![]() |
|
|||
科 名 : | ショウブ科 Acoraceae | |||
園の名札: | サトイモ科 | |||
属 名 : | ショウブ属 Acorus Linn. (1737) | |||
中国名: | 金銭蒲 (ジン キアン プ) | |||
漢 名 : | 菖蒲、石菖蒲 | |||
英語名: | grass-leaf sweet-flag , slender sweet-flag | |||
原産地 : | 本州以南から琉球諸島。 韓国、台湾、中国各地、フィリピン、ミャンマー、インド | |||
用 途 : | 庭園の水辺に植えられ、盆栽や水盤物などに利用される。 地下茎を乾燥したものは漢方薬として健胃・鎮痛薬として使われた。 |
樹木ではないが、ショウブやアヤメの名前を整理し、単子葉植物の分類変化を確認するためにも、取り上げてみた。 |
① : セキショウ池 2011.4.22 |
![]() |
下の段のメイン通路 70番通りを行き、標識75番から始まる「島池」の左側に回り込むと、斜面の下にセキショウがびっしりと生えた湧水地がある。 水は左手の小さな沢から流れ込み、右側から島池にあふれ出る。 植物園の中の別天地。 水辺に立って崖に向かうと周りの音が消え、穏やかな気持ちになる。 |
池の右手 | 湧き出す水 |
![]() |
![]() |
流出口 |
![]() |
小道は 40番通り。 |
② : ハンノキ池のセキショウ 2011.4.22 |
![]() |
セキショウ池まで行く前に、最初の池 ハンノキ池の右岸にセキショウが群生していて、立て札も立っている。 |
② : 新 緑 2011.4.20 |
![]() |
常緑の葉は 幅の広い所で1cm程度、長さ30cm。 じつは 花が咲いているのだが、地味なので目立たない。 そばを歩いても気が付かないだろう。 |
セキショウの葉 | ショウブの葉 | |
![]() |
![]() |
セキショウの葉には、ショウブのような中央の筋(中肋)が無い。 これは葉が二つに折り畳まれているためで、元の方では内側の葉を抱いているが、上部ではそのまま閉じた状態である。 つまり、葉の両側共裏面ということになる。 合着しているので無理に開くこともできない。 |
花序 2011.4.22 |
![]() |
花は水芭蕉の花と同じ「肉穂(にくすい)花序」だが、苞は白くなく、葉と同じ形状である。 |
満開の花 2011.4.22 | |
![]() |
![]() |
同じ写真を拡大しているが、ピントが正確ではない。 花被片(花弁)が6枚あるそうだが、雄しべが目立ってわからない。 花序の基部から左側に伸びている部分が苞(総苞)である。 |
咲き終わった花 2011.4.22 |
![]() |
萎れた雄しべ以外に、子房の周囲が全体に茶色くなっている。 これが花弁だったのだろう。 なぜかわからないが滅多に実は生らないそうだ。 |
セキショウ の 位 置 |
![]() |
写真①: | E 7 | ○ | セキショウ池 |
写真②: | F 11 | ○ | ハンノキ池 |
名前の由来 セキショウ Acorus gramineus | |
セキショウ 石菖 : 漢名の音読み |
|
|
← ショウブ 菖蒲、 Acorus calamus Linn. (1753) | ||||
|
||||
|
← アヤメ 文目 | ||
|
||
|
セキショウ、ショウブ、アヤメ、ハナショウブ の比較 |
和 名 : | セキショウ | ショウブ | アヤメ | ハナショウブ |
分 類 : | ショウブ科(旧サトイモ科)ショウブ属 | アヤメ科アヤメ属 | ||
分布域 : | 本州以南から琉球諸島。 韓国、台湾、中国各地、フィリピン、ミャンマー、インド | 世界各地 | 日本、朝鮮半島、 中国東北部、 シベリア |
- (日本に自生する ノハナショウブから改良された園芸品種) |
古 名 : | ? | アヤメ | ハナアヤメ | - |
漢 名 : | 菖蒲、石菖蒲 | 菖蒲、白菖 | ||
中国名 : | 金銭蒲 | 菖蒲 | 渓蓀 | 花菖蒲 |
英語名 : | grass-leaf sweet-flag |
sweet-flag | flag | Japanese iris |
葉 : | 中肋は無い | 中肋がある | 中肋は無い | 中肋がある このため葉は ショウブに似ている |
アヤメ(現材のショウブ)のことは、『枕草子』にも書かれていて、邪気払いのために頭に飾る「あやめの鬘」、子供が刀に見立てて遊ぶ「あやめ刀」、風呂に入れる「あやめの湯」、酒に浸して飲む「あやめ酒」などの風習があったが、漢名の菖蒲の音が 尚武、勝負に通じるということで、武家の時代から次第に ”ショウブ” と呼ぶようになった。 |
種小名 gramineus : イネ科の、穀粒の という意味 | |
|
Acorus ショウブ属 : | ||
|
ショウブ科 Acoraceae | ||||
|
APG分類となっても ショウブ科が独立していることは変わりはないが、クロンキストの分類とは、科の構成(順番)が大幅に違っているので、その比較表を作ってみた。 |
植物の分類 : | APG II 分類による 単子葉植物 の分類 |
小石川植物園の樹木では単子葉植物が少ないので、いつも掲載するAPG分類の分類表では、「単子葉植物」の中は細分化していない。 双子葉植物では、クロンキストの分類 と APG分類 で分類場所が大きく変わった科や属があるが、改めて単子葉植物に注目してみると、やはり、構成がかなり変わっている。 そもそも、これまで単子葉植物は双子葉植物に続いて最後に分化したと考えられていたものが、割と早い時期、モクレン亜綱の次に分化した、となった。 馴染みのある科について、両分類で大きく変わったものに色を付けた。 これまで多くの学者が頭をひねって、何百年も掛かって出した結論が随分と変わってしまった事が、今回の分類見直しが面白い点でもある。 |
クロンキストの分類 | → | APG分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
→ |
「ランは最も進化した形態」などと言われていたのが 嘘のようだ。 ショウブは 単子葉植物の中では最も早くに分化した と考えられている。 |
植物の分類 : | APG II 分類による ショウブ の位置 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
大葉植物(シダ類) : | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、ヘゴ、オシダなど | ||||||
種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
裸子植物 : | 種子が露出している | ||||||
ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | ||||||
イチョウ類 : | イチョウ | ||||||
マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、アウストロベイレヤ | ||||||
モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、イネ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
オモダカ目 | ショウブ科、サトイモ科、オモダカ科、ハナイ科、アマモ科、など | ||||||
ショウブ科 | ショウブ属 のみ | ||||||
真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
バラ目 群 : | |||||||
バラ亜綱 : | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
マメ 群 : | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
アオイ群 : | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
キク目 群 : | |||||||
キク亜綱 : | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
シソ 群 : | リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
↓ | キキョウ群 : | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) |
小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ |