ビワバアオキ 枇杷葉青木 
Aucuba eriobotryifolia  Fa Tsuan Wang (1949)
 

 
科 名 : ミズキ科 Cornaceae
APG分類:  ガリア科
属 名 : アオキ属 Aucuba Thunb. (1783)
原産地 : 中国雲南省
用 途 :
撮影地 : 日本植物園
 
写真は小石川植物園で撮影したものである。
葉の裏側は白い。
 

樹高 3.7m 幹の様子

 

中央左の縦の細い枝は、折れてぶら下がっているもの。

ビワバアオキはアオキと違って、ミズキ属本来の樹形をしている。
毎年1段ずつ背を伸ばしていくが、水平に出る枝の数は少なく、2〜3本である。
初めは青い枝も、4年もすると普通の茶色い枝となる。
 
ビワバアオキの実
アオキの実と同じ様子であるが、赤い色にはならない。
 
2006.10.29 撮影
 
名前の由来  ビワバアオキ Aucuba eriobotryifolia

ビワバアオキ : 「ビワに似た葉を持つアオキ」の意味。
お世辞にもビワの葉に似ているとは言えない。「リーフパイ」のイメージである。

敢えて類似点をあげるならば、@表の葉脈が凹んでいる A裏が白い ぐらいであろう。
ビワバアオキの葉 ビワの葉

裏返しの葉は、手で押さえながら撮影したものである。

表の葉脈は凹み、裏側は出っ張っている。

 
種小名 eriobotryifolia : 「ビワ属のような葉の」という意味
和名がビワバアオキとなった理由は、学名に「ビワバの」という種小名が付いていたためと思われる。

それがなければ、中国原産なので「シナアオキ」としたいところだが、これはAucuba chinensis という別種があり、すでに命名済みである。
 
Aucuba : アオキ( 青木 )属
1775年に長崎出島の商館医として来日し、江戸へ参府して将軍にも謁見したツュンベリーが命名したものである。
当時の呼び名 アオキバ(青木葉)に基づいているが、意図的にか、あるいは聞き違えたものか、「アオキバ」と「アウクバ」では綴りがかなり違う。

アオキ属はヒマラヤから中国、日本に3〜4種あり、「アオキ」は日本固有の種である。
 
ミズキ科 Cornaceae : cornu (角) に由来するといわれている
一般的に角(ツノ)は硬いものであるが、ミズキの材は白くて柔らかく、東北地方のこけしをはじめとして細工物に使われる。
なぜ ツノに由来するのか、不明である。

ミズキ(水木)の名は、ミズキが地下からの吸水作用が強く、枝を切ると水がしたたり落ちることから名付けられた。
 
ミズキ ミズキの花と葉

 


毎年1段づつ背を伸ばし、枝は横に広がる。

別名 : ダンダンノキ、段々の木
 
ビワバアオキ ←
 アオキ Aucuba japonica Thunb. (1783)
日本原産で、北海道から沖縄まで広く分布している。
アオキは葉だけでなく、枝や幹まで緑色をしているところから「青木葉」の名が付けられた。
現在の名は「葉」が省略されたもの。

青木の葉は皮質で薄くてツヤがある。

ビワバアオキとアオキの葉を較べると、ビワバアオキの方が
  ・色が灰色を帯びている。特に裏は白い毛が多い。
  ・葉に厚みがある
  ・厚みがあるだけに歯牙の先端部分も硬く、刺状である。
  ・葉の大きさにもよるが、葉脈の数が多い
といえる。
 
葉の様子 根元の様子

アオキは根元から何本もの枝が生える、叢生の傾向がある。

 
アオキの花 アオキの実

実の写真
コピーライト:春日健二
春日健二氏のホームページ
「日本の植物たち」から
 
アオキは雌雄異株。

左の写真は暗紫色の雌花が咲いているところである。赤い実が生るところから雌株が好まれるようだが、私は「パス」...である。
 

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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        花と樹の大事典/植物文化研究会 編、
        春日健二のホームページ「日本の植物たち」
世界の植物 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ
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