ファグラエア・フラグランス
Fagraea fragrans Roxb. (1824)
科 名 : リンドウ科 Gentianaceae
旧科名:  マチン科 Loganiaceae
属 名 : ファグラエア属 Fagraea Thunb. (1782)
現地名 : tembusu (シンガポール、インドネシア)
テンブス の由来は不明
英語名 : ironwood : 材が硬いため
原産地 : インド、インドシナ半島、シンガポール、インドネシア、パプアニューギニア、フィリピン
用 途 : 庭園樹、緑化樹、緑陰樹
硬い材を家具・床材・造船に利用する
撮影地: シンガポール

植物園の広場の真ん中に その開園(1859年)以前から生えており、遺産木となっている。 5ドル紙幣の裏側に使われているために、シンガポール国民に最もよく知られた木である。 

紙幣の一部を掲載。 横に長く伸びた枝がこの木の トレードマークだ。

紙幣とは逆向きから              2009.1.16
ヘリテイジ・ツリーの説明板によると、
極めて痩せた土地でも大木となる。 枝を切らずにおくと、古木ではしばしば低い位置の枝を大きく伸ばし、先端で上向きに伸びる。 材が強靱なために、枝の重さを支えることができる。 クリームのような香りの花を付け、夕方に蛾を誘う。 果実は小さなオレンジ色の液果。

低い位置で張り出した大枝
子供たちはこの枝で 木登りの初体験をする。 お見合い写真も ここで撮影?

別のテンブス こちらも遺産木
ヤシ広場の縁にはまっすぐ伸びた大木があり、遺産木のひとつとなっている。
細い木の 幹の様子
直径 40センチ程度。 カキノキやコナラのように樹皮が縦にひび割れる。
葉の様子
細い枝の先に 明るくつやのある葉を多数付ける。 長さ15センチ。

花                 2009.1.16.
両性花でサイズは 約3センチ。

まだ できたての実
このあと 黄色から赤へと色付く。 鳥が好んで食べるそうだ。


名前の由来 Fagraea fragrans

種小名 fragrans : よい香りのする
ほんのり甘い香りだそうだが、高いところに咲いていたため私自身は嗅いでいない。 その香りで蛾を誘う。
 
Fagraea ファグラエア属 : 人名による
命名者チュンベリー(1743-1828)の友人、植物学者のファグレウス (1729-97)を顕彰したもの。  ファグレウスの詳細については不明。
 
リンドウ科 :
漢名 龍胆( long dan )の転訛。
龍胆は、リンドウの根が 龍の胆のように苦い(という喩え)から。
日本で言えば「熊の胃」だろう。
 
Gentianaceae : 人名による
属名としては トゥルヌフォールが立てていたものを、リンネが『自然の体系 第1版』 (1735) に記載した。
紀元前500年頃にアドリア海沿岸にあった、イリリアの国王 Gentius ゲンティウス(紀元前2世紀)にちなんで命名された。 リンドウの薬効は古代エジプト時代から知られていたようで、ゲンティウスはその強壮効果を発見したとされる。

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