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科 名 : | ニシキギ科 Celastraceae | |||
属 名 : | ツルウメモドキ属 | |||
Celastrus Linn. (1737) | ||||
原産地 : | 日本。朝鮮半島、千島列島南部 | |||
英語名 : | Oriental bittersweet | |||
備 考 : | 雌雄異株でつる性 観賞用、花材に栽培される。 茎の繊維が丈夫でしなやかなため、薪などを縛るのに使われた。 |
生け花の材料として よく見かける実。植物園では分類標本園に植えられている。 |
樹 形 2000.5.21. |
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毎年剪定される株からツルが伸び出した状態。雌株と雄株は間近に植えられていて、ツルは交錯する。 古い写真で発色が良くない。 長く伸びるツル(栄養枝)には 花が付きにくい。纏い付く樹木などがあると十数メートルになるが、単独では「低木」状態となる。筑波植物園や目黒の自然教育園には「幹」の太さ 10センチ以上の大木がある。ともに 国立科学博物館の付属施設。 |
筑波植物園の ツルウメモドキ! 2011.6.4. |
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分類標本園で見慣れていた目には、とても同じ種とは思えない太さ。 |
自然教育園の 幹の様子 2012.11.4. |
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新緑の様子 2007.5.19. |
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雌株の枝の様子 2013.5.6. |
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昨年の枝から 比較的短い側枝が出て、その葉腋、場合によっては「芽鱗の腋」に多くの花序が付く。雄株も花の付き方は同じ。 |
雄 花 2013.5.6. |
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雌花に較べて、雄花の小花の数は多い。 |
雄花 と 萼 2013.5.6. |
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萼もちゃんとあるが、花全体が緑色なので 目立たない。 |
雌 花 2013.5.6. |
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白い柱頭は3裂。雄しべもあるが退化している。 |
幼 果 2007.5.19. |
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丸くなった果実 2007.6.3. |
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黄色く色付いてきた果実 2008.10.5. |
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すでに朱色の実が見えるが、熟して色付くのではなく、果皮が裂けて中の仮種皮(かしゅひ)が露出したもの。 |
2008.11.2. |
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花弁などは5数性だが、子房は3室。仮種皮については後半に。 |
ツルウメモドキ の 位置 |
井 戸 側 |
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売 店 側 |
分類標本園: | 売店側から 13列目 左側 |
名前の由来 ツルウメモドキ Celastrus orbiculatus | |||
和名 ツルウメモドキ : つる性の梅擬き | |||
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← ウメモドキ 梅擬き Ilex serrata | |
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2000.6.4 雌花 ウメモドキ 果実 2010.10.8 | |
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種小名 orbiculatus : 円形の | ||
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属名 Celastrus :ツルウメモドキ属 | |
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ニシキギ科 Celastraceae : | ||||||
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ツルウメモドキ の命名物語 |
は正名、 | は異名、 | ||
図版は主に Biodiversity Heritage Library より |
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年 | 学 名 | 命名者 | 備 考 | ||||||||||
1753 | Celastrus | リンネ | ツルウメモドキ属 | ||||||||||
![]() 以下 略
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年 | 学 名 | 命名者 | 備考、種小名の意味 | ||||||||||
① | 1784 | Celastrus orbiculatus | ムレイ | 正名、円形の | |||||||||
5月 ~ 6月 |
![]() 以下 略
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年 | 学 名 | 命名者 | 備考、種小名の意味 | ||||||||||
② | 1784 | C. articulatus | ツュンベリー | 異名、関節のある | |||||||||
8月 |
![]() 以下 略
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植物の分類 : | APG II 分類による ツルウメモドキ の位置 |
原始的な植物 |
↑ | 緑藻 : | アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など | |||||
シダ植物 : | 維管束があり 胞子で増える植物 | ||||||
小葉植物 : | ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など | ||||||
大葉植物(シダ類): | マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど | ||||||
種子植物 : | 維管束があり 種子で増える植物 | ||||||
裸子植物 : | 種子が露出している | ||||||
ソテツ 類 : | ソテツ、ザミア、など | ||||||
イチョウ類 : | イチョウ | ||||||
マツ 類 : | マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など | ||||||
被子植物 : | 種子が真皮に蔽われている | ||||||
被子植物基底群 : | アンボレラ、スイレン、など | ||||||
モクレン亜綱 : | コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など | ||||||
単子葉 類 : | ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、ツユクサ、ショウガ、など | ||||||
真生双子葉類 : | キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など | ||||||
中核真生双子葉類: | ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など | ||||||
バラ目 群 : | |||||||
バラ亜綱: | ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など | ||||||
マメ 群: | ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など | ||||||
ニシキギ目 | ニシキギ科、カタバミノキ科 | ||||||
ニシキギ科 | ツルウメモドキ属、ニシキギ属、モクレイシ属、クロヅル属、など | ||||||
アオイ群: | アブラナ、アオイ、ムクロジ、など | ||||||
キク目 群 : | |||||||
キク亜綱: | ミズキ、ツツジ、など | ||||||
シソ 群 : | ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など | ||||||
↓ | キキョウ群: | モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など | |||||
後から分化した植物 (進化した植物 ) |
色々な 仮 種 皮 |
ツルウメモドキの赤い部分は 仮種皮(かしゅひ、かりしゅひ)と呼ばれる。ニシキギ科や その他時々現れる言葉「仮種皮」とは何か? モクレイシの項の掲載と 重複。 |
受精後、種子が完成するまでの間に、珠柄または胎座などが肥大して、種子全体を覆うまでに成長した構造。種衣(しゅい)とも。 |
糖質や油質成分があることが多く、動物による種子散布に役立っている。(胎座:子房の中の胚珠の付く壁面。側膜胎座や中軸胎座など、様々な型がある) |
・液質の仮種皮の例 |
イチイ 2000.9.17. | イヌマキ 2012.12.23. |
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種子を取り囲んでいる。 | 花床が肥大したもので 甘くて食べられる。 |
・肉質の仮種皮の例 |
ツルウメモドキ 2008.10.5. | トベラ 2011.11.5. | ||
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ヒゼンマユミ 2012.1.4. | |||
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種子は落ちやすく、果皮が残る。 | 丸い種子を包んだ橙色の仮種皮 | ||
ライチ | ニクズク | ||
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白い果肉状の部分を食べている。 | 赤い仮種皮を乾燥させたものがメース。 |
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