![]() |
|
|||
科 名 : | サガリバナ科 Lecythidaceae | |||
属 名 : | パラダイスナットノキ属 Lecythis Loefl. (1758) |
|||
和 名 : | サルノツボ (仮名) | |||
現地名 : | Monkey pot tree | |||
原産地 : | 中東から東南アジア、マレーシア | |||
用 途 : | サルの食用 ? |
|||
撮影地: | シンガポール![]() |
シンガポール植物園には大きな木が2本あり、その実の直径は20cm以上あった。また、簡単な解説板も付いていた。 アメリカネムノキ ( Albizzia saman) をモンキー・ボッド(pod:豆などの鞘のこと) と呼ぶので混乱していたが、こちらはまさに「ポット」。 鈴のような形をしている。 下部にうっすらと線がはいっているが、これが落ちる前の底蓋である。 この「木に実が生っている状態で蓋が取れてしまう」という点が、モンキー・ポットの名前の由来に関係している。 |
|||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
|
|||||||||||
幅は 約25mもある。道の奥のベンチと較べると大きさがわかるかも知れない。 |
|||||||||||
株立ち状態の幹 | 幹の様子 | ||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
解説板 | |||||||||||
解説板には、 「ブラジルナットノキやホウガンノキに近縁である本種は、ベネズエラやブラジルの原産である。一般名も学名も、大きな木質の果実に由来している。(lecythis = 油壺 )。果実の「蓋」が落ちると、猿が手を入れて種子を取る。」 とある。 |
![]() |
||||||||||
|
|||||||||||
幹の様子 | 新緑の様子(1月) | ||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
花 | できたての実 | ||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
|
|||||||||||
花の構造は同じサガリバナ科の「ホウガンノキ 砲丸の木」とそっくりである。 中央の紫色の濃い部分は「U字型」に湾曲しており、両面に雄しべがたくさん付いている。 右下は、それを手前に開いた状態である。 雌しべは花の中心にあり、受粉すると上右のように円形の果実ができる。 |
|||||||||||
名前の由来 Lecythis ollaria | |||||||||||
和 名 なし (仮名 サルノツボ) |
|||||||||||
|
|||||||||||
種小名 ollaria : | |||||||||||
|
|||||||||||
Lecythis パラダイスナットノキ属 : | |||||||||||
|
|||||||||||
シンガポール現地名 および 英語名 Monkey pot: | |||||||||||
|
|||||||||||
サガリバナ科 Lecythidaceae: | |||||||||||
|
|||||||||||
サガリバナ科の一種 | |||||||||||
名札がなかったので種を特定できていないのだか、ガイアナの首都ジョージタウンの植物園で、パラダイスナットノキ属、あるいはそれに近い樹木を見かけた。 |
|||||||||||
|
|||||||||||
|
|||||||||||
|
|||||||||||
花の詳細 | |||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
|
|||||||||||
|
|||||||||||
ブラジルナットノキの繁殖方法 | |||||||||||
本項に何度も名前の出た、ブラジルナットノキ Bertholletia excelsa はパラダイスナットノキ属に近い、ブラジルナットノキ属にただ1種の植物である。 事典によると ブラジルナットノキは大型の木で、45mにもなるという。 Bertholletia excelsa Humb. & Bonpl. (1808) 2008年4月、ニューヨーク植物園の特別展示で、偶然にもブラジルナットノキなどの展示を見かけた。 ほかにも、Wikipedia や著作権フリーの投稿サイトにあった写真を掲げておく。 |
|||||||||||
ブラジルナットノキの実 | |||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
果実の大きさは15cm程度と大きくなく、10~25の種子が入っているそうだ。 左側が1年以上かけて完熟して落ちた実。穴は種子の大きさよりも小さいため、サルに食べられることがない。 また殻が非常に固いために、割って食べることもできない。 右側は、展示のために実に「窓」を開けて、中が見えるようにしたもの。 |
|||||||||||
ブラジルナットノキの種子と 皮をむいたナッツ | |||||||||||
![]() |
![]() |
||||||||||
葉、果実、種子の拡大図 | 果実の中の種子 | ||||||||||
![]() |
![]() 果実のサイズが小型であることがわかる。 |
||||||||||
ブラジルでは、1万5千年前の南米先住民の貝塚から、ブラジルナッツの食べかすが見つかっているということで、いかに古くから食用にされていたかがわかる。 |
|||||||||||
|
|||||||||||
こんな硬いからに包まれていたのでは、繁殖のしようがないように思えるが、研究者が答えを見つけている。 「アグーチ」と総称される耳の短いウサギのような動物(ネズミ目または齧歯目)がおり、丈夫な歯でブラジルナットノキの実を囓って穴を開けて、おいしい種を食べるのだが、後で食べるために地中に種子を埋めておくそうだ。 そして、アグーチが食べ忘れた種子から芽が出るという仕掛けである。 |
|||||||||||
|
|||||||||||
ニューヨーク植物園の 特別展示より (許可は得ていないが「撮影禁止」ではなかったので) |
|||||||||||
ブラジルナットノキは「アグーチ」がいることを知っていて、こんな硬い実を作ることにした訳ではないであろう。 この「しくみ」が完成するまでの経緯を知りたいものである。 例えば、 |
|||||||||||
|
|||||||||||
しかし、穴が開いてサルに食べられてしまう「モンキー・ポット」でさえ、今日まで生き延びているわけであるから、必然性はないわけで、食べられる以上の 大量の種子を作っている という事であろう。 |
|||||||||||
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、 週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、 植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、 羅和辞典/田中秀央/研究社、 Wikipedia、 ニューヨーク植物園の特別展示 |
|||||||||||
世界の植物 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ |