名前の由来 バショウ Musa basjoo |
バショウ 芭蕉 : 意味は不明 |
種小名 basjoo : |
平安時代には渡来していたと考えられており、シーボルトが basjoo という学名を付けたために、英語名は Japanese banana と呼ばれているが、原産地は中国のようである。
「バショウ」は漢名「芭蕉」の音読みであるが、事典には「芭蕉」の意味そのものの解説はない。
漢和辞典を引くと、「蕉」にはやつれるという意味があり、バショウの葉が破れやすいことと関係がありそうだ。 |
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Musa 属 : 人名による |
バショウ 科 Musaceae : |
初代ローマ皇帝アウグスツスの侍医 ムサ(A. Musa 紀元前64-全14年)にちなむ。 別の説としては、バショウのアラビア名に由来するという。 |
『園芸植物大事典』による
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トピックス 1 |
バショウの年輪 ? |
バショウは多年草ではあるが、茎が木質化することはない。
もちろん年輪があるわけもない。 |
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バショウの茎の断面 |
2006年の暮れ、小石川植物園入口近くのバショウ群は、数本を残して 根元からバッサリと切られた。
その断面は、ネギやタマネギと同じ理屈なのだが、まるで「年輪」のように見えた。
その中で、花を咲かせた株は中央に太い「花茎」が残っていた。
バショウの花序が、地中から伸びてきた証拠である。
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大きな面積を占める「花茎」 |
花の咲かなかった株 |
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2007年春、なかなか新しい芽が出てこないと思っていたところ、2週間行かなかったあいだに変化が起きていた。 |
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バショウの新芽 2007年5月19日 |
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新芽といっても、もとの株の中央から出てきたもの。
しかし、昨年花茎が伸びた株からは芽が出てこない。
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トピックス 2 |
色とりどりの バショウ科 |
小石川植物園には路地で越冬する「バショウ」しか植えられていない。
熱帯性の種の多くはは温室で栽培される。
バショウ科の花そのものは目立たないが、苞の色が様々で美しいので紹介したい。
まず 極めつけはピンク色の美しいバショウ。
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バラバショウ(仮名): Musa ornata Roxb. (1824) |
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京都府立植物園 温室 2007.5.13 |
この色の取り合わせ! あまりの美しさに、しばし見とれていた。
バショウ類の花序は茎の上部から出てきたあとに、下向きに垂れ下がることが多いが、このバショウは実が大きくならないのか、直立したままである。
咲いているのは雌花が退化した雄花群で、雌花は咲き終わって下の方に短い実が生っている。
なお 名札には「Musa rosacea Jacq.」とあったが、どうも 間違いのようだ。
和名がなかったので、名札の種小名 rosacea の意をくんで「バラバショウ」とした。 色がピッタリだったためである。
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バナナ Musa acuminata Colla の一品種 |
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京都府立植物園 温室 2007.5.13 |
世界中で様々な種が食用バナナとして栽培されているが、acuminata の系統が一番多いようだ。
茎(疑茎)が黒くなる特徴がある。
房の重さに耐える花茎の太さは、4cmぐらい。
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センナリバナナ
Musa chiliocarpa Backer ex. K. Heyne (1922) |

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前出の Musa acuminata の特異な型 ということであるが、次から次へと雌花が咲いて、小型の果実がたくさん付いている。
粉をふいたような苞の表面とは違い、内側のつややかな赤紫色が美しい。 |
伊豆熱川バナナワニ園 温室
2006.11.4
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フイリバナナ Musa×paradisiaca Linn. 'Koae' |
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伊豆熱川バナナワニ園 2006.11.4 |
バナナワニ園"秘蔵"の「フイリバナナ」。なにしろ、ハワイの王族しか食べられなかった門外不出のバナナである。
葉の「斑」も美しいが、果実にまで縞模様がはいるところがポイント。
そして「最高に美味」だとか....。
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Musa cv. ' Pisang Seribu ' |
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奄美大島 奄美アイランド植物園 2007.4.9 |
実の様子はセンナリバナナと同じような感じ。
並んでいる雄花の説明 :
黄色いのが花被片で、3枚のがくと2枚の花弁が合着したものが雄しべを囲んでいる。さらにもう1枚が内側にある。
右の写真は、その花被片を持ち上げて開いた状態にした。
5本の緋色の雄しべの中央に白い雌しべが見えるが、子房は退化している。
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バショウ属と近縁の ムセラ属「チユウ(チヨウ)キンレン」は小石川植物園に植えられているので、別項で取り上げる。 |
チユウキンレン Musella lasiocarpa C. Y. Wu (1978) |
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小石川植物園 左2004.9.11 右2007.5.19
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トピックス 3 |
コバルト・ブルーに包まれた種子 |
バショウ科とは近縁のストレリチア科であるが、名前が「オウギバショウ」であることから、取り上げたい。国内では温室で育てられているが、温室では花や実を見たことがない。その種子が素晴らしい色をしているのだ。 |
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オウギバショウ 扇芭蕉 |
Ravenala madagascariensis J.F.Gmel. (1791) |
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左はまだ小さいもので 高さ4〜5m。 芭蕉に似た葉が2方向にしか出ないので、扇状になる。 右の写真の葉の間にあるのが花である。 |