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科 名: | ツバキ科 Theaceae、チャノキ連 | ||
属 名: | ツバキ属 Camellia、後生ツバキ亜属 | |||
節 名: | ヒメサザンカ節 Theopsis | |||
別 名: | ウスバヒメツバキ (園の名札、YList) | |||
原産地: | 中国 湖南省南西部、江西省、四川省、台湾 | |||
中国名: | 毛蕊柃葉連蕊茶 mao rui ling ye lian rui cha |
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備 考: | 以前の園の名札は 「ウスバヒメサザンカ」と 「ウスバヒメツバキ」の両方があったが、現在は「ウスバヒメツバキ」、学名も「var. nokoensis」となった。 |
タイトルが水色の写真は、10年以上前の撮影(過去の様子)であることを示す。 |
本種は下の段と ツバキ園北側の2ヵ所に植えられている。 |
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① | F13 b | ● | 70番通り右側、グランサムツバキの手前 |
② | B9d | ● | ツバキ園 北側入口の目の前 |
.2022.8.23 ① 樹 形 | ① 樹形 2000.4.8. | |||
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← | ![]() |
左: 右: |
西方向を見ている。後ろが 70番通り。幹は太くなっているが、枝は主に南側に伸びている。右の木はヒッコリー。 20年以上前の姿。盛んに細い徒長枝を出していた。 左写真とは撮影方向が異なる。 |
② 樹 形 2025.1.5. | |
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北側の出入り口からすぐの所。幹の太さは 基部の二又付近で 約9センチ。 |
満 開 2000.4.8. |
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古い写真で 発色が悪い。写真は3年生枝で、花は前年枝の茎頂付近と側枝の腋芽の芽鱗の腋につく。新梢は開花してまもなく伸び始める。 |
徒長枝 2025.1.15. |
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ほぼ2列互生。年を越したので2年生枝。腋芽はほとんど葉芽。 |
2022.8.25 幼 果 2024.11.10 | |
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左右で約3ヶ月の違いがあるが、葉のサイズと比較すると大きくなっていることが分かる。右写真では花柱が残っている。蕾が大きくなりつつある。 |
① の枝振り 2024.11.10. |
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陽当たりが悪いこともあるのかもしれないが、通常の枝は細く葉の重みで枝垂れる。左側は手で持って 葉裏を見せたもの。あまり白くはない。葉が細長いのが特徴。 |
右の枝は4年生枝で、今年枝に来春の蕾がついている。3年生枝には葉が無く、2年生枝の一部も落葉している。 カーソルを乗せると、年枝境▼と 年数を表示する。 |
多くの蕾 2024.11.10. | |
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花のつき方は様々だが、この枝では頂芽(の芽鱗の腋)に2個ついている。 |
.2024.11.10 腋芽にもふたつ | 蕾の生長 2025.1.5 |
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左:腋芽の脇にふたつの蕾。これを見れば、蕾が葉腋につくのではないことは明らかである。小さくてわからないが、ツバキ類一般のように腋芽の「芽鱗の腋」についていると考えられる。 |
右:真冬で 葉の色が少し黄色くなっている。 |
名前の由来 ウスバヒメサザンカ Camellia euryoides var. nokoensis |
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和名 ウスバヒメサザンカ: | |
「ヒメサザンカ よりも葉が薄手」という意味だが、本種にはウスバヒメツバキ の別名があることだし、ヒメサザンカ C. lutchuensis と較べてもあまり意味がない。 | |
確かに本種の葉はしなやかで、さまざまなうねりがある。 一番の特徴は、先が細長く尖っていることだ。 |
ウスバヒメサザンカ | 参考:ヒメサザンカ C. lutchuensis |
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茶色の葉はサザンカで 長さ7cm。 | |
母種で自生地が本種とほぼ同じ中国南部の C. euryoides と較べる必要があるのだが、情報がほとんど無く、詳しい比較ができていない。 |
変種名 nokoensis:台湾 能高山産の | |
小石川植物園 第三代園長 早田文蔵が、台湾の能高山(のうたかやま)で発見したもの。早田は音読みで ノウコウザン と読み、新種名を C. nokoensis とした。 命名物語 参照。 |
能高山 (Wikipedia より) | |
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種小名 euryoides: ヒサカキ属のような | |||
本種の母種は Camellia euryoides。Eurya はヒサカキ属で、葉がヒサカキ類に似ているためだが、残念ながら 掲載可能な C. euryoides の写真がない。 | |||
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中国名:毛蕊柃葉連蕊茶 mao rui ling ye lian rui cha | |
この名前からすると雌しべ?に毛があることになる。 | |
中国名も学名に倣っている。「柃」はヒサカキ、「連蕊茶」は カメリア・クスピダータ。 | |
中国の植物のデータベース『Flora of China』の本種の項は説明文が2行しかない。それが母種との違い ということだろう。 以下が性状についての記述。( )内は 母種 C. euryoides。 |
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・葉は披針形 (楕円形~楕円卵形)。 ・雄しべには繊毛があり、外側の花糸は基部で約3mm 合着する (雄しべは無毛。基部で7-9mm合着)。 |
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属名 Camellia:人名による | |
キンカチャの「名前の由来」の項を参照のこと。 |
ウスバヒメサザンカ の命名物語 |
は正名、 | は異名、 | ||
図版は主に、Biodiversity Heritage Library より 肖像写真は Wikipedia より |
台湾の植生を調査した早田文蔵は、ツバキ属でもいくつかの新種を記載した。初めは「チャノキ Thea属」としていたが、シリーズの途中で「ツバキ Camellia属」に切り替えた。 |
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年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | ||||||||||||||
1753 | Camellia | リンネ | ツバキ属の (有効な)最初の命名 |
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C. japonica | ヤブツバキ | ||||||||||||||||
Thea | リンネ | ツバキ属の異名 | |||||||||||||||
T. sinensis | チャノキ | チャノキの異名 | |||||||||||||||
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年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | ||||||||||||||
① | 1826 | Camellia euryoides | リンドリー | 自生地:中国・台湾 | |||||||||||||
和名:なし | |||||||||||||||||
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年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | ||||||||||||||
② | 1919 | Camellia nokoensis | 早田文蔵 | 異名 本種の元の名 | |||||||||||||
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年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | ||||||||||||||
③ | 1999 | Camellia euryoides var. nokoensis |
ミン | 正名 | |||||||||||||
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