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科 名: | マンサク科 Hamamelidaceae | |||
属 名: | マンサク属 Hamamelis Linn. (1737) | |||
中国名: | 金縷梅 jin lu mei | |||
英 名: | Chinese witch hazel | |||
原産地: | 中国中部 (安徽省・湖北省・湖南省・江西省・四川省・浙江省 など) | |||
特 徴: | 枯れた葉が開花時まで残る。 | |||
用 途: | 公園樹、庭園樹 |
正門を入ってすぐの、大きな案内地図の横に枝が伸び出していて、その裏には4・5本が植えられている。ロウバイと共に早々と開花し、冬の来場者の目を楽しませている。 |
園内の上の段にある 日本のマンサクとも較べたい。なお、古くに撮った写真が多い。 |
葉が残るのが特徴 2002.1.14. | |||
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花が咲き終わる頃まで葉が落ちないことが多いが、枝によっては、トップの写真のようにきれいに無くなってしまうこともある。 マンサクの開花開始はシナマンサクよりも遅い。花梗が長めで、花弁と萼片の色がうすい。 |
冬芽 と 花序 2011.1.11. |
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蕾が動き出したところ。前年枝(▼から上)は4節伸び、二ヵ所の葉腋に頭状花序をつけた。小花の数は3〜4個。冬芽は托葉芽鱗で、頂芽と腋芽がひとつずつ。 |
花弁が伸びる 2011.2.8. |
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4個の細長い花弁は内巻きで収納されている。萼の外側は毛で覆われており、葉とともに種小名 mollis(軟毛のある)の由来となっている。 |
典型的な短枝の開花例 2011.2.8. |
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多くの側枝では前年の伸びで2葉をつけ、その葉腋に花序をつけた例。 |
花(両生花)の詳細 2012.2.4. |
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4数性。雄しべの基部に小さな「仮雄ずい」があるそうだが、未確認。中央に先が2裂した柱頭が見える。萼の内側は毛が無く、光っている。 |
生育良好 2016.3.4. |
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この側枝では前年枝に5個もの花序がついていた。 |
樹 形 2022.3.1. |
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低木で株立ちとなる。開花中で枯葉がついたまま。冬芽はまだ伸び出していない。 |
樹 皮 2012.2.4. |
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筑波植物園。太いので約7センチ。太くなるにしたがって皮目が目立ってくる。 |
側枝の頂芽の伸長 2012.4.24. |
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開花終了後に伸び出す。側枝では頂芽だけのことが多い。 |
偽短枝につく新葉 2007.4.10. | |
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葉裏は軟毛で埋め尽くされる。托葉・葉柄・枝にも毛が生える。 葉の基部は左右が非対称。側枝では毎年2〜数葉をつけ、短枝*1)ほどではないが、節間が短く、短枝化した小枝を偽短枝*2) と呼ぶ。 |
*1) 短枝:節間の成長が無く、葉が束生する側枝 『植物用語事典』 *2) 偽短枝:『樹木生活史図鑑』 |
.2016.4.6 伸び出した冬芽 | 長枝の伸長 2025.4.21. |
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左:頂芽と頂側芽。托葉芽鱗で、自身の葉身と次の芽を包んでいる。 右:順次開葉していく。托葉はじきに脱落する。 |
新 緑 2025.5.10. |
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前掲写真と同じ場所。茶色い葉は新葉で、何が原因で枯れたのかかはわからない。この左側にも2株がある。 |
長枝の伸び方 2025.5.10. |
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▼が年枝境。前年枝は4節伸び、今年も4節伸びている。前年枝のすべての腋芽が伸びている。まだ明確な蕾はできていない。写っている一番大きな葉で 13cm。 |
葉 裏 2025.5.11. | |
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葉裏はかなり白い。触ると両面ともザラザラしているが、肉眼では(特に老眼では) その状態がわからない。 |
葉裏 | 葉表 |
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拡大率10倍のルーペを当てて撮ると、星状毛が葉表にもたくさん残っているのがわかった。数字は1mmを示す。 |
幼 果 2011.6.3. |
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よく結実する。表面にも毛が残るために、埃や黄砂などが溜まりやすい。 |
幼果の詳細 | |||
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子房は2室でほぼ上位。柱頭は残っているが、折れ曲がって茶色くなっているために、目立たない。 (小石川植物園の)マンサクの結実はごく少ない。成長度合いが違うが、ピンとした赤い柱頭が際立つ。 |
熟した種子の写真が無い。 |
黄葉したマンサク 2001.11.24. |
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シナマンサク の 位 置 |
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F15 | ●● | メインスロープの上り始め 右側、5・6株 |
名前の由来 シナマンサク Hamamelis mollis | ||
和名 シナマンサク : | ||
中国原産のマンサク。 マンサク H. japonica は日本固有種。 |
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マンサクの由来には2つあって、 @ まず咲く の意味 A 満作 の意味 と、まるで異なる説である。 |
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@は、開花が現在の暦で2月〜3月、つまり旧暦では正月を迎えてから「真っ先に咲く」、あるいは 葉が出る前に「まず 咲く」ところから名付けられた、というもの。 花に関しては ウメ の方が 早いように思うのだが・・・。 |
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Aの 満作 説は農民の「忌み言葉」によるものである。 春の山に早くから咲く花は美しいが、ほとんどの花は実を付けないために「シイナ花」とも呼ばれた。皆無ではなく少しは果実が生るのだが、咲く花の数からすると小石川の個体では1%もなさそうだ。 「シイナ・粃」は実の入らないモミのことで、「凶作」に通じることから嫌われて、反対の言葉である「満作」になった、というものである。マンサクの黄色い花が、黄金色に実った稲穂を連想させることも関係しているだろう。 「アシ」が「悪し」に通じることから「ヨシ」という別名が付けられている例もあるので、あり得ることである。 |
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中国名:金縷梅 | ||
シナマンサク および 中国での「マンサク属」の名に使われている。従って、マンサクに当てると誤用となる。 「縷」は、やっと目に見えるほどの細い糸のことで、マンサクの花弁を「金の糸」としたものである。 「梅」は早い時期に咲く花の代表、よい?香りがするので名付けたものだろう。 |
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Hamamelis マンサク属 : | ||
ギリシア語 hama (ともに、ギリシア語 同時) + melon または melo (ギリシア語 リンゴ・果実) の合成語。花と果実が同時につくことに由来するとのこと。 朔果が割れると、黒く 尖った楕円形の種子は、ほとんどが落下してしまう。 |
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2室の各室にひとつずつの種子ができる。目立たなかった柱頭が、鋭く曲がった状態で残っている(▲)。 | ||
マンサク科 Hamamelidaceae : | ||
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小石川植物園の樹木 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ |