| 年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 |
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1753 |
Camellia |
リンネ |
ツバキ属 |
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Camellia japonica |
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ヤブツバキ |
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1753 |
Thea |
リンネ |
ツバキ属の異名 |
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Thea sinensis |
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チャノキの異名 |
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Camellia、Thea ともに『植物の種』以前から使われていた |
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1887 |
Camellia sinensis |
クンツェ |
チャノキの現在の正名 |
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この頃、チャノキ属がツバキ属に統合される |
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年 |
学 名 |
命名者 |
備 考 |
① | 1900 | Thea cuspidata | Julius Kochs | 異名 本種の元の名 |
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Julius Kochs (1900年頃に活躍) についての詳細は不明。 |
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Kochs が本種を新種として記載したのは、エングラー(1844-1930)が主催した『Botanische Jahrbücher fur Systematik,
Pflanzengeschichte und Pflanzengeographie 植物分類学、植物史、植物地理学のための植物年鑑』第27巻に寄稿した論文、「Uber
die Gattung Thea und den chinesischen Thee チャノキ属と中国のチャについて」である。 |
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その記述は 58ページもあって、1章が 種の概観、2章 チャ属の詳細、3章 チャの概要、4章 参考文献 (92冊!) と、単なる種の分類記述ではなく、詳細な茶に関する論文である。3章には「Giyoku-cha (緑茶)、Ban-cha (番茶)」の説明まで出ている。 |

なお、Kochsはそれまで Camellia属だった種を、すべて Thea属に訂正して記載した。 |
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| 年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 |
② | 1912 | Camellia cuspidata | ウィルソン? | 正名 ? |
| | | Camellia cuspidata が記載されたのは『The Gardeners' chronicle 園芸家のための年代記』-園芸と関連する話題を図や写真とともに掲載する週刊誌-
の、第3シリーズ 第51巻である。 |
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問題点 その1 |
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記事では「Wilson氏(青の下線)が最初の中国訪問で発見したもので、James Veitch & Sons 商会によって紹介された」となっている。 ところが GRIN は「C. H. Wright ex Veitch」で、肝心の命名者が違っている。 |
GRIN が違う名前を載せるからには、調査した上のこと思われる。 |
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問題点 その2 |
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前掲の文章に続く説明文は、本種の園芸的な特徴や品種の作成のことばかりで、種に関する学術的な記述が一切無い。もちろん、Kochs による元となる記載
① についても述べられていない。 |
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これで、命名が認められるための基準を満たしているのだろうか? |
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このため、別の様々な命名者が採用されている。 以下の別案には、正名や異名の 緑、白の色は付けていない。 なお、Wilson の名はひとつも出てこない。 |
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まず、本種の命名を「hortulanorum、hort. または Hort.」 園芸の文献で有効な記述がなされたが、(規約に則った)正式な出版ではない、として扱う考え方。 |
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年 |
学 名 |
命名者 |
採用しているサイト |
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1912 |
Camellia cuspidata |
hort. |
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『International Plant Names Index (IPNI)』 |
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次に、紹介者 H. J. Veitch を命名者とする考え方。 |
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1912 |
Camellia cuspidata |
H. J. Veitch |
『Flora of China』 |
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年 |
学 名 |
命名者 |
採用しているサイト |
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1914 |
Camellia cuspidata |
ビーン |
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『the Global Biodiversity Information Facility』、
『World Plants』、
『Plants of the World Online』 |
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William Jackson Bean (1863–1947) はイギリスの植物学者。
長い間キュー植物園に勤め、「キュー植物園の歴史」(1908) を執筆し、最後は園長を務めた。
本種を記載したのは『Trees and shrubs hardy in the British Isles イギリス諸島の樹木と灌木』第1巻 284 ページ。 |
Bean |
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ビーン自身は、本種の命名者を Veitch としている。
ここには、Kochs の論文に記載のあった「Wilson が Coombe Wood nursery に導入した」と書かれている(緑の下線)。 |
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そうなると、ますます「なぜ GRIN が Wright の名を採用しているのか」、その根拠が知りたくなる。 |
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