ヤマビワ  山枇杷
Meliosma rigida Sieb. & Zucc (1843)
科 名 : アワブキ科 Sabiaceae
属 名 : アワブキ属 Meliosma Blume (1823)
原産地 : 日本 (本州伊豆半島以西、四国、九州、沖縄) 中国、台湾
別 名 : スノキ、スゴ、スゴノキ、オンジビワ
用 途 :


硬い材が 道具の柄、傘の柄、天秤棒などに使われた。
伊勢神宮では、ヒノキの板にイヌビワの心棒をこすり合わせて、火を熾すという。

10番通りをかなり奥まで行ったところにある。 周りの常緑樹にとけ込んで目立たない木であり、注意していないと再度見つけるのが難しいほどである。

樹 形 高さ : 4m
山と渓谷社『樹に咲く花』によると、普通は高さ 7m。時には高さ 15m 直径40センチほどにもなる、という。

幹の様子 太さ 9cm

 2011.5.3      春の芽生えの様子     20010.5.13
葉が 次第に水平になっていく様子がおもしろい。

            展開を完了した葉      2011.5.24

 
              葉の様子        2007.7.1

 
2010.10.17
サイズは 10cmから 20cmと小さいが、ビワの葉にかなり似ている。
細長い葉の形。 艶のある表と白い葉裏。 凹んだ葉脈。 葉脈ごとの粗い鋸歯。
裏側に残る茶色の毛。

福岡教育大学 教育学部 環境教育教室の福原助教授が主宰するホームページに、ヤマビワのきれいな写真が載っている。 許可をいただいたので掲載する。

ヤマビワの葉 ビワの葉
ビワの葉のサイズも様々だが、この葉は 約 25cm。
Copyright:福岡教育大学 福原達人 (サイズは不明)

一年目の枝にも びっしりと毛が

花の様子         2011.6.3.
日の当たる 高いところにたくさんの花序が出ていた。アワブキと同じイメージ。つぼみに見えるが、一部は咲いているようだ。
この画面も荒れているが、精一杯。遠いためか、香りはしなかった。

黒くなった 実
福岡教育大学/福原先生の教材より
赤から黒褐色に変化する。直径は 5mmほど。

 
ヤマビワの 位 置
写真@ : B8 b  10番通り 左側、標識15番の手前

名前の由来 ヤマビワ Meliosma rigida

ヤマビワ :「山に生えるビワ」の意味。
葉は確かにビワに似ている。 照葉樹林内に生えるということである。
ビワと同じく 常緑である。
 
種小名 rigida: 「硬直した、固い」という意味
ヤマビワの材が固いために名付けられたものである。
 
Meliosma アワブキ属 泡吹属 :
Meliosma はラテン語の mel (蜂蜜)+osme (臭い)で、アワブキの花に甘い香りがあることに由来している。

和名 アワブキは、この枝を火にくべると、小口(切断面) から泡を吹くためである。 それだけ、枝の中の樹液が多いということ。
 
アワブキの花 アワブキの葉

小石川植物園

東大附属植物園 日光分園

属名の通り、アワブキの花の香りはすばらしい!
甘くて、しかも嫌みがない。
小石川植物園の売店近くですので、5月末の花時に、是非一度 嗅いでみて下さい

下から見上げると、薄くてしなやかな葉が透けてきれいである。 アワブキの葉はビワモドキの葉によく似ている。

詳しくは、後日「アワブキ」の項に掲載する予定。
 


植物の分類 : APG II 分類による ヤマビワ の位置
アワブキ科は古い分類ではムクロジ目に分類されていたが、APGでは位置が変わった上に 「アワブキ目」が新設された。それだけ分類が難しかった と言えるだろう。
原始的な植物
 緑藻 : アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など
 シダ植物 :  維管束があり 胞子で増える植物
小葉植物 : ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など
大葉植物(シダ類): マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど
 種子植物 :  維管束があり 種子で増える植物
 裸子植物 :  種子が露出している
ソテツ 類 : ソテツ、ザミア、など
イチョウ類 : イチョウ
マツ 類 : マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など
 被子植物 :  種子が真皮に蔽われている
被子植物基底群 : アンボレラ、スイレン、など
モクレン亜綱 : コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など
以前の分類場所 キンポウゲ目  キンポウゲ科、アワブキ科、メギ科、ツヅラフジ科、など
 単子葉 類 : ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、ツユクサ、ショウガ、など
真生双子葉類 : キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など
アワブキ目  アワブキ科
アワブキ科  アワブキ属、アオカズラ属、Ophiocaryon属
中核真生双子葉類: ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など
バラ目 群 :
バラ亜綱: ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など
マメ 群: ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など
アオイ群: アブラナ、アオイ、ムクロジ、など
以前の分類場所 ムクロジ目  エングラーの分類
キク目 群 :
キク亜綱: ミズキ、ツツジ、など
シソ 群 : ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など
キキョウ群: モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など
後から分化した植物 (進化した植物 )           

小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ
世界の植物 へ