ミズキ 水木
Cornus controversa Hemsl. ex Prain (1909)
別 名 : ダンダン(段々)の木
科 名 : ミズキ科 Cornaceae
属 名 : ミズキ属 Cornus Linn. (1737)
中国名: 灯台樹
英 名 : giant dogwood
原産地 : 南千島、日本、朝鮮半島、台湾、中国からヒマラヤまでと 分布域が広い
用 途 : 公園樹、庭園樹
材は白く柔らかいため、彫刻や細工、こけしの材料として使われる。

園内にはたくさんのミズキがあるが、真っ白な花の時期でなくても、枝が車輪状に広がるその樹形と 皺のある樹皮を見れば、すぐにミズキだとわかる。

         @:樹 形   2010.10.27
ハンカチの木の奥。 広々とした所に生えているわけではないため、本来の 完全に枝が横に広がる樹形をしたものではない。

       @      幹 の 様子       A
@の木は 目通りで50cm。 太くなると樹皮は縦に裂ける。
Aは下部で40cm

          A:70番通りのミズキ     2011.5.12
ここには大小3本のミズキが固まっているのだが、小石川植物園としては珍しく地面に届きそうな所まで下枝が生かされていて、観察にはもってこい。
左の写真では奥の高い木がミズキである。
          冬 芽    2007.12.23
 前年に延びた枝の長さは短く、10cm程度。
 
                   新葉 と 花序             2011.4.5
        開き始めた花  2004.4.28           満 開    2011.4.29
       4枚の花弁、対生する 4本の雄しべ  2011.4.29
花序全体で 直径15cm、ひとつの花が1cm 程度。 花は数日間咲いているので、全体が真っ白となる。

             葉の 表 と 裏       2011.5.13
細かな毛が生えているために 白く見える。

 2001.6.10            たくさん生る実            2000.10.1
鳥の好物だそうで、お陰で山地では離れた場所につぎつぎと育っていく。 A番の小さい木なども 鳥のフンから芽生えたものだろう。

      黒葉? 2008.12.3              黄 葉       2001.12.2
急な寒さに当たったためか、葉が黒くなることがある。 葉柄は赤く色付く。

  
ミズキ の 位 置
写真@ : D7 c -D8 a 30番通り 右側、ハンカチノキの奥
写真A : F7 c 70番通り 左手、大小 計3本
写真B : B7 b 10番通り左側      名札の間違い
D15 d 本館への坂道 右手奥
 その他 斜面などに多数、未調査地にさらにあるかも
 
名前の由来 ミズキ Cornus controversa

和名 ミズキ : 水の木 の意味
根の吸水作用が強く、それは2〜3月に最高となる。 このころ太枝を切ると 切り口から水がしたたり落ちる。      『朝日百科/植物の世界』

このため 春の剪定は禁物で、ミズキ属の植物は 9〜10月に行わなければいけない。
 
別名 ダンダンノキ : 段々の木
主幹は直立し、毎年 車輪状に水平な枝を出す。 

このため階段状の枝となり、その数と落ちた枝の数えて 3程度を足せば、およその樹齢となる。

右の木は若いので、ほぼ枝の数 8 ないし 9 が樹齢であろう。

種小名 controversa : 論争すべき、疑わしき の意味 
何という名前! 「よくわからないが、取りあえず付けておこうか」、とでもいう あやふやな学名である。 
ミズキの学名が付けられたのが 20世紀にはいってから(1909年)というのも不思議だ。
それはともかくとして、この学名の原因は、ミズキ属を以下のように細分化する見解があった事によるものと 思われる。 
ミズキ
サンシュユ属
ヤマボウシ属
ゴゼンタチバナ属



Swida Opiz (1838)
Cornus
Benthamidia
Chamaepericlymenum
APG分類体系では Cornus 一本になっているが、この名残が植物園の名札にも残っている。
    B:プラタナスの隣のミズキ
10番通り 左側。解説板のあるスズカケの木の隣だが、属名が Swida のままとなっている。
傾斜地のほかの木も 古い名札のまま。

Cornus ミズキ属 : 
ミズキ属のある種に対する ラテン名、 とする説と、ラテン語の「cornu つの」の意味から とする説がある。ところが「ツノ」の由来が 木の硬さにちなむと解説にある。すくなくともミズキの材は柔らかい。

弓のように湾曲するミズキの枝の付き方が、ツノに見えるのだが・・・・。
これは 花序が枝の頂部に付くため、次の年は先端ではなく、すぐ近くの脇芽から出た枝が次の「主な枝」となって伸びていくことによる。
 

前掲の 「狭義の Cornus属」 はサンシュユ属であるため、APG分類体系での呼び名を 「Cornus サンシュユ属」とする考え方もある。

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