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科 名 : | ウリ科 Cucurbitaceae | |||
属 名 : | ハネフクベ属 Macrozanonia Cogn. (1893) |
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別 名 : | ヒョウタンカズラ、アルソミトラ | |||
原産地 : | マレーシア、インドネシア | |||
用 途 : | 種子は熱帯植物園での目玉商品。 |
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撮影地 : | インドネシア ![]() |
トップの写真は、ボゴール植物園の作業員が見せてくれたものである。 まさか、ハネフクベの種子を目にすることができるとは考えていなかったので、大感激! 詳細は 後半に・・・。 日本各地の植物園では、ハネフクベの魅力的な種子は常に格好の展示品である。 中でも 伊豆熱川バナナワニ園では、種子が滑空する様子をコンパクトにうまく表現していた。 |
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ボゴール植物園を訪れたのは1月上旬で、雨期の真っ最中。 といっても、本格的なスコールにあったのは4日間の内、1日だけ。 植物の状態は一般的には「果実」のシーズンだったが、種類によってバラバラで一概には言えない。 ハネフクベに関しては、残念ながら「葉」だけだった。 |
カナリウムの大木に絡みつく ハネフクベ | |
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← この写真は、TBSの「教科書に載せたい!」で使われた。 (2012年8月7日) ![]() |
垂れ下がっているのが ハネフクベ である。 たとえ花や若い実があっても、はるか彼方では見ることができないだろう。 |
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太いつるの様子 | 葉 の様子 | ||||||||||
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左の写真は 地面から2mの位置で、つるの太さは10cm以上。写っている葉のほとんどは、カナリウムである。 ハネフクベの葉は ちょうどハートの形をしている。 |
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落ちていた 実の様子 | |||||||||||
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落ちてから、相当に日にちが経っている。 丸い実の大きさは 約20cm。 もちろん、中は空っぽ。 |
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この写真は、京都植物園の「展示品」である。実の下側がみっつに割れる。実の中でも、種子は3方に分かれてつくようだ。 |
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名前の由来 ハネフクベ Macrozanonia macrocarpa | |||||||||||
和名 ハネフクベ : 羽根が付いた種子がある フクベ |
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Wikipedia より |
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別名 ヒョウタンカズラ : 瓢箪の生るツル植物 | |||||||||||
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種小名 macrocarpa : 巨大な実の | |||||||||||
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Macrozanonia属 : 巨大な Zanonia属 という意味 | |||||||||||
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ウリ科 瓜科 | |||||||||||
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Cucurbitaceae : | |||||||||||
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ハネフクベ ← |
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フクベ (ユウガオの別名) Lagenaria siceraria Standl. (1930) | |||||||||||
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ユウガオ の実 | |||||||||||
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写真は「竹風庵慕堂 のホームページ」 から 管理者の田中さんから掲載許可取得済み |
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長野市保健所の ホームページより |
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トピックス ハネフクベが滑空する理由 | |||||||||||
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この、破れのない、きれいなハネフクベの種子。 ボゴール植物園まで出かけたとはいえ、そもそも見ることも、手に入れられるとも考えていなかった。 それが、一日目に いとも簡単に手に入ったのは、植物園の庭師の「内職」のお陰だった。 ビジターが「植物好き」と見るや 作業小屋に誘って、種子の詰まった実を見せてくれる。 こちらは 「えっ、これ 貰ってもいいの?」 と嬉しくなって、紙の間に挟んで大事にリュックに入れる ・・・。 お礼を言ってまた観察に戻ろうとすると、庭師が後から付いてくる。 迂闊にも、初めはなぜ付いてくるのかわからなかった。 が、「なるほど」と合点して、チップを渡したのはよかったが、なにぶんにもインドネシア初日だったため、ルピーの価値の感覚がなくて、とても少ない額だった。 庭師はとても不満そうな顔をしていた・・・。 |
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ヘリコプター カエデ・ヤモメカズラ・ヒマラヤスギ・ニレ・マホガニー・フタバガキ類 など、種子に「翼」がある植物は数え切れないが、ほとんどのものは、風がなければ 回転しながらほぼ真下に落ちる。 |
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イロハカエデ | マホガニー | ||||||||||
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シマモミ | フタバガキの一種 | ||||||||||
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グライダー ところが、ハネフクベは風を待つ必要がない。 たとえ浮力が生じなくても、バランス良く滑空すれば、遠いところに到達できる。 試しに室内で、2mの高さから水平に離してみると、優に5mは滑空する。 20mの高さからだと「50m」、うまく風に乗ればもっと飛ぶのだろう。 ただし、翼の左右のバランスが悪いと回転してしまい、遠くへは飛べない。 |
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オブラートのような翼は中央が厚く、周囲ほど薄い。 内側の厚い部分には皺があって、折れ曲がりにくくなっている。 周囲には「輪郭線」のような平らな部分があって、外周部分が特に薄くてしなやかである。 どの角度で離しても、一瞬の後に水平飛行となる。 これは、落下のスピードが速くなると、周囲の柔らかい部分が少し曲がって抵抗となり、向きを変える働きをしているためだ。 翼に厚みがあるわけではないが、この皺・膨らみが、浮力が生じる要素かもしれない。 ポイントを整理すると、 |
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これらの要素によって、わずかに前傾した状態でバランスが取れ、落下することなく、「前方に」滑空することができるのだ。 ハング・グライダーも、「重り」としての人間がぶら下がらなければ、ひらひらと落下するだけである。 |
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press 植物の世界/朝日新聞社 植物學名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎 Four Guided Walks/Bogor Botanic Garden 竹風庵慕堂 のホームページ Wikipedia |
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