名前の由来 キジュ Camptotheca acuminata |
キジュ 喜樹 |
中国原産であり、中国名「喜樹 Xi Shu」の音読みである。
昆明植物園の名札には、説明部に抗癌作用のことが書かれている。 |
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キジュの由来ははっきりしないが、一説に、1770年代に中国の植物学者がこの木の薬効を発見し、「人類を救う、幸運をもたらす木」として名付けられた というものがある。
福岡植物園の木は、福岡市と中国広州市が「友好都市」となってから10周年を迎えたことを記念して、1989年5月に植えられたもので、約20年前のことである。 |
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その説明には「生命力、繁殖力の強い木で、それを健康長寿や子孫繁栄に結びつけて「喜樹」と呼ばれている。」とある。
立て札を作るに当たって、中国側に喜樹の由来を確かめたに違いない。
確かにそうなのだとは思うが、「繁殖力の強い木」は何も喜樹の専売特許ではない。納得できる由来としては、今ひとつ。
英語圏ではもっぱら、喜樹を訳した Happy Tree と呼ばれている。
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別名 カンレンボク : 旱蓮木 |
これも中国名「旱蓮木」を音読みしたものであるが、由来はわからない。
意味としては「(水辺ではなく)土に生えるハスの木」ということになるが、ご覧のように、ハスに似ている点は皆無である。
カンレンボクの果実は、それぞれが中心の果床に一点で付いて球状になっており、バラバラが特徴であり、種子は中心から離れたところにある。
(前掲の果実の写真を参考) |
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「レン 蓮」のもとの意味は、実が独立しておらず、いくつもがひとまとまりになっている状態を表す名のようだ。
カンレンボクとは逆の付き方である。 |
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種小名 acuminata : 鋭尖の、漸尖頭の という意味 |
笹の葉の先のように、次第に尖っていく状態を示す言葉で、針状の集合果実にちなんでいるものと思われるが、葉の先端の状態を表しているのかも知れない。
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Camptotheca カンレンボク属 : |
ギリシア語で「曲がった」の意味の kamptos と、 「細胞」の意味の theke に由来するといわれている。『園芸植物大事典』
「曲がった細胞」とは何を指すのか?
属名を定義したのは、ベルギー生まれ、フランスの植物学者・農学者の Joseph Decaisne (1807-1882) であり、プラントハンターがアジアから採取してきた植物を研究したようだ。その多くは標本だったのであろう。
「曲がった細胞」は、丸い花がついた花序 (花柄) の湾曲した状態か、垂れ下がって生るボール状の果実、あたりではないだろうか。
『植物分類表/大場秀章』には掲載がないが、アメリカ農務省のデータベース GRIN に載っているので、問題ないだろう。 園芸植物大事典でも本種
一種しかない単型属、となっている。
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ヌマミズキ科 ニッサ科 Nyssaceae: |
一部に水辺に生える種類があり、ミズキ科に近い種類であるために、ヌマミズキという和名が付けられている。
学名のまま、ニッサ科ということも多い。
学名 Nyssa も「水の精」の名前にちなんで名付けられたようだ。『園芸植物大事典』、『植物學名辞典』
ニッサ科には、カンレンボク属 とハンカチノキ属、ニッサ属など 属の数は限られ、植物の数も少ない。
『週間朝日百科/植物の世界』では、ミズキ科として分類されており、独立した科とすることもある という但し書きがある。 |
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紅葉の美しい ニッサボク Nyssa sinensis |
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小石川植物園 11月末〜12月初め |
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ニッサボクの雄花 |
ニッサボクの果実 |
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