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科 名 : | ソテツ科 Cycadaceae | |||
属 名 : | ソテツ属 Cycas Linn. (1737) | |||
中国名 : | 蘇鉄 | |||
原産地 : | 九州南部、奄美、琉球諸島 ジャワ島にかけて分布 |
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用 途 : | 庭木、盆栽として 植栽 葉は花材に使われる 昔大飢饉の時に、種子や幹の澱粉をさらして食用にしたという。 |
正門をはいって 緩い坂を登り始めたすぐ左側、「精子発見のソテツ」の看板があるソテツ群である。 |
ソテツ園 2010.11.3 |
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高さは 大きなもので 約 2.5m。7株ほどがあるが、看板の右横にある雌株が「精子発見のソテツ」から取り分けて植えられたものである。 |
夏の様子(雄株) 2010.9.20 |
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ソテツは裸子植物(種子が果肉などに包まれずに そのまま露出している植物)であり、イチョウと共に 最も原始的な性質を持っている。 そのひとつが精子の存在。 雄株から「精子」が飛んでいくわけではなく、被子植物と同じようにまず花粉が雌株に到達する。 詳しくは後半に・・・・。 |
幹の形 立教大学 1010.12.26 | 葉の様子 分類標本園 2007.6.3 |
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若木では枝分かれしないが、古い株では分枝する。見た目が悪いので 栽培時には古い葉を切り取るが、残った葉柄の基部はいつまでも落ちない。 立教大学の中庭の株では葉をまとめてあった。東京では化粧に近いが、大雪に見舞われた時に 葉が折れてしまうのを防ぐためである。 |
新葉の展開 2001.7.20 |
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葉は1回羽状複葉。 初めは柔らかいが、成長して色が濃くなると先端が尖って痛くなる。 ソテツは雌雄異株で、共に幹の頂部から 花に相当する生殖器官が出てくる。雄株 ・雌株の成長の様子を並べてみよう。 年によって成長の具合は前後するので 日付はあくまで参考である。 |
雄 株 | 雌 株 | |
2002.7.28 | 2004.7.3 | |
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↓ | ↓ | |
2001.7.20 | 2001.7.20 | |
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2001.8.5 | 2002.8.24 | |
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2002.9.29 | 2004.9.11 | |
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この後は 雌株 大胞子葉の柄の部分にできた朱色の種子が成熟する。年が明けても 見た目には ほとんど形は変わらない。 |
崩れた 雌の生殖器官 2005.3.26 |
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本当は もっと種子が残っていたはずだが・・・・。種子にも毛が付いている。 そして、夏になると 中心を突き破って 新芽が出てくる。大胞子葉が、「葉」の変化した器官だと考えれば、新芽が中央から出てきてもおかしくない。 |
2003.6.22 |
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まるで巨大なユズリハのようだ 2008.7.5 |
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2003.7.20 |
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下の枝が剪定されると 一年間のサイクルが終了する。 |
ソテツ の 位 置 |
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写真① : | F15 a | ● | 正門をはいって すぐ左手 分類標本園にもある |
名前の由来 ソテツ Cycas revoluta | ||||
ソテツ 蘇鉄 : |
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種小名 revoluta : 反巻きの という意味 | ||||
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Cycas ソテツ属 : | ||||
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奄美大島 あやまる岬のソテツ自生地 2007.4.7 |
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奄美大島 笠利崎付近のソテツ 2007.4.7 |
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トピックス |
精子発見のソテツ | ||||||||||
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精子はどこに | ||||||||||
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被子植物 | ソテツ | |
雄の生殖器官: | 雄しべ 葯の中に花粉がはいっている |
雄株の小胞子葉(小胞子囊穂とも)の裏に無数の花粉囊があり その中に花粉がある |
雌の生殖器官: | 雌しべ(通常は柱頭・花柱・子房からなる)。 子房の中に「胚珠」がある |
雌株の先端に大胞子葉が付き、その柄の部分に種子の元である「胚珠」が剥き出しとなっている |
花粉の付き方: | 雌しべの先端である柱頭に着く | 胚珠の中に直接はいる |
花粉管の延び: | 柱頭から花柱の中を 胚珠まで伸びる | 卵細胞に向けて少し伸びるが 到達はしない |
受精のしかた: | 伸びた花粉管が卵細胞に到達し、「精細胞2個」を 直接卵細胞に送り込む | 伸びた花粉管から、繊毛が生えた「精子」が出てきて 泳いで卵細胞に到達する |
雄花の花粉を観察しても 精子はまだできていない。 受粉した朱色の種子の中を観る必要があるが、ソテツの精子はイチョウの精子(約 0.1mm)よりずっと大きく、約 0.2~0.4 mmあって 肉眼で見えるそうだ。 |
植物の分類 : | APG II 分類による ソテツ の位置 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
大葉植物(シダ類): | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど | ||||||
種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
裸子植物 : | 種子が露出している | ||||||
ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | ||||||
ソテツ科 | ソテツ属 | ||||||
イチョウ類 : | イチョウ | ||||||
マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、など | ||||||
モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
バラ目 群 : | |||||||
バラ亜綱: | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
マメ 群: | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
アオイ群: | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
キク目 群 : | |||||||
キク亜綱: | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
シソ 群 : | ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
↓ | キキョウ群: | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) |
小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ |