セネガルの首都ダカールでは、街路樹としても使われているポピュラーな樹木である。
ただし、花の色は私の好みではない。
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花と 葉の形 |
ぶら下がる実 |
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10月 撮影。 2度目にセネガルを訪ねたとき、事典の「甘味がある」という説明を真に受けて 実をかじってみたが、まずかった....。
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葉の様子 |
街路樹 |

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高さは4m強で、市街地の街路樹としては小さすぎるかも。
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沖縄のアメリカチシャノキ |

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名護郊外の「熱帯亜熱帯都市緑化植物園」にあったもの。
2000.10.30 撮影。今ではさぞ大きくなったことであろう。
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名前の由来 アメリカチシャノキ Cordia sebestena |
アメリカチシャノキ : |
アメリカ原産のチシャノキの意味。
ここで言う「アメリカ」は中米から南米北部のことを指す。
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Cordia カキバチシャノキ属 : 人名に由来する |
属名Cordia は 16世紀ドイツの医師、植物学者である Valerius Cordus (1515-1544)
を記念して名付けられている。
コルドゥスは1540年に初めて「エーテル」を合成した人である。
カキバチシャノキ属は世界中の温暖な地域に広く分布し、250種以上がある。『朝日百科/植物の世界』
和名「カキバチシャノキ属」は、「カキに似た葉を持つチシャノキ」という意味で、「チシャノキ属
(Ehretia)」に近い仲間の、葉が「カキノキ」に似ているグループに対して名付けられたものである。
チシャノキ属(少なくともチシャノキ)には葉の縁に細かいギザギザ(鋸歯)があるが、カキバチシャノキ属にはこれがない事や葉脈がへこんでいるところ、表面につやがあるところなどがカキの葉に似ている。
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アメリカチシャノキの葉 |
カキの葉 |
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種小名 sebestena : 意味は不明。
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ムラサキ科 Boraginaceae : |
香水を取るヘリオトロープ、歌にもうたわれるワスレナグサ、そして古来 紫色の染料として使われたムラサキなどを含み、約100属2,000種もの種類がある比較的大きな科である。
ムラサキ科の基準属はBorago属。学名の由来はラテン語 borra で「剛毛の」の意味であり、この属あるいはムラサキ科の植物が硬い毛で覆われていることが多いためである。
日本でのムラサキ科の代表選手「ムラサキ」はいまや自生しているものが少なくなり、「危急種」に指定されている。
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ムラサキの花 |
ムラサキの花は紫色ではなく「白」。 紫の染料は根から採れる。
写真は
奈良の万葉植物園で |
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アメリカチシャノキ |
← チシャノキ (萵苣の木) Ehretia ovalifolia Hassk. (1844) |
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若い葉が食用となり、その味が「チシャ」(レタスはチシャの一種)に似ているために名付けられた。
「葉の味」にちなんで樹木の名前が付けられているのは非常に珍しい。
チシャの栽培は中東で始まり、紀元前4500年(今から 6,500年前!)のエジプト墳墓の壁画に、野菜としてのチシャの記録があるという。『園芸植物大事典』
チシャは、奈良時代に中国から日本に伝えられたというが、一方で「チシャノキ」は日本に自生し、建築材や器具材として使われてきた。
チシャが中国から伝わる以前から、日本でチシャノキが利用され あるいは認知されていたのであれば、「チシャノキ」以外の名前で呼ばれていた可能性が大きい。 |
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チシャノキの葉 |
チシャノキの幹 |

この写真では「鋸歯」の状態はわからない。 小石川植物園
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チシャノキには「カキノキダマシ」の別名がある。
葉が付いている状態ならば、ちょっと注意して見ればカキノキと間違うことは少ない。しかしチシャノキは落葉樹であり、葉が落ちた状態では、その枝振りや幹の様子がカキノキに似ているところからこの名が付いた。
カキノキダマシが「本名」(もとの名)だった可能性は?..
どうだろうか?
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チシャノキ ← チシャ Lactuca sativa Linn. (1753) |
キク科アキノノゲシ属と聞くと、なんだか野菜のチシャのようには思えない。
チシャの古名は「チサ」で、チチクサ(乳草)が短くなったものといわれている。葉をちぎると乳液がでるためである。
チサが訛ってチシャとなった。
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
園芸植物大事典/小学館、
朝日百科/植物の世界/朝日新聞社、
山と渓谷社/樹に咲く花
植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
春日健二 氏のホームページ『日本の植物たち』 |
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