツヤがある。
斑入り種
板橋区熱帯環境植物館

2011年のアオキの芽出しから 開花 結実まで。 ただし、同じ木を追いかけたわけではない。
3月5日
まず 花序だけが見えてくる。


3月20日




3月29日
                キラキラと光るつぼみ           2000.4.7
4月7日
花が咲き出す。


4月15日
葉は後から。

2009.4.7       雄 花                           雌 花        2009.4.7
分類標本園には 雄株、雌株の両方が植えられている。
萼・花弁・雄しべの数はともに 4。

                  成長した実             2009.11.3


 
アオキ の 位 置
写真@: F7 b 70番通り ラクウショウの先
写真A: C2 cd 針葉樹林内
その他 園内いたる所に・・・

名前の由来  アオキ Aucuba japonica

アオキ
: 幹も葉も青い木 の意味。
青い葉の色から 「青き葉」の名が付けられたが、現在の名は「葉」が省略されたものが「アオキ」となった。  葉だけでなく、枝や幹まで緑色をしているので 「青木」の漢字とも合っている。 
幹の青さはアオギリと同じで、古くなるとくすみ、縦にひびが入ってくる。

本種の中国名も「青木」だが、属名は「桃葉珊瑚 属」である。
 
種小名 japonica : 日本産の という意味
原産地を示す。 アオキは日本固有種。
 
Aucuba : アオキ( 青木 )属
1775年に長崎出島の商館医として来日し、江戸へ参府して将軍にも謁見したツュンベリーが命名したもの。
当時の呼び名 アオキバ(青き葉)に基づいているが、意図的にか、あるいは聞き違えたものか。
aokiba アオキバ」と「aucuba アウクバ」では綴りがかなり違う。

アオキ属はヒマラヤから中国、日本に3〜4種ある。
 
ミズキ科 Cornaceae : cornu (角) に由来するといわれている
アオキ属をミズキ科とするのは クロンキストの分類による。

一般的に角(ツノ)は硬いものであるが、ミズキの材は白くて柔らかく、東北地方のこけしをはじめとして細工物に使われる。
なぜ 「ツノ」に由来するのか、不明である。

ミズキ(水木)の名は、ミズキが地下からの吸水作用が強く、枝を切ると水がしたたり落ちることから名付けられた。
ミズキ ミズキの花と葉

 


毎年1段づつ背を伸ばし、枝は横に広がる。

別名 : ダンダンノキ、段々の木

Garrya ガリア科 ガリア属 :
APG分類で アオキ属がガリア科に分類されるまで、「ガリア」という名を知らなかった。 
これまでの植物事典では、ミズキ科の次に並べられている。 ガリア属の1属のみで 15種が アメリカ西海岸のワシントン州からパナマにかけて生育するそうだ。
ガリア属の一種
Wikipedia より
この写真は恐らく Garrya ellipptica で、尾状に垂れ下がる姿が美しく、欧米では観賞用に栽培されるそうだ。     『朝日百科/植物の世界』

ガリアの属名は、スコットランドの植物学者である D. ダグラス (1798-1834)が、友人である N. Garry にちなんで名付けていたものである。 しかしダグラスは、1834年に探検中のハワイで事故のために若くして亡くなってしまい、代わりに リンドレイが ミズキ科としてガリア属を記載した。
David Douglas
Wikipedia より


植物の分類 APG II 分類による アオキ の位置

アオキ属はクロンキスト体系ではミズキ科に分類されていたが、遺伝子分類ではミズキ科そのもの位置が、「バラ群」から「キク群」に、大きく変更された。
結果的にアオキは、植物全体の中ではかなり後になって「分化」したもののひとつとなり、また、新ミズキ科とは少し離れた位置となっている。 

独立してアオキ科としてもよい という考え方もある。
原始的な植物
 緑藻 : アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など
 シダ植物 :  維管束があり 胞子で増える植物
小葉植物 : ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など
大葉植物(シダ類) : マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、ヘゴ、オシダなど
 種子植物 :  維管束があり 種子で増える植物
 裸子植物 :  種子が露出している
ソテツ 類 : ソテツ、ザミア、など
イチョウ類 : イチョウ
マツ 類 : マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など
 被子植物 :  種子が真皮に蔽われている
被子植物基底群 : アンボレラ、スイレン、など
モクレン亜綱 : コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など
 単子葉 類 : ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など
真生双子葉類 : キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など
中核真生双子葉類: ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など
バラ目 群 :
バラ亜綱 : ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など
以前の分類場所 旧 ミズキ目   ウリノキ科、ミズキ科(アオキ属は 科も変更↓)、ガリア科
マメ 群 : ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など
アオイ群 : アブラナ、アオイ、ムクロジ、など
キク目 群 :
キク亜綱 : ミズキ、ツツジ、など
新 ミズキ目   新 ミズキ科、ヌマミズキ科、アジサイ科、など
シソ 群 : リンドウ、ナス、シソ、など
ガリア目   トチュウ科、ガリア科
ガリア科   アオキ属、ガリア属
キキョウ群 : モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など
後から分化した植物 (進化した植物 )
注) 以前の分類とは クロンキスト体系とするが、構成が違うので、APG分類表の中に表現するのは正確ではない事もある。 その場合はなるべく近い位置に当てはめた。

小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ