ユズ 柚子
Citrus junos Sieb. ex Tanaka (1924)
科 名 : ミカン科 Rutaceae
属 名 : ミカン属 Citrus Linn. (1735)
中国名 : 香橙 xiang cheng
漢 名 : 柚 you
原産地 : 中国大陸、カラタチと同様に揚子江上流域であるとも言われている
用 途 : 食酢、ジャム、マーマレード、飲料
食材、入浴剤 など
ウンシュウミカンやネーブルなどの台木とされる

常緑樹林の一番奥。高さ 5m程度。

①:樹 形    2012.5.23.
10番通りで北方向を見ている。  10番通り↑

南方向を見る       2011.5.18.
 ↑10番通り
右奥に サネブトナツメの冊が見える。

②:名札の無い ユズと思しき大木
東側の道路から撮った写真。①よりも日当たりが良いせいか、たくさんの実が生っている。

①:幹の様子  2015.2.12.
すべすべした感じの 黄土色。幹にはトゲは無い。

枝の刺        2013.3.12.
この木には めったにトゲが見られない。よくよく探すと、鋭いとげが。これは 側枝の「ひとつめの葉」が変化したもの、といわれている。この写真でも 上向きに枝が出ているので、(二本目の)枝と考えることはできない。
ただし、複芽のひとつが刺に変化し、翌年にふたつ目が枝として伸びる、と考えられなくもない。

4年生枝のトゲ 腋芽は別にある
なんとか探した若いトゲ。刺と芽の関係やいかに?

葉の様子       2013.3.12.
枝は細く まばら。葉が二段になっているのは 葉柄に大きな「翼」 が付いているためで、翼葉(よくよう)と呼んでいる。
一方で、翼葉と葉身との境に ”くびれ・関節” があるので、複葉との見方もある。二枚の葉 ではなく、関節から上の部分を小葉と見なして、「単身複葉」と呼ぶ。

花          2015.5.8.
ミカン属に共通の細長い5弁の花。香りも良い。

①:数少ない実        2013.3.12.
この写真は年を越して遅くに撮った写真だが、もともと 日が当たらない環境のせいか、毎年 数えるほどしか実が生らない。


 
ユ ズの 位 置
①: B4 a 標識26の手前 右手、10番通り寄り
②: A4 b 標識16番右側 塀際


名前の由来 ユズ Citrus junos

和名 ユズ 柚子 :









現在の中国名は 香橙 xiang cheng だが、日本に渡来したのは非常に古く、飛鳥時代か奈良時代と推定されているので、当初は漢名が伝わったものと思われる。

『本草綱目』李時珍 (1596)には「柚」とある。また それ以前の名あるいは別名として、櫾(ユウ・ユ)、條、壺柑、臭橙、朱欒 などが挙げられているが、これらの植物が今のユズと同一という保証はない。 (右の ”釋明” に続く部分)

また同書には「柚」の由来が書かれている。

(左の 時珍曰く、以下)柚色油然たり、其の状 卣(ユウ、酒樽)の如き、 故に壺と名し、また形を象る。

最後の部分が少々意味が通らないが、ユウは酒を入れる壺で、奈良国立博物館の青銅器が参考になる。
 卣(紀元前11~紀元前10世紀)
転載不可のため
下記 URLを見て下さい
http://www.narahaku.go.jp/
collection/d-1317-68-1.html

ユズの実の形が 酒壺に似ているので「ユウ」と名付けられたことがわかる。それがなぜ「柚」の字になったのかは不明だが、「由」の字は 酒粕を絞る竹の籠の形からきている。

さらに「柚子」とはユズの種子のことなのか、実のことなのかなども不明。日本に「柚子」の字が伝わった時に、その音 ユウツゥ、ユウヅィ が変化して、ユズ となった。

種小名 junos : ユノス 柚の酸 による
ユノス(柚の酸)は のちに当てはめられた由来だろう。
もともとの命名者はシーボルトということなので、19世紀の呼び名のひとつだったことになる。

Citrus 属 :
ミカン類を表すギリシア名 あるいラテン名といわれるが、由来は不明。
citrus から フランス系の citron が派生したようだ。
            (Merriam-Webster による)

ミカン科 Rutaceae :
科名として ミカンの名が付いているが、基準となる属 Ruta 属は「ヘンルーダ属」である。

『園芸植物大事典』によると Ruta は、下の写真「ヘンルーダ」の古代ラテン名に由来する とあるが、Ruta の意味は不明である。
 
ヘンルーダ 花の詳細

小石川植物園

撮影は5月27日

小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ