ベニバナチャ 紅花茶
Camellia sinensis ( Linn.) Kuntze f. rosea Kitam.
← Camellia sinensis var. rosea Makino
科 名: ツバキ科
  Theaceae Mirb. nom. cons.
属 名: ツバキ属 Camellia Linn. (1735)
英語名: tea
中国名: 茶 cha
原産地: チャの原産地は 中国西南部、雲南省・広東省・広西壮族自治区あたりとされる
用 途:
 
葉を飲料とする。
疲労回復や利尿の効果がある。

チャ の花弁や花糸が 淡い紅色の栽培品種。白い花の チャ は園内各所に植えられているが、ベニバナチャがあるのは 精子発見のイチョウ横の サザンカ園内。

全 景    2015.9.4.
手前がベニバナチャ 高さ 約1.5 m。後ろに精子発見のイチョウ。

樹 形        2011.10.20.

大きくなった実      2015.9.4.
成熟大で 直径2センチ。

まだ小さい蕾       2015.9.4.
まだ 径5ミリ。赤黒いのだが、真っ黒に見える。

つぼみ と 花       2011.10.20.
赤黒いつぼみは チャの実のようだ。


参考 : チャ       2013.10.30.


 
ベニバナチャ の 位 置
写真①: B9 - B10 精子発見のイチョウの東側、サザンカ園内

名前の由来 ベニバナチャ Camellia sinensis

form. rosea : チャの 淡紅色種 
初め牧野は「変種」としたが、後に 下のランクの「品種」とされた。現在の遺伝子解析による分類では、恐らく チャと「同種」だろう。
昔の分類学は 主に形態の違いをもとにしており、花の色の違いでも サブのレベルで学名を付けていた。

チャ 茶 : 苦い木 の意味から
読みは中国名、茶 cha の音から。

茶の字は元 「荼」で、にがい意味の「苦」からきた。 読みは「余」の字の音が転じた「ト、ダ」である。 後に「茶」と書くようになり、「荼」はニガナの意味で用いるようになった。 『角川漢和中辞典』

天平時代(8世紀前半)に伝わったという説がある。 中国の茶文化を伝え広めたのは、1191年に帰国した栄西を初めとした臨済宗の僧によるということである。

種小名 sinensis : 中国産の
原産地を表している。

Camellia 属 : 人名による
17世紀後半 チェコに生まれ、フィリピンで宣教活動と動植物の研究を行った Georg J. Kamel (1661-1706)を顕彰したものであるが、リンネは頭文字の K を C としている。ラテン語では K を使うことがほとんどないためだろう。
和名はツバキ属、中国では 山茶属 あるいは茶属である。

ツバキ科 Theaceae : 
ツバキ科の基準属は Camellia属であるが、科名は ツバキ属の チャ 茶 cha、tcha から生じた thea が使われ、科名は「保留名」となっている。

保留名となった経緯については チャ の項を参照。



と 白

これまでは、学名が付けられた種と「花の色」が違う個体を見つけると、珍しさも手伝って変種や品種名を付加していた。

突然変異などが遺伝子レベルで起こっている場合は、現在でも「変種」などとされている。(母種と どの程度違えば変種となるかなど、詳しいことはわからない。)
しかし、色が違うだけでは 同種とされるケースが多いようだ。

元(基準種)が「白」で 赤が珍しい、という写真が無いので、逆のケースをいくつか挙げてみたい。


和名 学名 基準種 シロバナ
ヤブツバキ  Camellia
   japonica
フヨウ  Hibiscus
   mutabilis
ハマナス  Rosa rugosa
ベニゴウカン  Calliandra
  haematocephala
キョウチクトウ
(八重)
小石川植物園
 Nerium indicum


小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ