インドセンダン インド栴檀
Melia azadirachta Linn. (1753)
SENEGAL
科 名 : センダン科 Meriaceae
属 名 : センダン属 Melia Linn . (1737)
異 名 : Azadirachta indica A. Juss. (1830)
ウォロフ語: nim, neem, dimi buki
原産地 : インド
用 途 : 緑陰樹
抗炎症薬、 解熱剤、 抗マラリア剤


もともとはアフリカには生えていない植物である。葉が"びっしり"と茂って日陰を作るので街路樹として、また干魃に耐えるために森林再生用として、おそらくフランス統治時代に移入されたものであろう。
 
ダカール市内でもいたるところに街路樹として、またベンチや駐車スペースの緑陰樹として植えられている。

幹の直径 約 60cmの大木。樹高は押さえられている。


駐車スペース
常緑。写真の樹高は 約 4.5m インドセンダンの葉

←ダンテック病院 眼科の中庭に植えられていたもの。樹形は整えられている。
葉は昔から、マラリア、水腫、リューマチの伝統的な薬として使われている。
用法は『セネガルの薬用植物』によると、水1リットルに30gの葉を入れ、30分間煎じたものを1日500cc飲用する。 となっている。
 
また最近、このニームの実を搾った液が農薬として注目されている。散布するとまったく虫が付かないそうだ。化学薬品ではないため無農薬栽培者には朗報であるが、残念ながら現在のところ、厚生労働省の認可が下りていない。
 
花 と 実

海岸沿いの街路樹

独立広場の街路樹

幹 これは直径 約25cm ホテルの鍵とニームの実


ダカール大学構内 街路樹の剪定作業



刈り込むというよりは、鉈でたたき折っていた。


ニームの木陰で昼寝する犬は無防備この上なく、そばを通っても ピクリともしない6匹であった。
「みんなで寝てれば怖くない!?」
名前の由来 インドセンダン Melia azadirachta
 
インドセンダン
: インド原産のセンダンの意味。
 
種小名 azadirachta : 不明。
 
Melia センダン属 :
葉の形が似ているトネリコ属に対するギリシア名、Melia に由来するという。 (ちなみに、トネリコ属の学名は Fraxinus Linn. である。)
アジア南部とオーストラリアに約10種が分布する。
日本には「センダン」だけが分布している。
 
 
インドセンダン 
 
 センダン (栴檀) : Melia azedarach
Linn. (1753)
古名 : オウチ、アフチ、アウチ  漢名 : 楝(レン)
四国、九州、小笠原、南西諸島、台湾、中国から広く西南アジアまで分布する。
センダンの由来には2つの説がある。
 
@ 5・6月に薄紫の花が咲き、秋にたくさんの実が鈴なりになり、落葉後も残って黄色く熟す。これを、連ねた数珠に見立ててセンダマ(千珠)と呼んだものが転訛した、という説。/『萬葉古今動植正名』/山本章夫
A 同じく実を「センダンゴ(千団子)」と呼んだものが短くなった、という説。『木の名の由来』/深津・小林
 
いずれにしても大きな違いは無い。
 
種小名 azedarach の意味はこれも不明である。
     インドセンダンと似ている。
 
アフチの名は古く万葉集にも詠まれている。由来は上記『木の名の由来』では、「淡藤(アワフジ)の意味 という説が正鵠を射ているのでは」 としている。
これはセンダンの花が上品なフジ色をしているためで、緑の葉のあいだに咲く花は、姿も上品である。
 
枝振り 涼しげなセンダンの葉
インドセンダンとは、樹形・枝振り・葉の密度・葉の形 など、すべてが異なる。
センダンの花  奄美大島北部 (2007年4月7日)
今年こそセンダンの花を、と思っていた矢先 春の奄美の旅で思いがけずに見ることができた!
東京に較べて1か月半も早いが、一部で咲き出していた。
黄色い実 (センダマ あるいは センダンゴ)

この写真は 11月19日。
まだ少しだけ葉が残っている。

大分 佐野公園
高知城公園のセンダン 11月22日

ちなみに「栴檀は双葉より芳(カンバ)し」という諺があるが、この栴檀はビャクダン科の「ビャクダン(白檀)」のことである。
センダンの花にも芳香がある。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        木の名の由来/深津 正・小林義雄
世界の植物 −植物名の由来− 高橋俊一 五十音順索引へ