トックリキワタ 徳利木綿
Ceiba speciosa Ravenna (1998)
 ←Chorisia speciosa A. St. Hil. (1828)
科 名 : パンヤ科 Bonbacaceae
属 名 : パンヤノキ属 Ceiba Mill. (1754)
英 名 :
原産地 : ブラジル、ほか 南米各地(ボリビア、ペルー、アルゼンチン、パラグアイ)
用 途 : 観賞樹、庭園樹、キワタノキと同じように種子の繊維が利用される。

南米先住民の Matico はこの繊維を「矢を防ぐ上着」に使ったという。
撮影地 : ポルトガル 、日本 沖縄

リスボンに トックリキワタ?  熱帯の樹木ではなかったのか?
沖縄では露地にあったが、内地では温室。
 
樹形 満開!
撮影は10月初め。 場所は中心部から少し離れたベレーンの、有名なジェロニモス修道院の横である。

調べてみると、夏は東京より低いが、冬の最低気温が8度 というのがいいのかもしれない。夏の降水量は少なく、10月以降に増えてくる。
修道院のすぐ近くには「熱帯植物園」さえある。

この木は リスボン中心街の公園やリスボン植物園でも見かけた。
 
リスボン市街地の街区公園 植物園の近く

 
枝振り
天気が良かったので、よけいにピンクが映える。
枝には「トゲ」がびっしりと生えているが、この写真ではわからない。
 
植物園の木 幹のトゲ
こちらは花がほとんど終わっていて、葉が茂ってきている。
幹は「トックリ状」にはなっていない・・・。
 
沖縄のトックリキワタ
丸いつぼみ

花は葉が出る前に咲く。
中心に黒い斑(点)が入っているものとないものがあった。
咲き始めは少なく、終わりになると黒くなるのかも知れない。
 
修道院の方 植物園のもの
  
名前の由来  トックリキワタ Ceiba speciosa

トックリキワタ : 幹の下部がトックリ状にふくれるキワタの木
「トックリ」の名は、ヤシ、アナナス、ラン などで使われている。
 
種小名 speciosa : 美形の という意味
花の鮮やかさによる。
 
Ceiba パンヤノキ属 :
ケイバ Ceiba は、カリブ海地域のインディアンによるカヌーの呼び名。
大木となるパンヤノキの幹を丸木舟の材料とした。材は柔らかく耐久性は劣るが、加工しやすい利点がある。

17種類がおもに熱帯アメリカ、1種がアフリカに分布している。
 

本種を Chorisia属とする考え方があったが、『Mabberley's Plant - Book 』 が パンヤノキ属としているので、そちらを採用した。
 

以下は、パンヤノキ の記述と重複する。
 
パンヤ科 Bombacaceae : bombycinus (絹の糸の意) から。
ワタのなる木ということから、キワタ科とも呼ばれる。分類学上も「ワタ」の属する「アオイ科」に近い。

熱帯に分布し、果実や種子を食用にしたり、果実の毛を綿のように利用したりと、有用種が多い。

28属200種ほどの小さなグループで、バオバブノキ属、キワタノキ属、トックリキワタ属、パンヤノキ属、ドリアン属、バルサ属、パキラ属などがある。
 

 キワタ ←ワタ ( 綿 ) : Gossypium hirsutum L . (1753)
現在世界で栽培されている綿には4種あるが、中でもアメリカをはじめとして一番多いのが、日本でも一般にワタと呼ばれている一年草の「リクチメン」である。

古くはメキシコで栽培されていたものが、世界中に広まったものという。
ワタの歴史は極めて古く、今から 7,800 年も前のエジプトの遺跡からワタの実が発見されている。

属名 Gossypiumは ワタのラテン名 gossypionに由来する説が有力であるが、アラビア語のgoz(やわらかい物)に由来するという説、gossum (腫れ物) に由来するという説もあり、はっきりしないそうだ。

種小名 hirsutumは「粗毛のある、剛毛のある」の意味。
 

右上の写真は花と若い実。
下が割れた実で、まだ綿の
繊維は硬く締まっている。

いずれも 小石川植物園
 



参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社
        MABBERLEY'S PLANT-BOOK
        GRIN アメリカ農務省のホームページ
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