フウリンブッソウゲ 風鈴扶桑花
Hibiscus schizopetalus Hook. f. (1880頃)
科 名 : アオイ科 Malvaceae
属 名 : フヨウ属 Hibiscus L., nom. cons.(1737)
原産地 : 東アフリカザンジバル島
英 名 : Japanese hibiscus , Japanese lantern
中国名 : 吊灯花
用 途 :

観賞用

撮影地 : SENEGAL
ダカール大学構内の、木陰に生えていたもの。

以前、東京夢の島の「熱帯植物館」で初めてこの花を見たときには、その形に、おおいに感動したものである。 その花が路地で咲いているのであるから、やはりセネガルは暑い国なのだと実感した。

樹 形


高さ2.5m程度。
花だけでなく、枝も枝垂れている。

 
切れ込んだ花ビラ 江戸風鈴



花のまあるい形は、花びらが反り返ってできたもの。
 
名前の由来 フウリンブッソウゲ Hibiscus schizopetalus

フウリンブッソウゲ
 :
説明の必要がないほど ぴったりの名前。

アオイ科の雄しべは雌しべのまわりに合着しているため、1本となってこれが「短冊」に見える。

ブッソウゲについては、後半で説明する。

種小名 schizopetalus : 分裂花弁の という意味
フウリンブッソウゲの細かく裂けた花びらの状態を表している。

Hibiscus フヨウ属 、ハイビスカス属 :
Hibiscus は日本語では「ハイビスカス」と呼んでいるが、ラテン語読みは「ヒビスクス」である。
由来は、エジプトの神 (Hibis) と ギリシア語の似る (isko) から「神に似た」という意味であるという。
 

フヨウ
属 : 芙蓉属
ロゼールの記載と同じ内容
アオイ科フヨウ属は、熱帯・亜熱帯・一部の温帯に約250種。
フヨウの由来は、漢名「木芙蓉」の音読みモクフヨウのモクが省略されたもの とあるが、芙蓉の意味までは載っていない。

漢和辞典を引くと、芙蓉は蓮(ハス)の異名 とあった。
そう言われれば、縦に脈がはいったピンクの花びらは蓮の花びらに似ている。「木芙蓉」すなわち「蓮のような花が咲く木」というのも納得できる名前である。
フヨウの花

 
 
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 ブッソウゲ(扶桑花) : Hibiscus rosa-sinensis Linn. (1753)
扶桑(フソウ)は中国の古い伝説で、東海の日の出るところにある神木である。
その木に咲く花ということから「扶桑花」という名前が付けられたものが日本に伝わり、音読みが訛って「ブッソウゲ」となったといわれている。
ブッソウゲのイメージ
右の写真はあくまで「イメージ」で、実際は、ハイビスカスの園芸品種のひとつと思われる。


 種小名 rosa-sinensis : 中国のバラ という意味
ブッソウゲの学名を付けたリンネは、これを中国原産と考えて「中国のバラ」とした。しかし、本来上の写真のようなブッソウゲに対して、なぜ「バラ」という名を付けたのか?

その理由は、インドで採取されて リンネの元に届けられたとたと思われる標本が「八重咲き」であったためである。
『植物の種』 694ページ Hibiscus rosa-sinensis の項を見ると、「葉は鋸歯があり、無毛で、尖った楕円形」のあとに、flore pleno rubicund 「花は八重で類赤色」とある。

事典によると「雑種起源の園芸品種に命名したと考えられる」ということで、現在でもブッソウゲの原産地は不明であり、最近ではインド洋諸島でできた「雑種植物」という説があるようだ。

参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        SPECIES PLANTARUM (復刻版)/植物文献刊行会、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        図説 花と樹の大事典/植物文化研究会 編、
        新明解 国語事典/三省堂
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