ギンコウボク 銀厚朴
Michelia x alba DC. (1818)
[ Magnolia x alba Figlar (1998) ]
科 名 : モクレン科 Magnoliaceae
属 名 : オガタマノキ属  Michelia Linn. (1737)
中国名: 白蘭
英 名: white champaca
原産地 : 中国南部
用 途 : 観賞樹、公園樹として植えられる
香り付けのための食品添加物として使われる
日本では主として鉢植えにされる
撮影地: 中国


中国雲南省大理市 旧市街の観光地、「古鎮」の城門の近くに並ぶレストランの中庭に植えられていた。

旧市街は城壁で囲まれている 何軒もの店が並ぶ

余談であるが、このレストランでは「花の掻き揚げ」が出た。

店頭に並べられた食材
ピンクのバラ、スカシユリの花、カンゾウのつぼみ など。
 
特別 花の香りがするとかではないが、パリッとしていて、とにかく珍しくて・・・。


樹形 高さ 6m
手前にある灌木は別の木である。 高さ 10m位になるという。

枝振り 葉の様子
中庭で日当たりが悪いせいか、細い枝がたくさん出ていた。
葉は大きく、長いものは 30cm。

つぼみ 開きかけ

花の様子

 
花弁の数が多いと思ったら、八重(二重)であった。 事典によると花弁の数は9 となっているが、本種は 8枚の八重であった。
漂うほどではないが、顔を近づけると良い香りがした。

名前の由来 ギンコウボク Michelia x alba

ギンコウボク : 
現地では 単に「ギンコウボク」と教えられたので、「銀香木」だと思っていたら、意外にも「銀厚朴」であった。

本種は交雑種で、その片親である「キンコウボク」の花が 黄色であるのに対して、花の色が白色であるところから 名付けられた。
種小名 alba : 白色の の意味
種小名の前にある 「x」 は、交雑種(交配種)であることを示している。
Michelia champaca Linn. と M. montana Blume との雑種ということだ。

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キンコウボク
Top Tropical のホームページから

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写真の利用が可能である。

写真の花は赤みが掛かっているが、黄色を「金」。「厚朴 hou pu」は、「シナホオノキ Magnolia officinalis」 の中国名であり、花が黄色いホオノキを意味する。

ホオノキの葉は薄手だが、中央脈がしっかりしていて、垂れることはない。葉の形を調整して、それぞれがしっかりと日の光を受けている。
ホオノキ Magnolia hypoleuca

中国名 : 銀蘭
モクレン の中国名が「木蘭 mu ran」であるため、白いモクレンの意味で使われている。
キンコウボク は 金蘭 。 なお現在 中国で使われている「蘭」の字は、「羊」から「縦棒」を取った略字である。

Michelia 属 : 人名による
イタリアの植物学者 ミケーリ Pier Antonio Micheli (1679-1737) を顕彰したものである。
フィレンツェに生まれて後にピサ大学教授となった。 キノコの研究で大きな業績を残した人物である。
Michelia属は、近年の分類では モクレン属 (Magnolia属)に統合されているが、クロンキスト・エングラーの分類では独立させている。

オガタマノキ属 : 招魂(オキタマ)の木 の意味
オガタマノキ Michelia compressa Sarg. は、神事で サカキ(ツバキ科)、シキミ(シキミ科)とともに用いられて、境内にも植えられている常緑高木である。
そこで、「魂を招く木」、招魂:オキタマ・オギタマ が転訛して「オガタマ」になったという説がある。
ほかにも、小香玉:オガタマ、拝魂:オガミタマ から、という説も。

小さな花だが さわやかな芳香がある。
オガタマノキ

 小石川植物園
モクレン科 Magnoliaceae : 人の名前に由来する
17世紀フランスの植物学者で、地中海に面するモンペリエの植物園園長であった、ピエール・マニョール(1638-1715) を記念したものである。

参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎
        神戸市立森林植物園の説明板
        GRIN Taxonomy of Plants/アメリカ合衆国農務省
        Top Tropical のホームページ
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