ヤナギバサザンカ
Camellia salicifolia  .
      Champ. ex Benth. (1851)
科 名: ツバキ科 Theaceae、チャノキ連
属 名: ツバキ属 Camellia、後生ツバキ亜属
節 名: ヤナギバサザンカ節 Eriandria
原産地: 中国 福建省・広東省・広西壮族自治区・江西省、台湾
中国名: 柳葉毛蕊茶 liu ye mao rui cha
備 考: 高さ 3~6m。
タイトルが水色の写真は、過去の撮影であることを示す。

まず、ツバキ属 後生ツバキ亜属の中で本種が位置する、ヤナギバサザンカ Eriandria節 と Theopsis節 (C. クスピダータ や シラハトツバキ) の違いを確認しておきたい。
両節の種は葉が細長くて薄く、花が小さいことなどがよく似ていて、ちょっと見ただけではどちらなのかの判別が難しい。
 後生ツバキ亜属 Metacamellia の特徴 共通事項
 小形
 花柄があり 小形
萼と苞  区別できる。花後も残る
花柱  上部まで合生する
果実  ツバキのような「中軸」が無い
違 い
部位 Eriandria節 Theopsis節
花の数  1~2個  1~3個
雄しべ  筒状、  有毛  
子房  有毛  無毛
花柱  先端で3裂  離生 ?
種の例  ヤナギバサザンカ
 
 クスピダータ
 シラハトツバキ
 ヒメサザンカ
中国名  ~毛蕊茶  ~連蕊茶
両者の大きな違いは、毛の有無である。


ヤナギバサザンカは、ツバキ園北側 と そのすぐ先、10番通りの右側に植えられている。


① 樹 形        2024.9.8.
ツバキ園北側の入口を入ってすぐのところ。
② 樹 形     2024.9.8. 2017.12.3.
現在は藪の中で近づけない。この近くにもう1本ある。

葉   2017.12.3. シダレヤナギ
ツバキ類の中では最も細長い葉だろう。
左の写真の葉は前掲②のもので、徒長枝がさかんに枝垂れていた。大きく剪定されたか何か、原因があったのではないか? 通常の伸びは次の写真のとおりで、このようにはならない。
 葉                 2024.9.8.
9月だというのに新梢が伸び始めている。ツバキ属には二度伸びするものがあるが・・・・。 枝や低出葉などは毛で覆われている。
新 梢        2024.10.13.
全体で枝が伸び出した。春 秋 2回なのかどうかは未確認。
主脈の細毛            2024.10.13.
伸び始めは主脈にも毛が密生しているが、やがて脱落する。枝や葉裏の毛は長く残る。
葉裏の細毛            2024.12.27.

 花                  2013.4.5.
2~3cmの小さな花が頂芽・腋芽の芽鱗の腋につく。1花のことが多いが、2個つくこともある。雄しべも有毛。柱頭は先で3裂。萼は花後も残る。
花の詳細     2013.4.5.
短い花柄がある。苞葉と萼片がはっきりと区別でき、ともに長い毛が生えている。枝の毛も残っている。


 
ヤナギバサザンカ の 位 置
B9 d ツバキ園の北側
B9 c ツバキ園のトイレの先、右手
B9 c


名前の由来 ヤナギバサザンカ C. salicifolia
 和名、種小名、中国名:
ともに 細長い葉をヤナギに喩えたもの。
 属名 Camellia:人名による
キンカチャの「名前の由来」の項を参照のこと。


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