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科 名 : | キリ科 Paulowniaceae | |||||
旧分類: | ゴマノハグサ科 Scrophulariaceae | |||||
属 名 : | キリ属 Paulownia | |||||
Siebold et Zuccarini (1835) | ||||||
異 名 : | Paulownia imperialis Sieb. et Zucc. | |||||
英 名 : | princess tree , empress tree | |||||
原産地 : | 中国原産といわれるが、解明されていない。 | |||||
用 途 : | 材を取るために栽培される。 軽いが燃えにくく、狂いも少ないため、家具・建築の装飾・漆器用の木地・琴・下駄などに使われる。 |
小石川植物園には キリは植えられていない。 同じキリ属の「ココノエギリ Paulownia. fortunei」 があったが、枯れてしまった。 南東の管理区域内に ココノエギリがあるようだが、日本史においても重要な木のひとつである「桐」が無いのは、ちっょと不思議な気がする。 キリは古くから日本でも栽培され、昔から高貴な花として皇室の紋章にも使われてきたが、原産地は解明されていない。 日本の一部には野生状態のものも見られるが、ほとんどが材を使うために栽培されていたもの ということである。 |
樹形 と 花 |
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2009.5.11 高知県 |
ゴマノハグサか ノウゼンガズラ か |
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葉の様子 7月 | |
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都内で、アスファルトの隙間から芽を出したキリ。 高さ わずか90cmなのに 巨大な葉を付けていた。 その幅は 約55cm。 次の写真の方が大きさが分かり易い。 サイズは縦横とも60cm。 |
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幹 (市ヶ谷のお堀端) | 若い実とつぼみ |
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![]() 8月中旬に撮ったもの |
まだ若い果実は今年できたもの。 その右側は翌年咲く花のつぼみである。 花が咲くのは翌年の5月であるから、なんと 約9か月も前に しっかりとしたつぼみができている。 秋・冬・春をやり過ごして新緑時に咲く。 なぜこんなに早くから準備する必要があるのだろうか。 サクラなどは、冬芽からつぼみが出てきて咲くまで、早ければ1週間程度だろう。 もっとも 冬芽の中で見えないところにつぼみができるのは、ずっと前のことであるが・・・。 |
花の詳細 | |
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5月に ほんのりとした香りの 花を咲かせる。 萼には細かな毛、花の外側にも粗い毛が生えている。長さは 7〜8cm。 |
果実 と 翼のある種子 | |
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この写真は 都下神代植物園で 11月はじめに撮ったもの。 キリの実の直径はせいぜい3cm。 いかに種子が小さなものかが分かる。 花が咲いてから半年経っているが、まだ青い実と すでに割れて種子が出てきた実。 まさか昨年の実ということはないだろう。 |
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名前の由来 キリ Paulownia tomentosa | ||||||||
キリ 桐 : 切る に由来する |
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種小名 tomentosa : 密な綿毛のある という意味 | ||||||||
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Paulownia キリ属 : 人名に由来する | ||||||||
ゴマノハグサ科 胡麻の葉草科 Scrophulariaceae : | ||||||||
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キリの異名 Paulownia imperialis Sieb. et Zucc. について | ||||||||
必要な記述内容と標本を伴って、最初に論文発表された「正名」に対して、それ以外をすべて「異名」と呼ぶ。 具体的には 以下のようなものがある。 ・同じ植物にあとから付けられた違う名前 : 例えば 異なる地域に 分布する同一植物に、複数の研究者が別の学名を付ける事が ある。 先に発表されたものが 正名となる ・命名規約に則っていない学名 例えば 記載内容が不十分だったり、標本を伴わないもの ・旧分類の学名 新しい属が認められて分類し直された植物の、元の学名 ・自分が提唱する新しい学名 現在認められている学名に対して、自分の分類学上の考え方で 名付けた学名。 学会で賛同する意見が多ければ、正名になる 可能性もある シーボルトがキリに対して 「Paulownia imperialis」 という名前を付けた経緯を説明するために、少し長くなるがまず当時の様子を概説したい。 |
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ページ最後に記載した文献を参考にしながら記述した。 |
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シーボルトの来日 |
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2つの『日本植物誌』 |
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Empress Tree |
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植物の分類 : | APG II 分類による キリ の位置 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | ||||||
シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | |||||||
小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | |||||||
大葉植物(シダ類) : | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、ヘゴ、オシダなど | |||||||
種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | |||||||
裸子植物 : | 種子が露出している | |||||||
ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | |||||||
イチョウ類 : | イチョウ | |||||||
マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | |||||||
被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | |||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、など | |||||||
モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | |||||||
単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など | |||||||
真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | |||||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | |||||||
バラ目 群 : | ||||||||
バラ亜綱 : | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | |||||||
マメ 群 : | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | |||||||
アオイ群 : | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | |||||||
キク目 群 : | ||||||||
キク亜綱 : | ミズキ、ツツジ、など | |||||||
シソ 群 : | ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など | |||||||
以前の分類場所 | ゴマノハグサ目 | モクセイ科、ゴマノハグサ科、ゴマ科、キツネノマゴ科等 | ||||||
シソ目 | モクセイ科、イワタバコ科、ゴマノハグサ科、キツネノマゴ科、 ゴマ科、クマツヅラ科、ノウゼンカズラ科、シソ科、キリ科、など |
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キリ科 | キリ属 | |||||||
↓ | キキョウ群 : | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | ||||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) | ||
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キリ に関する メモ へ | |
・桐箪笥 ・12月のキリ ・紫式部と清少納言 ・桐紋 ・金庫とキリ |
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、 アメリカ農務省/GRIN Taxonomy for Plants、 園芸植物大事典/小学館、 週間朝日百科・植物の世界/朝日新聞社、 植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、 春日健二氏のホームページ「日本の植物たち」、 リンネとその使途たち/西村三郎、 文明の中の博物学/西村三郎、 日本の植物/シーボルト・瀬倉正克 訳、 日本植物誌・復刻版/植物文献刊行会 桐箪笥 相徳 のホームページ、 日本大百科全書/小学館 ほか |
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小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ |