ランブータン
Nephelium lappaceum Linn. ( 1767 )
科 名 : ムクロジ科 Sapindaceae
属 名 : ランブタン属 Nephelium Linn. (1767)
中国名: 紅毛丹 hong mao dan 、韶子 shao zi
英語名 : rambutan
原産地 : マレーシア、インドネシアといわれているが、正確にはわからない。 中国南部も含まれるようだ。
用 途 : 果物として生食、ジャム・ゼリー・缶詰などに加工する。 工業的にも重要で、食用油やセッケン製造に使われる。 
ランブータンの根、樹皮、葉は医薬品や染料
として使われる。
撮影地: ハワイ ハワイ島

果物の女王はマンゴスチン、王様はドリアンと言われているので、ランブータンは果物の「王子様」と呼びたい。 皮が剥きやすく、みずみずしい果肉はライチよりも厚いが、種皮から剥がれにくいきらいがある。 そして ライチ が「お姫様」 だろう。


ランブタンは東南アジアでも、熱帯の長期間にわたって雨が降る地域が適していて、亜熱帯地方での栽培は向かないそうだ。 ボゴールや昆明の街で売っていたのを買って食べた事はあったが、実際に木に生っているのは見たことがなかった。
2012年のハワイ植物園めぐりで、ほんの少しだけ残っていた果実を見る事ができた。 ハワイ島東部は雨が多い地域。 ヒロ市から北に20キロにある 「ワイエア・アグリカルチャル・グループ」の農園では、わずか数本ではあるがランブタンが栽培されていた。

樹 形                  2012.6.22
高さ 4m。 通常で10m以上、野生種では30mにもなる高木だが、農園では脚立で手が届く高さに抑えている。 

残っていた果実は数個のみ。 ただし 新たな花が咲いていた。 この木は 年に2回 結実するという説明から納得できる。

幹の様子
本来は直立した樹形になるはずだが、枝分かれが多いのは剪定した結果だろう。

葉の様子

新しい花序

ランブータンの花序 ムクロジの花序
同じムクロジ科なので花序の形は似ているが、ランブータンは萼のみで花弁がない。 雄花、雌花、両性花がひとつの木に雑居しているそうだが、写真を撮った時には そこまで気がつかなかった。

また、それぞれの花しか咲かない 雄株、雌株もあるそうだが、農園に植えるのは、雑居性の木を挿し木や接ぎ木で増やしたもの。

花の詳細 
が雌花、その他は両性花で、雄花は写っていない。
雌しべの柱頭の先はふたつに分かれ、子房がふたつある。 

ごく 若い実
最初は両方大きくなりかけるが、すぐに片方は成長しなくなる。

若い実

熟した実

 昆明の裏道で 女王・王子・姫のそろい踏み!

マンゴスチン     ランブータン      ライチ
長径 5センチ。 果実は追熟が効かないために樹上で熟させる必要がある。 また痛みやすいので必ず「果軸ごと」売られている。 このため、日本への「輸入」は極めて少ないようだ。


半透明の食べる部分は、仮種衣。 この果実は 果肉(仮種衣)の実離れが悪かった。 

名前の由来 ランブータン Nephelium lappaceum

ランブータン : 毛 の意味
ランブタン とも言う。 
rambutan はマレー語の現地名で、意味は「髪の毛のようなもの」。
握っても痛くはないが、かといって 柔らかくもない。 かなりカールしている。

種小名 lappaceum : やはり 毛に由来する
やはりこちらの方が学術的で、意味は「鉤状の軟毛がある」。

ゴボウの学名が Arctim lappa Linn. (1753) であることから、「ゴボウの(花の)ような」とする説明もあるが、単純に前記の意味でよいだろう。
ゴボウの花

Wikipedia より
総苞片の先端が 鋭い鉤状になっている。

Nephelium 属 : 雲 の意味?
ギリシア語の nephele 雲 に由来する という説があるが、何が雲なのか?はっきりしない。 まさか 仮種衣を雲に喩えたわけではないだろう。
一方で、「ゴボウの古名」に由来 とする説も書かれている。
ともに 『園芸植物大事典/小学館』より

ムクロジ科 Sapindaceae : 
世界の熱帯から亜熱帯を中心に、約150属 2,000種がある。
ムクロジについては、『小石川植物園の樹木』 ムクロジを見ていただきたい。

参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、
        図説 花と樹の大事典/植物文化研究会 編
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