セイタカビロウ  背高ビロウ
Livistona rotundifolia Mart. (1831 or 1838)
← Corypha rotundifolia Lam. (1786)
科 名 : ヤシ科 Arecaceae または Palmae
属 名 : ビロウ属 Livistona R. Rr. (1810)
別 名 : マルバビロウ、ジャワビロウ
原産地 : インドネシア、マレーシア、フィリピン
用 途 :
 
熱帯地方では街路樹などに使われる。
若葉は食べ物の包み紙として、古い葉は屋根葺き材として使われる。
幹は建築材料や工芸品に利用される。
撮影地 :
インドネシア共和国
 

ボゴール植物園は 1817年にオランダによって開設された。

初期のエリアの西側にある大通りのひとつに、本種の並木がある。
25mもあろうかという大木の間に、若い木が植栽されていて、髭状(網状)になった「葉鞘」や 「葉柄」のトゲを間近に見ることができた。

残念ながら、花や実の写真はない。


日本の桜並木では、年月が経って大木に傷みが出てた時に、養生や治療にばかり力を入れることが多いが、この並木のように世代交代を考えて、間に若木を植える方が重要だと思う。
例え立派な古木を間引きしてでも ・・・。


高 木 若 木
古い葉は垂れ下がってくるが、葉は形を保っている。
 
古い幹 若い幹
幹の太さは 共に30cm弱。 
どのくらいの期間、茶色が残っているのかは不明。
 
葉鞘の詳細
「葉鞘」とは、葉の基部が鞘(サヤ)状になって茎を抱いている部分の名称である。単子葉植物に多い。 シュロの箒はこの部分。

ヤシ類では面状のものと、本種のように網目状になるものがある。
 
手入れが行き届いていて、古い葉の葉柄は取り去られている。
ヤシノキに茶色の古い葉がたくさん残っているのは見苦しいが、高い木の場合はしかたがない・・・。

葉の様子 小葉の先端

鋭いとげ
完全に「武器」になる。  ゾウやサイの顔もある・・・。

名前の由来 セイタカビロウ Livistona rotundifolia
 
和名: セイタカビロウ 背高檳榔
ビロウは高くても 15m程度であるが、本種は30mにもなるところから名付けられた。
種小名 rotundifolia : 丸い葉の という意味
開きたての若い葉が、円形であるため。 古くなると 垂れてくる。
Livistona リビストナ属 : 人名にちなむ
スコットランド エジンバラの近くにある、リビングストンの男爵 P. Murrey ( ? - 1671) にちなむ。  『園芸植物大事典』
男爵についての詳細は 不明。

日本から東南アジア・メラネシア・オーストラリアにかけて、28種がある。
和名 ビロウ属 : 
本種と同じ属である「ビロウLivistona chinensis var. subglobosa は、南日本、南西諸島や小笠原諸島に生え、日本を代表するヤシのひとつである。

古くは「アジマサ」と呼んだようだが、『古事記』や『日本書紀』、平安時代の『延喜式』(927年撰上)で「檳榔」の字が当てられてしまい、別種「ビンロウジュ 檳榔樹」 Areca catechu と混同されることがある。
 
ビロウ
足摺岬 5月中旬
小葉の先が長く二つに分かれており、特にその部分から垂れ下がる。
黄色く見えるのは花である。 高さはせいぜい5m。
 
ヤシ科 Arecaceae : 
ヤシ科の基準属 Areca に由来して ヤシ科は Arecaceae と呼ばれるが、Palmae も使われる。
 
『園芸植物大事典』によると Areca は、インド南西部マラバル地方での呼び名 areec によるといわれている。
 
約 200属 約 2,680種があるそうだ。
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press
        園芸植物大事典/小学館
        ボゴール植物園の説明板
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎
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