リュウケツジュ 龍血樹
Dracaena draco Linn. (1767)
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科 名 : リュウケツジュ科 Dracaenaceae
属 名 : リュウケツジュ属 Dracaena
Vand. (1762)
原産地 : カナリア諸島、マデイラ島、南モロッコ、
ベルデ岬諸島
絶滅危惧種で野生のものはほとんどないそうだ
用 途 : 幹と葉から採れる赤い樹液を、塗料の着色剤・写真製版・薬として利用した。
観賞用として栽培される。
撮影地: ポルトガル 、スペイン

リスボンの市街地、丘の上にあるリスボン大学植物園に植えられていたもの。
土手の下の道を通りかかった時には その大きさに気が付かず、改めて離れて見て驚いた。

樹 形
人と較べると大きさがわかる。 これで一本の木である。
普通の樹木なら驚くこともないが、観葉樹としてなじみがあるドラカエナ属に こんな木があるとは。

朝日百科『植物の世界』 や 『MABBERLEY'S PLANT-BOOK』によると、かつて 高さ 20 m、幹周り 12 mの大木が存在していて、樹齢 6,000年といわれていたが、1868年に大風で倒れてしまったそうだ。

根元 と 幹
普通はまず地面から直立するようだがが、この木は地際で枝分かれしてしまっている。  成長は極めて遅く、枝分かれするのは10年に一度とのこと。

別の木の樹形
リスボン郊外の 熱帯植物園。 こちらの樹高は 4m弱。

若い幹 葉の付き方
マドリット植物園 温室

若い実 熟した実
熟した実が無数に地面に落ちていた。

乾いた実と 種子
実の直径は15mm、種子の直径は7〜9mm。

名前の由来 リュウケツジュ Dracaena draco

和名 リュウケツジュ 龍血樹 : 
木から採れる樹脂が英語名で dragon's blood (竜の血) と呼ばれているところから。

樹脂は暗赤色であり、種小名 draco や属名が「竜」の意味であるために、竜の木から採れる赤い液体 「竜の血」という名が付けられた。

科名・属名の和名も リュウケツジュ である。
 
種小名 draco :
そのものずばり 「竜」の意味。

命名者のリンネは、『植物の種 第2版』(1762) で一度アスパラガス属として命名したが、自身でリュウケツジュ属に分類し直した。
このため学名は、
    Dracaena draco (Linn.) Linn.
ということになっている。  
 
Dracaena属 :
ギリシア語 drakaina (雌の竜)に由来する。
恐らく、巨大な木の形から連想したもの。

同じ名前が並んでいる学名を、初めて目にした・・・。
リュウケツジュは 「竜の中の竜」という事になる。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社
        園芸植物大事典/小学館
        MABBERLEY'S PLANT-BOOK/D. J. Mabberley
        Wikipedia
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