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別 名 : | オオアブラギリ | |||
科 名 : | トウダイグサ科 Euphorbiaceae |
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属 名 : | アブラギリ属 Aleurites J. R. Forst. et G. Forst. (1775) |
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英語名 : | China wood-oil tree | |||
原産地 : | 中国南部 | |||
用 途 : | 昔は種子から油を採るために栽培された。 桐油は空気に触れると酸化して固まる乾性油で、和紙にしみこませて油紙とし、傘や提灯、雨合羽などに使うために盛んに栽培された。 毒性があるために食用にはならないが、その後は印刷用インク・ニスなどに用いられた。 |
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撮影地 : | 日本 ![]() |
小石川植物園にはなぜかアブラギリがないが、「薬園」のすぐ近くに2本のシナアブラギリがある。 面積が限られた植物園では木が込み入っていることが多く、往々にしてひょろ長く伸びてしまって、下の方には枝がない。 幸いにしてシナアブラギリの1本は開けた薬園に面しており、枝垂れた枝の花を撮影できた。 |
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葉の様子 | 新葉の様子 | |||||
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葉は浅く3つに分かれるが、小さめの葉では心臓型のものが多い。 |
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落葉樹 | 葉や花は枝先に付く | |||||
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高い梢に咲く花 | ||||||
アブラギリ属は雌花と雄花が別々だが同じ木に両方が咲く、雌雄同株である。 | ![]() |
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実 (ミ) は両方の木に生るのだが、枝垂れた方の枝には雄花が少ない。 最近になって、ようやく両方が咲いている写真が撮れた。 事典の記述によると雌花の花弁も5枚だが、この雌花は8枚である。 雌しべの先端は5つに分かれている。 |
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もう1本の木の梢にはいつもたくさんの花が咲いており、雄花は萎れる前に早いうちから落下して、地面が花だらけになる。 |
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落ちている 雄花 を集める (4月末) | ||||||
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花の直径は 25mm ぐらい。 下の写真は5枚の花弁のうちの2枚を取り去って、横から写したもの。 おしべが「2段」になっているのがわかる。 |
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雄花ばかりが目立つ理由は、 ・雌花は枝先に通常1個 (まれに複数) しか付かないため、数が少ない。 ・雄花は花柄ごと (花の形のまま)落下するが、雌花は花びらがバラバラになって落ちるために、目立たない。 |
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満開の雌花 | 花びらが落ち出す | |||||
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花びらが落ちる前から、子房が小さく膨らんでいる。 |
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雌花は終了 | 子房上位 | |||||
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多くの雄花は、雌花が咲き終わってから開花する。 花びらの付け根よりも上に子房があるのが、子房上位。 |
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枝先にひとつ付く実 | 若い実の断面 | |||||
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左の写真は8月下旬で、実の大きさはかなり大きくなっている。 右は9月初め。まだ青いのに落ちてしまう実があり、縦・横に切ってみた。 種子は充実してきているが、まだ小さい。事典によると子房は2〜5室とあるが、5つが多いように思う。 このあと種子はもう少し大きくなって、冒頭の写真のように割れて散乱する。 小石川植物園の木を見ている限りでは、ひとつの花序にひとつしか実がならないが、小学館のフィールドガイド『日本の樹木』には鈴生りの写真が載っていた。 後日、京都植物園で、複数の実が生っているのを確認した。 |
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京都のシナアブラギリ | 種子のアップ | |||||
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![]() 種子を取り出してきれいに洗ってみると、表面にたくさんの突起がある。 |
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名前の由来 シナアブラギリ Aleurites fordii | ||||||
シナアブラギリ 支那油桐 : |
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種小名 fordii : 人名に由来する。 | ||||||
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Aleurites アブラギリ属 : 小麦粉に由来する | ||||||
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シナアブラギリ ← アブラギリ 油桐 Aleurites cordata |
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キリの幹 | シナアブラギリの幹 | |||||
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参考 サンゴアブラギリ | ||||||
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サンゴアブラギリ | 肥大した幹 | |||||
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独特の形の葉 | サンゴアブラギリの花 | |||||
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右の写真がアカサンゴかどうかは不明。(沖縄 那覇のおみやげ店で) 地中海のベニサンゴはギリシア時代から装飾用に用いられているという。 |
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、 園芸植物大事典/小学館、 週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、 植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、 フィールドガイド・日本の樹木 上下/小学館、 Harvard University Herbaria のホームページ、 春日健二氏のホームページ「日本の植物たち」、 ギャラリー「Kashiko」/品川区南大井 |
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