ヤクシマツバキ 屋久島椿
Camellia japonica 'Macrocarpa'
C. japonica var. macrocarpa
科 名: ツバキ科 Theaceae Mirb. nom.coms.
属 名: ツバキ属 Camellia Linn.
原産地: 栽培品種。屋久島で発見された。
別 名: リンゴツバキ
用 途: 観賞用
参 考:

GRIN*) によると、本種は遺伝子的にはヤブツバキと同種。栽培品種である。
園の名札は「変種」。
*) GRIN:アメリカ合衆国農務省、Germplasm Resource Information Network

10番通り もみじのトンネルを抜けた右手に「ツバキ園」があり、その北側の一画に1本。さらにトイレを通り越して少し行った右側に、もう1本植えられている。

@:樹形    2022.8.25.
ツバキ園北側の個体。園路から奥に入って撮影したもので、後ろに見えるのが「精子発見のイチョウ」。

A:樹形        2024.9.8.
自然の樹形に近い丸い樹冠で、高さ 約5m。
右奥の建物がトイレ。周りは藪になっている。
葉         2022.8.25.
近くのヤブツバキの下に落ちていた葉と較べると、全般的に本種の葉は小さい。
黄 葉        2025.3.2.
黄変しているのは4年生枝で、着葉期間は 約3年となる。まれに5年生枝にまで残ることもある。葉緑素は葉の先の方から順に回収されることがわかる。
硬い蕾     以下 2025.3.18.
蕾から開花まで、一時期に様々な状態を見ることができる。頂芽の芽鱗の腋に2個つくことも多い。
本種は花弁に細毛が密生していることもヤブツバキとの相違点で、初めは淡いピンクに見えるほど。
内側の花弁ほど 産毛が少なくなっていく。
花           2025.3.18.
完全に開くと、ヤブツバキとほとんど変わりがないが、強いて言えば ヤブツバキよりも花が小形で筒咲き。
実                 ともに 8月下旬.
枝が細く 実が重いために垂れ下がる。その枝の葉が落ちてしまうことが多い。赤くなり、まん丸の形から「リンゴツバキ」の別名がある。ただ、熟しても赤くならないこともある。
サイズは 4cm から6cm にもなる。
種子の比較        2024.10.
落ちていた種子を白い紙に乗せて。
『APG樹木大図鑑』には「種子が小さい」とあったが、近くで見繕ったヤブツバキよりも大きかった。一番大きなもので2cm 強。


 
ヤクシマツバキ の 位 置
@: B10 c ツバキ園の北側
A: B9 c トイレの先、10番通り右側


名前の由来 ヤクシマツバキ
 元の変種名 macrocarpa:
大きな果実 の意味。
 ヤクシマツバキ: 屋久島椿
屋久島で発見されたため。
『原色樹木大図鑑』によると、その後 九州沿岸・奄美大島・沖縄や四国沿岸にも分布していることが確認されているという。
 別名 リンゴツバキ:林檎椿
赤くなってぶら下がり、果肉が全体の3分の2以上を占める果実がリンゴに似ているため。
「リンゴ」 ツバキ ヤブツバキ
両者のスケールは正確ではない。種子はヤブツバキよりもかえって小さいと事典にあったが、かえって大きかった。

小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ