アンスリウム・クプリスパツム
Anthurium cuplispathum
T.B. Coat & J. Rodr. (1995 出版 1996)
科 名 : サトイモ科 Araceae
属 名 : ベニウチワ属 Anthurium Scott (1829)
原産地 : エクアドル
用 途 :

撮影地: ハワイ州 ハワイ島

アンスリウムといえば 草丈60センチ程度のカラフルな花、だとばかり思っていたが、

巨大な葉         2012.6.19.
ヒロ市北方の ハワイ熱帯植物園で、1m以上ある葉のサイズに ビックリ!

1mどころか、スケールになってもらった彼の身長からすると、1m60センチは有りそうだ。

全体像
前掲写真の裏側から。 株の高さで70センチ。

新しい葉
半透明の黄緑で、葉柄と中肋(葉脈の中央)は赤い。

葉の付け根
心臓型ではなく、ヨダレ掛けのようになっている。

花序の出かた
出始めは上を向いているだろうが、早くに垂れ下がる。
 
(次の写真↓) 苞が赤いだけでなく、花序全体が紅色をしている。
左:未開花、 右:成熟した雄花
アンスリウム類は両性花なので、左で 白くなったのが花粉だと思われる。 詳細については、観察する時間がなかった。


名前の由来  Anthurium cuplispathum

和名 : なし

種小名 cuplispathum : 殻斗状の仏炎苞 という意味
cupla は「殻斗」、spatha が「仏炎苞」である。 普通のアンスリウムは次の写真のように「仏炎苞」が平開して、肉穂花序を包み込む形にはならない。
アンスリウムの園芸品種
殻斗とは、特にブナ科に見られる特殊な総苞片で、多数が合着して椀状になったもの。
殻 斗
本種は 苞が 花序を包み込んでいるところから、「殻斗状の」という形容詞を付けたもの。 また 垂れ下がって咲くところも違う。

Anthurium  ベニウチワ属 : 
和名は 日本に導入 あるいは 輸入された、初期のアンスリウムが赤かったためだろう。 現在の園芸品種は 紫・ピンク・白・黄緑・緑 など カラフルである。
普通のアンスリウムの葉も、付け根部分は U字型になっている。

サトイモ科 : ヤマイモ に呼応する名称
サトイモ(里芋)の別名は ハタケイモ(畠芋)で、原産地は インド東部から東南アジア。 一方ヤマイモは中国で、渡来したイモの種類が二つになった時に、 両者を区別するため が付けられたのだろう。

サツマイモは江戸時代に伝わり、カライモ(唐芋:外国のイモ)と呼ばれた。 また アンデス山脈原産のジャガイモは、1600年頃 オランダ人によって伝えられ、ジャカルタ + イモで ジヤガタライモと呼ばれたものが、省略形の ジャガイモとなった。

イモ は ウモ の転訛したものといわれている。 「南方から伝えられたために、いくつかの南方語をベースに、土中に ウモ(埋)れた、ウマ(甘好)いもの、という日本語の意義付けが付加されて、古代の ウモ(芋) が成り立った。」 『語源辞典 植物編/吉田金彦』を要約

Araceae : 
サトイモ科の基準属は Arum アルム属。 属名は、古代ギリシアの名 あるいは 古代エジプトの名前といわれているが、意味はわからない。

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