名前の由来 モチノキ Ilex integra |
モチノキ : 黐の木 |
モチノキの樹皮から「とりもち 鳥黐」を作ったことから。
現在は鳥類保護のために禁止されているが、かつては様々な樹皮から鳥もちが作られた。モチノキ属のクロガネモチ、タラヨウ、イヌツゲ、ヤマグルマ科のヤマグルマなどであるが、モチノキの鳥もちが最上等とされて「ホンモチ
本黐」といわれていた。主成分は高級アルコールエステルで、樹脂やゴムも含まれているそうだ。
筆者は見たことはあるが、使ったことはなかった。竿の先に付けて 鳥や昆虫などを捕ると、粘着力が強すぎて羽などが傷んでしまうので、生け捕りにするためには枝に鳥もちを巻き付け、鳥笛やおとりを使ってそこに鳥が止まるのを待ったという。 |
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種小名 integra : 全縁の (鋸歯のない) という意味 |
学名の命名者は「タラヨウ」と同じく ツュンベリーが日本で見たもので、葉の縁の形状に基づくものである。トゲもない。
しかし・・・ |
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現在では、モチノキ属にはいくつもの「全縁の」種がある。
当時知られていたモチノキの仲間として、ツュンベリーの直接の師 リンネの著書『植物の種』(1753)には、5種+3変種が記載されていた。 |
1. Ilex aquifolium: |
セイヨウヒイラギ |
aquifolium は
凸頭葉の の意味 |
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2. I . cassine: |
ダフーンヒイラギ |
全縁だが先端
にトゲがある |
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Wikipedia より |
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3. I . asiatica: |
不明。 種小名はアジアの |
4. I. cuneifolia → Iodina cuneifolia
種小名は くさび形の葉の 意味 |
5. I. dodonaea → Comocladia illicifolia
モチノキ属のような葉の |
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asiatica については様子がわからないが、タラヨウにも鋸歯があるので、ツュンベリーがモチノキを記載した時点では、ほかには全縁のモチノキ属が無かったためだと思われる。 |
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Ilex モチノキ属 : |
セイヨウヒイラギ Ilex aquifolium L. のラテン名に由来する。 『園芸植物大事典』 |
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モチノキ科 : Aquifoliaceae |
F. ミラーが Aquifolium属 を定義したのは1754年であり、リンネの『植物の種』よりも後である。それなのに、なぜ科名に リンネが使った属名 Ilex ではなく Aquifolium
が使われているのかは 不明。 |
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