ワニナシ 鰐梨 、 アボカド
Persea americana Mill. (1768)
科 名 : クスノキ科 Lauraceae
属 名 : ワニナシ属 Persea Mill. (1754)
nom. cons.
英 名 : avocado , avocado-pear
スペイン名 aguacate , palto
原産地 : メキシコ、コスタリカ、ガテマラ、ニカラグア
用 途 : 果実を食用とする
撮影地: ポルトガル 、ハワイ

リスボンの アボカドの樹形
リスボン植物園で見た「高木」、高さ 10m強。 事典によると 25m にもなるという。

日本で見る「クスノキ科」の実は小さいものが多く、ラベルの解説の中に「avocado」の字を見つけるまでは、まさかこの高い木の上にぶら下がる青い実が、あのアボカドだとは思わなかった。
 
クスノキ ニッケイ


幹の様子 若い樹皮
直径約35cm。
新宿御苑温室 (2003年)

                葉と実の様子          2009.10.1
葉のサイズは様々だが、ここに写っているものは20cmぐらいである。
実のサイズは6cm。 表面はつるっとしていた。


                 ハワイの農園で         2012.6.21
ハワイ島の ワイレア農場。 アサイー・ヤシと呼ばれる 芯を食べるヤシを中心に、アボガドその他の果物も栽培している農場。 木の高さ 約5m。

                    新 葉             2012.6.21


                        インドネシアのボゴールで                2009.1.10
写真右の店は緑のばかりだが 大きさは様々。
ともに 写真左の店で。 品種は不明。 右の実は水平に割ったもの。


園芸的には3つの系統に分けられるそうだ。
果皮が薄くて滑らかで小さい「メキシコ系」、 3つの中では中間のサイズの「西インド系」は熱帯に適し、色が豊富。 もうひとつは、サイズが大きくて皮が厚く いぼ状の突起があることが多い「グアテマラ系」である。

ポルトガルのものはメキシコ系であろう。

熱帯アメリカでしか知られていなかった果物?であるが、現在では様々な栽培品種があり、20世紀に入って世界的に消費されるようになった。
Wikipedia より
名前の由来 ワニナシ Persea americana
 
ワニナシ 鰐梨 、ワニナシ属 :
グアテマラ系の黒い「いぼ」を、ワニの背中の凸凹に例えたものである。
 

種小名 americana : アメリカ産の の意味 
原産地の北アメリカ南部、中央アメリカを指している。
 
Persea アボカド属 : 
『園芸植物大事典』によると、
「エジプトのある植物に対して、テオフラストスが用いた名前」 ということである。 意味は不明。

テオフラストスは紀元前3世紀、ギリシアの哲学者・博物学者・植物学者である。
植物規約開始以前では、Persea という属名は プルミエ (1646-1704) が使っていた。 ところが、リンネ (1707-1778) がこれを 「クスノキ属」にまとめてしまったため、改めて フィリップ・ミラー (1691-1771) が定義し直した。
 
クスノキ科 Lauraceae
クスノキ科の基準になる属は「ゲッケイジュ属 Laurus」である。
 
クスノキ属の 50種に対して、ゲッケイジュ属は世界に2種しかないが、地中海に自生するゲッケイジュは、ギリシア・ローマの時代から「勝利・栄誉」の印であったのだから、代表となるのも当然であろう。
 
しかしその名の由来は、ケルト語の「blaur あるいは laur 緑」 ということで、ごくありふれた「常緑」ということが根拠である。
ゲッケイジュの冠を優れた詩人に送って不朽の名声をたたえる、という別の風習への思い入れがあったようである。
 
ゲッケイジュ 葉 と つぼみ

 
小石川植物園
高さ 約7m

 

 

アボカド avocado : 
スペイン語の "aguacate" が変化したものであるが、もとは ナワトル語の "ahuacatl" に由来しており、その意味は「睾丸」である。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press
        園芸植物大事典/小学館
        Wikipedia
        Merriam-webster
        GRIN Taxonomy for Plants/U.S. Dept. of Agriculture
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