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科 名: | ツバキ科 Theaceae、チャノキ連 | |||
属 名: | ツバキ属 Camellia、ツバキ亜属 | |||
Furfracea 節 | ||||
中国名: | 紅皮糙果茶 hong pi cão guo cha | |||
原産地: | 中国(香港・浙江省・福建省・広東省 ほか) | |||
用 途: | 種子油は食用になる | |||
備 考: | 仮名は、献名者 Crapnell氏による |
本種は ツバキ亜属の中の Furfracea 節で 非常に珍しい。未確認だが、栽培しているのは小石川だけではないだろうか。 |
大型の見栄えのする花なのに、なぜ広まっていないのか?Wikipediaによると、1968(昭和43)年に日本に導入されたが、ヤブツバキやサザンカが接ぎ木の台木として相性が悪いことが原因とのことである。 |
植栽場所 |
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正門から本館へのメインスロープ左側で、ヒサカキサザンカとタイワンヤマツバキの緑のかたまりの先。植え込み内の薄暗い場所なので、注意しないと見過ごしてしまう。 |
.2024.12.22 樹 形 | 樹 形 2019.1.25. | |
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.←. | ![]() |
どちらもストロボ使用。5年前に較べて 側枝が水平に伸びている。樹高は3m 程度で、高さはそれほど伸びていないように思う。右側の葉は キンカチャ。 |
幹 |
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特徴のひとつが赤茶色の幹。左側の一番上で 約4cm。 |
2024.12.8 葉芽の動き 2019.1.25. | |
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芽鱗が動き出すのは早いが 成長は少しずつ。 |
頂芽の伸長 2025.2.16. |
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かなり伸びて、高さ 約3センチ。 |
展 葉 2023.3.9. |
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低出葉は白く、普通葉の伸び始めはもう少し赤い。低出葉と第1葉との節間はそれほど広くはない。 |
葉の裏表 2022.8.18. |
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葉のサイズは 長さ 15~25 x 幅7センチ。葉脈が凹み、裏側に突き出る。葉裏は明るい緑色。▲は年枝替わり(芽鱗痕の位置)で、今年枝は3葉 前年枝は4葉をつけている。 |
2024.11.17 蕾 2024.12.8 | |
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ようやくひとつだけつけた蕾。咲く時期はサザンカとほぼ同じ。 |
開 花 2024.12.15. |
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まだ十分に開花していない状態だった。 |
花 2024.12.22. | |
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長径は9センチほどある。完全な一重なので、野生種だろう。葉はキンカチャに似ているのだが、花は大違い。分類では「亜属」レベルで異なっている。 |
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苞と萼は区別がつきにくいのはツバキ亜属の特徴。花は頂芽の第1芽鱗につくのは、多くのツバキ類と共通している。 |
果実 Wikipedia より |
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大きな果実も特徴のひとつ。葉との比較からすると相当に大きい。はたして小石川で実が生るかどうか・・・・。 |
Camellia crapnelliana の 位置 |
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E14 d | ● | メインスロープ右、植え込みの中 |
名前の由来 Camellia crapnelliana | |
種小名 crapnelliana :人名による | |
命名者の Tutcher が、香港での採取・観察行にたびたび同行してもらった、A. E. Crapnell氏 を顕彰したもの。 |
William James Tutcher (1867-1920) は、イギリス ブリストル近郊生まれのの昆虫学者、植物学者。1888年にキュー植物園に勤め始め、結婚後 1891年に香港に渡った。1910年には、香港植物園の最高責任者にまでなった。蘭、バラなどの多くの標本や苗をイギリスに送り、多くの新種も発見した。〈『Bulletin of miscellaneous information』1920 より〉 |
Tutcher が本種を記載したのは ロンドン リンネ協会が発行していた機関誌『The Journal of the Linnean Society. Botany』第37巻 (1904)で、「Description of some New Species, and Notes on other Chinese Plants」と題した原稿である。 |
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解説文には、「パーカー山(注:香港島第2の山)の南面で発見した。中略 レンガ色のこの木の樹皮は 遠くからでもとてもよく目立つ。それが発見につながった。」とある。そして、種小名は案内役のクラプネル氏に献名したことが書かれている。 |
中国名 紅皮糙果茶 hong pi cão guo cha: | ||
本種よりも少し後に発表される 近縁の C. furfuracea の中国名が「糙果茶」で、「糙」の字は「粗雑、きめが粗い」ことを示す。両種ともに果実の実物を見たことがないが、 |
本種のWikipedia の写真を見れば、「糙果」は表面にツブツブのある大きな果実を表しているのは明らかである。 そして「紅皮」は 本種のもうひとつの特徴、赤茶色の割れ目のない樹皮を指す。 |
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