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別 名 : | シロキワタ、カポック、セイバ | |||
科 名 : | パンヤ科 Bonbacaceae | |||
属 名 : | パンヤノキ属 Ceiba Mill. (1754) | |||
英 名 : | kapok tree , silk-cotton tree white silk-cotton tree |
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原産地 : | 現在では世界中の熱帯地方にあるが、原産地は不明 | |||
用 途 : | 果実の綿状の繊維を布団、枕などの詰め物に用いる。 | |||
撮影地 : |
セネガル 、シンガポール 、 インドネシア 、日本 温室 |
ダカール市街地のほぼ中心。フランスの援助で建てられた、「フランス文化センター」の中庭にそびえ立つ大木である。 高さは 25 m 以上 ありそうだ。 パンヤノキということは、帰国してからわかったことであり、「パンヤ」が、こんな大きくなる木から採れるものだとは知らなかった。 ぶら下がる紡錘形の果実は10〜30cmにもなり、「カポック」と呼ばれている長い綿毛のついた種が放出される。 上の写真は 10月で、セネガルでは一応雨期であるが、地域によっては乾期に実が生るようだ。 |
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板根といえば西表島などにある「サキシマスオウノキ」が有名であるが、実物は見たことがなかった。 初めて板根を見て 感激! 板根は、湿地帯などで地中に酸素が乏しい場合に、横に伸びた根の上側だけが発達したものであるが、板根の下側は土の中にはほとんど伸びておらず、下端で水平に切れているそうだ。 つまり地面に乗っかって幹を支えているだけで、そのまま深く地面の中に食い込んでいるわけではなくて、その先は恐らく通常の「根」となっているものと思われる。 |
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1月下旬 乾期の初め の姿 | 地面に落ちた花 | ||||||||
花びらの長さは3cm程度 |
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まだ本格的な乾期ではないためか、部分的にまだ葉が残っている。 うしろのレンガ色の2階建てが「フランス文化センター」の本館。 |
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たくさんの蕾が鈴なりになっている(1月) | |||||||||
木が大きいだけに、ただだだ見上げるだけで、葉などの詳細は明らかでない。 |
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大きく横に張り出す枝 | 参考写真 若い幹の刺 | ||||||||
生長した幹では刺は無くなる |
新宿御苑温室 |
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パンヤ科の植物には幹に刺があるものが多い。パンヤノキも若い時には円錐形の白い刺がある。 |
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シンガポール植物園のパンヤノキ エコ・ガーデンにある小山の上に植えられたパンヤノキ。 40cmぐらいの幹はまだ緑色で、いかにも若い木だ。 しかし、この木には「トゲ」がない。 |
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こちら側(北側)から見ると、あまり板根が発達していないように見える。 |
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ところが 傾斜に沿って、根が長々と伸びており、根元では板根が「発達中」であった。 地面に近い 茶色くなりかけた部分に較べて、「板」の上部は「緑色」である。これは上に向かって成長しているため、表皮が割れて、中の若い部分が見えている状態である。 |
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小山の下へと伸びる根 | 成長の証 | ||||||||
根の表面が膨らんで、緑色の表面に ひび割れができている。 何年かあとには、立派な板根に育っているだろう。 |
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葉の様子 | |||||||||
若い木だけに、手に取れるところに葉が茂っていて、掌状複葉の様子がよくわかった。 小葉の数は、小さな葉では6枚、通常は7枚のものが多い。 |
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ボゴール植物園のパンヤノキ 正門からは遠く離れた「カフェ」の近くに位置する。 この木には、板根にも「トゲ」が残っていた。 |
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セネガルの木と同じ形の「板根」 | |||||||||
幹の直径は板根の肩(高さ 約 4m)で、1.1〜1.2m。 足下に置いたリュックがスケールとなる。 梢には、熟した果実「パンヤのワタ」が生っており、地面にも大量に落ちていた。 |
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枝で熟したあとに落ちたものばかりでなく、熟す前に落ちたと見えて、ワタがまだ硬く丸まった状態のものもあった。 |
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皮の方に、窪んだ丸い網目状の模様がある。 そのせいで、膨らむ前のワタが独立してトウモロコシ状態になっている。 並び方は、トウモロコシほどきれいではない。 |
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種子は少しいびつな球形で、不定形の突起がある。 地面に草が生えていて乾燥しにくいせいか、ボゴールの木の下では落ちた種子が発芽していて、辺り一面双葉だらけ。 本葉が出ているものもあった。 |
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最初の「本葉」の小葉の数は、2枚から5枚まで 様々である。 独立行政法人 森林総合研究所「林木育種センター」のホームページを参考にすると、上の写真は発芽後1ヶ月程度の状態のようだ。 |
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名前の由来 パンヤノキ Ceiba pentandra | |||||||||
パンヤノキ : パンヤが採れる木。 |
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Ceiba パンヤノキ属 : | |||||||||
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種小名 pentandra : 「5雄蘂(ユウズイ)の」という意味。 | |||||||||
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パンヤ科 Bombacaceae : bombycinus (絹の糸の意) から。 | |||||||||
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別名 カポック | |||||||||
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参 考 1 | |||||||||
Bombax キワタノキ属 : ワタのギリシア名 bombax に由来する。 |
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名前の混乱 |
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参 考 2 | |||||||||
トックリキワタ (徳利木綿): Chorisia speciosa St.Hil. |
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キワタ ←ワタ ( 綿 ) : Gossypium hirsutum L . (1753) |
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植物のトゲについて 植物にも、動物にも刺を持つものがあり、サボテンのように乾燥地帯で蒸散を防ぐために葉が変化したものもあるが、一般には外敵から身を守るためとされている。 しかし、同じ場所の隣りどおしで成長している樹種でも、刺がないものも多い。なぜその木は刺を持つようになったのか。 種が多様化していった時に、突然変異でいきなり全身刺だらけの木ができたのか。 刺がちょっとだけできたものが動物に食べられにくくて、それが生き残っていったのか.....。 |
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、 園芸植物大事典/小学館、 週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社 森林総合研究所・林木育種センターのH.P. スーパーニッポニカ/小学館 |
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世界の植物 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ |