ファグラエア・ベルテロアナ
Fagraea berteroana A. Gray ex Benth. (1857)
科 名 : リンドウ科 Gentianaceae
旧科名:  マチン科 Loganiaceae
属 名 : ファグラエア属 Fagraea Thunb. (1782)
現地名 : pua kenikeni (ハワイ)
英語名 : Cape jitta
原産地 : マレーシア、パプアニューギニア、オーストラリア北部、パラオ、フィジー、サモア、トンガ
用 途 : 庭園樹、公園樹。 レイに使う。  香水を取る
撮影地: ハワイ

南太平洋諸島からハワイに導入されたもの。 撮影は 2012年6月に ハワイ島で。
樹 形
ハワイ島 ヒロの C.&P. Products で。 高さ 約 3m。 手前の鉢類は別。

葉 と つぼみ
ゴムノキの葉を薄くしたイメージ。 ただし大きさは 約 15センチで 小さい。

つぼみ と 萎れた花
花筒(花冠筒部)の長い トランペット型。

開花の様子
白かった花が黄色くなる頃には 実ができはじめている。 最後には橙黄色になる。 

花粉を出す雄しべ
雌しべの周りに硬くまとまっていた雄しべが くずれた形になっている。

丸い実
これで直径 25ミリ。 つるつるだが 水をはじかず、水滴がへばり付く。

色付いてきた 実
ひとつの花序に多くの花が咲くが、実ができて熟すところまで残るものは少ない。
完 熟
食べられるという話は聞かなかった。 鳥も食べないようだ。 細かい種子がたくさんはいっている。


名前の由来 Fagraea berteroana

pua kenikeni プア・ケニケニ :
ハワイ語で 「10セントの花」の意味。 まさか花ひとつが10セントもしないだろうから、レイ 1本が 10セントだったのではないだろうか。

プルメリアもそうだが、良い匂いがするので レイを首から外したあとも、部屋で香りを楽しめる。

種小名 berteroana : 人名による
『植物学ラテン語辞典/至文堂』に 「イタリアの C. G. Bertero (1789 - 1813) へ献名した Berteroa属」が載っていた。 ベルテロア属はアブラナ科だが植物事典には載っておらず、GRIN のデータベースにも 一種だけ 登録されていた。 ベルテロ氏の詳細も不明。
 
Fagraea ファグラエア属 : 人名による
命名者チュンベリー(1743-1828)の友人、植物学者のファグレウス (1729-97)を顕彰したもの。 ファグレウスの詳細については不明。
 
リンドウ科 :
漢名 龍胆( long dan )の転訛。
龍胆は、リンドウの根が 龍の胆のように苦い(という喩え)から。
日本で言えば「熊の胃」だろう。
 
Gentianaceae
属名としては トゥルヌフォールが立てていたものを、リンネが『自然の法則』(1735) に記載した。
リンドウの薬効は古代エジプト時代から知られていたようで、その強壮効果を発見したとされる、紀元前500年頃にアドリア海沿岸にあった イリリアの国王 Gentius ゲンティウス(紀元前2世紀)にちなんで命名された。

参考文献:ハワイ魅力の花図鑑/2007/武田和男/書肆侃侃房

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