ウァティカ・ラサック
Vatica rassak Blume (1856)
← Retinodendron rassak Korth. (1839)
科 名 : フタバガキ科 Dipterocarpaceae
属 名 : ウァティカ属 Vatica Linn. (1771)
原産地 : インドネシア(ボルネオ)、パプア・ニュー・ギニア、フィリピン
用 途 : 材が硬いので利用されるが、木が大きくならないのが欠点。 
採取される樹脂がワニスの材料とされる。
撮影地: シンガポール

シンガポール植物園で見たもの。 その実は「カキ」に似ており、フタバガキの名前の由来になった属ではないかと思う。

しかし 事典には載っておらず、GRIN にも本種は存在せず 情報が少ない。


樹形 (高さ 5m) 枝振り

葉の様子

細長い葉 枝に残るのは托葉か

うすい黄色の小さな花。 こんなに咲くのに、実が生るのはひとつだけ?
バックの葉は別の木である。

渋柿のような実            2014.7.3

たくさん落ちている古い ” カキの実 ”
乾燥している上に皮が厚く、割るのに苦労した。 長さ 6〜7cm。

名前の由来 Vatica rassak
和名 : なし

種小名 rassak : 不明
最初の命名者は 頭文字を大文字としたようなので、熱帯地方での呼び名(固有名詞)だろう。 ホームページ 「 Plants of Southeast Asia 」 によると、本種のマレーシアでの名前 rasak に由来するそうだ。

Vatica 属 : 不明
 

フタバガキ科 Dipterocarpaceae
日本では、フタバガキ科の自生は無い。 代表する属は 分類上の基準属 フタバガキ属 Dipterocarpus属である。 

事典には単純に「2枚の羽根を持ったカキ」と説明されていることが多いが、Dipterocarpus は、ギリシア語の dis 「2」+ pteron 「翼」+ karpos 「果実」 であって、どこにも「柿」の意味は含まれておらず、その果実は属名の通り 2枚の翼が発達している。 これが「フタバ」の由来である。 しかしその実は、「カキ」とはいえない形をしている。 ほかの種で、もっと大きな実があるのだろう。

フタバガキ属 Dipterocarpus の果実

同じく「サラノキ属 Shorea 」も、発達する翼の枚数は違うが「カキ」には見えない。
Shorea guiso Shorea pinanga


本種 「ウァティカ属」の実は明らかに「カキ」に似ているので、ほかの種で、「双葉付きの柿の実」があるのかも知れない・・・。

参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社
        Mabberley's Plant-Book 3rd.edition/D.J. Mabberley
        Wikipedia
世界の植物 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ