名前の由来 チョウジ Syzygium aromaticum |
チョウジ 丁子 : 丁字 とも書く |
香料としての丁子はもっと早くに入って来たようだが、植物としてのチョウジが日本に伝えられたのは8世紀 奈良時代頃といわれている。
中国(唐)や新羅を通じてのことであろう。名前も中国名と考えられる。
「丁」は象形文字であり、古い字形「●」は釘を上から、「┳」は横から見た形である。 現在の日本の「丁」には 釘の意味は見あたらない。
チョウジの蕾が釘に似ているために、古く中国で 「丁」の字が当てられ、「丁子」 「丁香」と呼ばれたものである。 和名は その音読み。
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種小名 aromaticum : 香気のある、の意味 |
残念ながら花が咲いていなかったので その匂いを嗅ぐ事ができなかったが、枝や葉にも良い香りがある。
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フトモモ属 ( 蒲桃 属 ) : |
フトモモ Syzygium jambos は熱帯アジアの植物である。 中国でも 福建、広東、貴州、海南、四川省などに自生している。 |
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フトモモ |
京都植物園 |
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「蒲」の字は通常「ガマ」として使うが、柳の一種である「カワヤナギ」の意味もある。
蒲桃の由来ははっきりしていないが、葉が細長く、甘くてバラに似た香りのある果実が生る植物を、「川柳の葉を持つ 桃」 としたのかも知れない。
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「フトモモ」も中国名に由来するが、意味としては 「桃」 が重複している。
現代の 「蒲桃」 の発音は「pu tao プ タオ」。
「プータオ」 が 「プートオ」に変化したのだが、蒲桃としてはそれだけでよいのに、さらに理論的には不要な「モモ」が付いている。
「フト」だけでは物足りなかった?のか、漢名を見て 「モモ」を付け足したくなったのか?
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Syzygium 属 : |
事典のふりがなは「シジギウム」。 ギリシア語 syzygos で「癒合の、結合した」という意味である。 フトモモ属のある種の花弁の状態にちなんで名付けられたという。 『園芸植物大事典』
約 500種がある。
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フトモモ科 Myrtaceae : |
科の基準属は Myrtus ギンバイカ属 である。 |
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ギンバイカ |
小石川植物園 |
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「ギンバイカ」は5枚の白い花弁を持つ小さな花を「銀の梅」としたものである。 地中海から南西ヨーロッパの原産で、常緑の葉と良い香りが古代人に尊ばれて、様々な神話や伝説に登場する。
属名は ある種のギリシア古名 myrtos に由来するそうだ。
なお、フトモモ科の中国名は「桃金娘 tao jin niang 科」。 これは日本にも自生する 「テンニンカ 天人花 Rhodomyrtus tomentosa」を科名に用いているためである。
各国それぞれで科名や属名を付ける時に、学名的に科や属を代表する植物が自国にない場合、代わりに その国に自生する植物を代表として命名する事がよくある。 |
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テンニンカ |
小石川植物園 |
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
園芸植物大事典/小学館、
週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
Wikipedia、
図説 花と樹の大事典/植物文化研究会
芳香植物/南方日報出版社 |
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