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科 名 : | クズウコン科 Marantaceae | |||
属 名 : | ミズカンナ属 Thalia Linn. (1737) | |||
英語名: | powdery thalia | |||
原産地 : | 北アメリカ | |||
用 途 : | 耐寒性があり、公園などの水辺に植えられる |
樹木ではなく、大型の水性、湿性植物。 下の段に連なる二箇所の池に植えられている。 正門に近いのが「ハンノキ池」、もう一つは梅林手前の「ミズカンナ池」。 池の名前は筆者が付けた 仮称である。 |
ミズカンナ の 位 置 |
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写真①: | F 11 | ★ | ハンノキ池 |
写真②: | E 6 | ★ | ミズカンナ池 |
花は小さく目立たない。 しかし その苞の白と花弁の紫色 、そして葉の黄緑が美しいコントラストで 絵になる。 まずは 葉が出だした春の様子から。 |
① : ハンノキ池 2011.4.5. |
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少しだけ緑色が見えるのは、昨年の名残か。 |
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池さらいをするわけではないので、何年間もの葉が沈殿していることだろう。 繊維が多いので、すぐに分解されるのだろうか? |
葉鞘の様子 2011.5.6. |
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筑波植物園。 株数が少なく、昨年の枯葉は剪定されている。 ミズカンナには樹木のような幹は無く、水中の地下茎から毎年新しい茎が伸びる。 複数の葉が伸びて集まったものを 「偽茎 ぎけい」と呼ぶ。 |
新 葉 2013.5.28. |
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一つ前の葉の「葉鞘 シース」部分から 次の葉が出る。 基本的に枝分かれはしない。 幼葉は ぐるぐる巻の状態。 |
②:ミズカンナ池 2011.5.17. |
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キショウブが咲く5月、新葉は 2枚程度。 |
葉の形 | |
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ほぼ左右対称。 かなり丸いものと細長いもの。 |
葉の裏は少し白い |
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葉 縁 | |
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周囲はきれいな赤の覆輪が付く。 表面に向かって左側が巻き込まれていたので、葉縁や 時に葉身にも皺が寄る。 右側は きれいなカーブ。 |
2011.6.11 ② : ミズカンナ池 2011.6.16 | |
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5枚程度の葉が出て、頂部から出た花序が すでに葉よりも高く 伸び出している。 |
② : 花序とつぼみが目立つ 2011.6.26. |
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2008.7.6 花序の様子 2011.6.26 | |
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複数の穂状花序を持つ「複穂状花序」で、全体が総苞に包まれる。 総苞は一定期間残っているが、それぞれの穂状花序を包んでいた小苞は薄く、すぐに落ちる。 花序軸は ジグザグになる。 |
花の様子 2008.7.6. |
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白い一対の苞から2つの花が咲く。 詳細は観察していないが、萼や花弁は目立たず、紫色に垂れ下がっているのは、雄しべが変化したもの。 出だしで「紫の花弁」と書いたのは、間違いだった。 下から順次開いて、9月下旬まで
3ヶ月近く咲き続ける。 受粉しないと花はすぐに落ちるが、種子ができると 花と種子が同居する。 |
まだ青みが残る 実 2011.8.30. |
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萎れた雄しべ以外に、子房の周囲が全体に茶色くなっている。 これが花弁だったのだろう。 なぜかわからないが滅多に実は生らないそうだ。 |
秋の様子 2013.10.3. |
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まだ咲いている花もあるが、下の葉が 黄変してきた。 |
ミズカンナ の 位 置 |
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写真①: | F 11 | ★ | ハンノキ池 |
写真②: | E 6 | ★ | ミズカンナ池 |
名前の由来 ミズカンナ Thalia dealbata | |||||
和名 ミズカンナ : 水中に育つカンナ の意味 |
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種小名 dealbata : 白色となる という意味 | |
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Thalia ミズカンナ属 : 人名による | |||||||
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クズウコン科 : 澱粉が取れる ウコン | |||||||
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カラテア・ベラ Carathea bella | カラテア・ルイーザエ C. louisae |
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葉裏は 暗い緑色 | 葉の裏が 紫色になる種が多い |
ク ズ |
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← ウコン 鬱金 Curcuma longa Linn. (1753) | |
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2013.7.18 ウコン Curcuma longa Linn. 2005.8.29 | |
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Marantaceae クズウコン科 : 人名による | ||||||
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今回登場した ショウガ目に属す 3つの科、クズウコン科、カンナ科、ショウガ科は、よく似ている。 バショウ科、ストレリチア科と合わせて、その違いを調べてみた。 |
クズウコン科 | カンナ科 | ショウガ科 | ストレリチア科 | バショウ科 | |
東京での 偽茎の寿命 |
1シーズン | 1シーズン | 1シーズン | 常緑。筑波では地上部は枯れる | 半常緑 果実が生ると枯れる |
葉の形 | 葉鞘・葉柄・葉身 葉枕(ようちん)が有る |
葉柄が無い | 葉柄が無い 葉舌が有る |
葉鞘・葉柄・葉身 | 葉鞘・葉柄・葉身 |
花の数 | 各小苞葉内に 2個 | 同 2個 | 同 1~数個 | 同 1個 | 同 多数 |
子房の数 | 3室 | 3室 | 1~3室 | 3室 | 3室 |
胚珠の数 | 各室に 1個だが、 通常は 1個だけできる |
各室に 1個 計 3個 |
多数 | 多数 | 多数 |
ミズカンナの 葉枕 | ヘディキウムの 葉舌 |
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葉枕部で折れ曲がる | 葉鞘と葉身の連結部、軸側にある 薄茶色の膜 |
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出たばかりの葉は直立しているが、やがて、多くの日差しを受けるために折れ曲がって 表を水平にする。 |
植物の分類 : | APG II 分類による ミズカンナ の位置 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
大葉植物(シダ類) : | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、ヘゴ、オシダなど | ||||||
種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
裸子植物 : | 種子が露出している | ||||||
ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | ||||||
イチョウ類 : | イチョウ | ||||||
マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、アウストロベイレヤ | ||||||
モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
ショウガ目 | バショウ科、ショウガ科、カンナ科、クズウコン科、など | ||||||
クズウコン科 | カラテア属、クズウコン属、ウラベニショウ属、など | ||||||
真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
バラ目 群 : | |||||||
バラ亜綱 : | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
マメ 群 : | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
アオイ群 : | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
キク目 群 : | |||||||
キク亜綱 : | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
シソ 群 : | リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
↓ | キキョウ群 : | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) |
小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ |