ニチニチソウ 日日草
Catharanthus roseus G.Don (1836)
← Vinca rosea Linn. (1753)
 


SENEGAL
別 名 : ニチニチカ 日日花
科 名 : キョウチクトウ科 Apocynaceae
属 名 : ニチニチソウ属
  Catharanthus D.Doon (1836)
英 名 : Madagascar periwinkle
rose periwinkle
原産地 : 世界中の熱帯地帯に産する。
用 途 : 耐寒性がないため日本でもは越冬せず、夏の1年草としておなじみである。熱帯では茎が木質化する。
矮性やほふく性の園芸品種も作られており、色もピンクの他に、紅色、サーモンピンク、白色、白の中心が赤いものなどがある。
 →参考写真

様々なアルカロイドが含まれており、最近は製薬の原料として利用されている。
ダカール大学 付属植物園に植えられていたもの。

リンネは 『植物の種(1753)』 で、ニチニチソウを 「ツルニチニチソウ属」 として "Vinca rosea" と命名した。ツルニチニチソウ属 Vinca は常緑のつる植物を主としたグループである。
これを George Don (1764-1814) がニチニチソウ属 Catharanthus に分類し直したが、現在でも、本種をツルニチニチソウ属に含める分類学者もいる。
 → 参考 Vinca
 
 参考写真 セネガル以外のもの

このほかに、肌色のものを見たことがある。
 
名前の由来 ニチニチソウ Catharanthus roseus
 
ニチニチソウ
: 毎日新しい花に咲きかわるため。
と 説明している事典が多い。「一日草」ではなくて「日日草」であるから、この説明でも間違いではない。しかし他の多くの植物に関しても、毎日新しい花が咲くのは日常的なことであり、この花ならでは、という命名あるいは解説ではないような気がする。早い者勝ちというわけか。
 
実際にニチニチソウを観察してみると、たとえ小さな一株であっても枝分かれしてしていて、多くのつぼみがあり、確かに毎日新しい花が咲いていく。花は日没後、夜半までには咲いてしまって、次の朝には「ずっーと前から咲いてますよ」といった顔をしている。
それぞれの花は約3日間、開閉することなく咲き続け、まだ ピン としているのに落下する。
 
「日々咲き続ける」ので「日日草」という印象を受けた。
Catharanthus カタランツス属 :
純粋なという意味のギリシア語 katharos と花の意味の anthus を合成したもの。
G. Donが、なぜ「純粋な花」としたのかは不明。 世界に5種程度。
種小名 roseus : 「バラ色の、淡紅色の」という意味。
ピンク色の花に由来する。
リンネが名付けたrosea は女性形の語尾変化であったが、新しい属名Catharanthus が男性名詞であるため、roseus に変化したものである。
 
 参 考
 
Vinca
ツルニチニチソウ属 :

結ぶという意味のラテン語 vincioに由来するというラテン名称、vincapervinca が短くなったもの。
この植物の長いしなやかなつるを、花輪の作成に用いたところから名付けられた。  
ヨーロッパから西アジアにかけて、世界に12種程度。
Vinca major Linn. ツルニチニチソウ

小石川植物園
私の好きな花のひとつである。
 
この種小名 major は「より大きな、主たる」という形容詞であるが、ヒメツルニチニチソウVinca minor と「対(ツイ)」で名付けられたものと思われる。
 
種小名 majorだけに注目すると、形態や生態の特徴を捉えておらず、抽象的で適切な命名とは言えない。しかし学名はあくまで「属名と種小名」のペア(二命名法)で意味をなすのであるから、Vinca majorが「オオツルニチニチソウ」、Vinca minorが「ヒメツルニチニチソウ」と考えれば納得もいく。
 
そんなこととは関係なく、紫から薄紫に変化するツルニチニチソウの花は、つややかな葉と相まって極めて美しい。
ねじれた花びらは、まるで風車(カザグルマ)が廻っているようだ。
実際にクルクル廻る花があったらおもしろいが、あり得ないこと。
 
動く植物といえば代表選手は"オジギソウ"と食虫植物であるが、あまり知られていないのが"マイハギ(舞萩)"である。
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        図説 花と樹の大事典/植物文化研究会
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎
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