ロウソクノキ 蝋燭の木
Parmentiera cereifera Seem. (1854)
科 名 : ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae
属 名 : ローソクノキ属 
  Parmentiera DC. (1838)
原産地 : パナマ
用 途 : 『園芸植物大事典』では、実が熟すと淡黄色になり、リンゴのような香りがしてウシが食べるとある。
撮影地 : 小石川温室、沖縄、
ガイアナ協同共和国 、 ほか

本種は幹生花で通常は単生する。幹だけでなく、太い枝にも咲くようだ。

開 花       2020.3.19.
蕾の状態では上向きだが開花前には横を向き、花冠全体を包んでいた萼の下側が割れて、花は幾分下向きに咲く。花の形はノウゼンカズラ科特有の少しいびつな鐘状で、浅く5裂。
事典によるとロウソクノキの花は夜に咲いて、コウモリが花粉を媒介する。温室では昼間に咲いていたが、人工授粉が必要。

小石川 温室 第2室
鉢植えで 高さ約3m。

樹 形 実     2000.4.2.
左写真:ガイアナ協同共和国の首都、ジョージ・タウンの植物園の一角にあったもの。大きくなると高さ 6〜7mになるらしいが、この木は小さく、高さ4m弱だった。10月末で花はなく、細長い果実がたくさんぶら下がっていた。
右写真:京都植物園 温室。長い果柄でぶら下がっている実は長さ20センチほど。大きな木では120cmにもなるそうだ。
ガイアナの実

茂みの中にも、30cm近いたくさんの「ロウソク」が。

初めは皮目の多い滑らかな状態だが、成長するとひび割れが激しい。太い方の幹は 径約6センチ。


葉柄に翼がある3出複葉が、ほぼ対生につく。


参考:ソーセージノキ Kigelia pinnata の花
同じノウゼンカズラ科で、極太のソーセージのような実が生る。


名前の由来 ロウソクノキ Parmentiera cereifere
 ロウソクノキ:
直径3cm程度の果実を「蝋燭」にたとえたもの。
英語名も candle tree, candle stick tree である。 
 種小名 cereifera:蝋を有する の意味
形だけでなく、果実の表面が蝋質となっているため。
命名者は ドイツ生まれの植物学者 B.カール・ジーマン(1825-1871)。
1847年からアメリカ西海岸、太平洋岸の探検に加わり、その航海記「The botany of the voyage of H.M.S. Herald」に本種を記載した。
 Parmentiera ロウソクノキ属:
フランスの農学者で薬剤師となった パルメンティエ Antonie A. Parmentier (1737-1813)を顕彰したもの。



属名を定義したのは、同じ18世紀、パルメンティエより半世紀ほど後にスイスに生まれ、パリ・モンペリエ・ジュネーブで活躍した植物分類学者、ド・カンドル (1778-1841) である。
写真はすべて Wikipedia より
 ノウゼンカズラ科 Bignoniaceae :
主として熱帯、亜熱帯に約120属800種がある。
ほとんどが直立高木、低木あるいはつる性の「樹木」で、左右対称の鐘状・筒状・漏斗状の花が特徴。
ノウゼンカズラ
ノウゼンカズラ属はつる性。羽状複葉で茎頂に円錐花序をつけるなど、本種とは大きな違いがある。


Bignonia の名は、フランス ルイ14世の司書 ビニョン A. J. P. Bignon(1662- 1743) にちなんで名付けられた。

小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ