ジャケツイバラ 蛇結茨
Caesalpinia decapetala Alston var. japonica H. Ohashi (1975)
← Caesalpinia japonica Siebold et. Zuccarini (1845 ?)
日本
科 名 : ジャケツイバラ科 Caesalpiniaceae
(マメ科 Fabaceae)
属 名 : ジャケツイバラ属 
Caesalpinia Linn. (1775)
英 名 :
原産地 : 山形・福島県以西の本州、四国、九州、琉球諸島、中国やヒマラヤまで分布する。
用 途 : 観賞用として、また枝に刺があるため、生け垣に用いられる。
公園樹や道路の植栽用。
 
種子はマラリアの解熱、止瀉薬、駆虫薬に使われる。
 
花の写真は筑波の実験植物園で撮ったものである。
 
樹形
つる性ではあるが、このように自立する。高さ2m。
 
今年の枝(つる) 太い「幹」
若い枝の刺はバラそっくりである。そして年々刺も成長するようだ。
 
ヘビのような姿
目黒の自然教育園では、クマザサの中に太いヘビが横たわっていた。
 

 
名前の由来 ジャケツイバラ 
Caesalpinia decapetala var. japonica
 
ジャケツイバラ 
蛇結茨 : 
蛇結茨。その恐ろしげな名前は、ちょうど蛇のような太さになる枝や鋭い刺の小枝が絡まった様子を表している。
 
しかし、きれいな花に注目してみると、これぞまさに黄色い蝶「オウコチョウ」である。赤い雄しべが蝶の腹のようにも見える。
「チョウチョイバラ」、「チョウカ(蝶花)イバラ」、「コチョウイバラ」などもよいと思うが、名前を付けた時には、林の中で蛇のように見える枝の方が目立ったのであろう。
 
ジャケツイバラの学名について
ジャケツイバラに初めに学名を付けたのは、1823年に来日したシーボルトである。シーボルトはジャケツイバラ属の一種として、Caesalpinia japonica 「ニホンジャケツイバラ」という名を付けた。
 
後年ジャケツイバラは、元東北大学教授の大橋広良氏によって、「シナジャケツイバラ Caesalpinia decapetala の変種」としてCaesalpinia decapetala var. japonica と訂正された。var. はvariant の略である。
 
両者の違いは、シナジャケツイバラの豆果に褐色の短毛が密生しているのに対して、ジャケツイバラには毛が無い という点である。
種小名 decapetala : 花弁が10ある という意味
ジャケツイバラ属の花弁の数は5枚である。
decapetala の名が付けられたのは「シナジャケツイバラ」であり、実物も写真も見たことがないのでなんとも言えないが、「ジャケツイバラ」の写真をよく見ると、萎れかかった花に同じ色の小さめの萼が残っている。事典には「萼は早くに落ちる」とあるが、萼を合わせて「花弁が10枚」ということであろうか?
 
まさか「採取したシナジャケツイバラが八重咲きだった」ということはないであろう。
変種名 japonica : 日本の、日本産の という意味
 
Caesalpinia ジャケツイバラ属 : 
属名 カエサルピニアは、ローマ法王クレメンス8世(在位1592 - 1605)の侍医で植物学者の、チェザルピーノ (A. Cesalpino ラテン語の綴り Caesalpinus) を記念している。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        漢和中辞典/角川書店
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