|
||||
![]() |
科 名: | クワ科 Moraceae | ||
属 名: | カジノキ属 Broussonetia | |||
L' Her. ex Veenten. (1775) nom.cons. | ||||
英 名 : | paper malberry , tapa-cloth tree | |||
中国名: | 构樹 gou shu | |||
原産地 : | 中国中南部、台湾、韓国、東南アジア、マレーシア、インド | |||
用 途 : | 樹皮から採れる繊維を紙の材料とした。 日本でも古くから栽培されており、自生のように見えるのは、それが野生化したものということだ。南太平洋諸島やハワイでは樹皮を、棒で叩き延ばして作る「タパ布」の材料とする。 |
カジノキは雄株と雌株が異なる 雌雄異株である。 小石川植物園にはカジノキの雌株は無いものと思っていたが、 園内に1本と、もう1本 職員宿舎の敷地内に生えていた。 また、果実が甘いために鳥がよく食べ、排泄して種子をばらまくので、園内でもあちこちに生えてきている。 |
① : 70番通り左の雄株 | ②:宿舎の雌株 |
![]() 上部の濃い色の葉は 別の木のもの。 |
![]() 道路拡張工事のために伐採された。 |
幹の様子 | |
![]() |
![]() |
太くなると 樹皮が縦にひび割れる。 |
枝振り 春の芽吹き 2001.4.22 |
![]() |
昔のカメラで 画質が悪い・・ |
新緑の産毛 2007.5.12 |
![]() |
葉が大きくなっても 毛は残る。 葉は先が尖った卵形のもの以外に 深く切れ込む事も多く、切れ込みが複数になることもある。 |
こんな形まで! |
![]() |
裏は白 |
![]() |
尾状に垂れ下がる 雄花花序 2009.5.5 |
![]() |
まだ つぼみの状態 | 咲き始め 花弁・雄しべの数は4個 |
![]() |
![]() |
すべて 2009年5月5日 |
雄しべが出た状態 009.5.2 |
![]() |
満開状態の雌花 2007.5.12 |
![]() |
雌しべが透明なピンク色をしている。 京都植物園 |
ほぼ咲き終わった雌花 2009.5.21 |
![]() |
京都植物園 |
果 実 ともに 2010.10.3 | |
![]() |
![]() |
球状の集合果の中で種子が育ち、熟すとそれぞれ橙色の「肉質の柄」で飛び出してくる。 直径 2cm強。 |
![]() |
種子は柄の中ではなく 先に付いている。 糸状の花柱は最後まで残る。 |
種 子 |
![]() |
直径 1. 5 mm |
カジノキ の 位 置 |
![]() |
雌株: | G11 b G10 a | ● ● | 職員宿舎 道路際、伐採 イチョウの近く | :写真① |
雄株: | F8 b F7 d D15 b | ● ● ● | 70番通り左手、標識75手前 同上 ニッサボクの裏 立入り禁止区域 土手 | :写真② |
名前の由来 カジノキ Broussonetia papyrifera | |||||||||
カジノキ | |||||||||
|
|||||||||
梶の木 | |||||||||
|
|||||||||
種小名 papyrifera:紙のある という意味 | |||||||||
![]()
|
|||||||||
Broussonetia 属:人名による | |||||||||
|
|||||||||
クワ科 Moraceae:mor (黒の意) から。 | |||||||||
|
|||||||||
参 考 ツルコウゾ と ヒメコウゾ | |||||||||
『植物の種』には記載されなかった「ツルコウゾ」と、もう一種 日本に自生する「ヒメコウゾ」の学名は、ともにシーボルトが命名している。 |
|||||||||
ツルコウゾ 蔓楮:Broussonetia kaempferi Sieb. (1830) | |||||||||
|
|||||||||
ヒメコウゾ 姫楮:Broussonetia kazinoki Sieb. (1830) | |||||||||
|
|||||||||
コウゾ 楮:Broussonetia kazinoki × B. papyrifera | |||||||||
|
カジノキ属 Broussonetia の命名物語 |
2022.11.7 追加掲載 |
は正名、 | は異名、 | ||
は棄却名 | |||
図版は主に、Biodiversity Heritage Library より |
カジノキ属 Broussonetia は保留名となっている。ところが 棄却名も Broussonetia である。その経緯を調べてみた。 まず参考に、ケンペルの記載から。 |
学名の出発点『植物の種』(1753) 以前の記載 | 正名・異名の対象外 | |||||
年 | 名 称 | 命名者 | 属名・備考 など | |||
❶ | 1712 | Papyrus legitima Morus papyrifera |
ケンペル | p.471 右側 p.472 図版内 |
||
| ||||||
![]() | ||||||
![]() |
||||||
| ||||||
| ||||||
年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | |||||
② | 1753 | Morus papyrifera | リンネ | 本種の元の名 | ||||
| ||||||||
![]() | ||||||||
| ||||||||
年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | |||||
③ | 1798 | Broussonetia属 | オルテガ | nom. rej. | ||||
B. secundiflora | Sophora secundiflorum とされていたが、 現在は → Dermatophyllum secundiflorum |
|||||||
| ||||||||
![]() | ||||||||
| ||||||||
| ||||||||
年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | |||||
④ | 1799 | Broussonetia属 | レリティエ ex ヴァントナ | カジノキ属 nom. cons. | ||||
B. papyrifera | ヴァントナ | カジノキの正名 | ||||||
|
||||||||
![]() |
||||||||
|
||||||||
![]() |
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
|
||||||||
植物の分類: | APG II 分類による カジノキ の位置 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻: | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
シダ植物: | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
小葉植物: | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
大葉植物(シダ類) : | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、ヘゴ、オシダなど | ||||||
種子植物: | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
裸子植物: | 種子が露出している | ||||||
ソテツ 類: | ソテツ、ザミア、など | ||||||
イチョウ類: | イチョウ | ||||||
マツ 類: | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
被子植物: | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、など | ||||||
モクレン亜綱: | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
単子葉 類: | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
真生双子葉類: | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
以前の分類場所 | イラクサ目 | イラクサ科、アサ科、クワ科、ニレ科、など(イラクサ目はなくなる) | |||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
バラ目 群: | |||||||
バラ亜綱: | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
マメ 群: | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
バラ目 | バラ科、グミ科、ニレ科、アサ科、クワ科、イラクサ科、など | ||||||
クワ科 | パンノキ属、カジノキ属、イチジク属、ハリグワ属、クワ属、など | ||||||
アオイ群: | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
キク目 群: | |||||||
キク亜綱: | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
シソ 群: | ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
↓ | キキョウ群: | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) | ||
|
小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ |