葉、花ともに美しいとして、国内では温室で育てられている。
トップの写真は、東京都夢の島 熱帯植物館のもの。
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全体像 |
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高いものは 約 4m。 イスやテーブルが小さく見える。
タイ・チェンマイのシリキット植物園。 温室の更に上の軽食堂付近で、リヤカーやゴミもあるところ。
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新芽 |
花の様子 |
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茎(偽茎)の先に花が出るショウガ属と違って、根際から花芽が立ち上がる。
左の写真、真っ赤な新芽が花芽なのかどうかはわからない。
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葉の様子 |

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新葉は特に美しい。
大きいものは1枚の長さが 1m以上になる。
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苞には蝋のようなツヤがあって光っている。
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花 |
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せっかくアップで撮ったが、濃い紫の花は咲き終わった後のようだ。
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満開? |
実 |
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盛りを過ぎると美しくない。実の形は ミニ・パイナップルである。
サイズは 長さ10cm程度。
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名前の由来 トーチジンジャー Etlingera elatior |
和 名 トーチジンジャー : タイマツショウガ 松明生姜 |
自由の女神が持っている「トーチ toach:たいまつ」の形をした花を咲かせる ショウガ科の植物。
英語名のカタカナ読みである。 |
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種小名 elatior : より高い という意味 |
最初にこの名を付けたのはスコットランドの植物学者 William Jack (1795-1822) である。
東インド会社に医者として雇われ、ラッフルズ卿に同行してスマトラに行って植物学を学んだ。
ジャックはハナミョウガ属 Alpinia として分類した。
ゲットウなどは3mになるが、当時知られていたものの中では、本種の大きさが際だったためであろう。 |
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Etlingera属 エトリンゲラ属 : 未確認 |
『朝日百科/植物の世界』によると、エトリンゲラ属は、これまでアカスマ属・ゲアントゥス属・ニコライア属(トーチジンジャー属)とされてきた3属を統合したものである。
『園芸植物大事典』では本種の学名はNicolaia elatior となっている。
エトリンゲラ属を定義したのは18世紀 ドイツの植物学者・医者である、Paul Dietrich Giseke (1741-1796) である。
牧野の『植物学名辞典』には載っていない。
同じ18世紀に Andreas Ernst Etlinger という植物学者がいるので、恐らくは ギセケがエトリンガーを顕彰して立てた属名であろう。 |
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ショウガ科 Zingiberaceae : |
ショウガ科の基準属は ショウガ属 Zingiber である。
学名の由来については『園芸植物大事典』の記述をそのまま引用する。
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「角形の」を意味するサンスクリット語が転訛したもので、根茎にちなむと思われる。inchi (根の意) からのマレー語 inchiver と同起源であるといわれる。 |
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引用はしてみたものの、ショウガ科の植物の根茎が「角形」というのは、納得がいかない。
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参 考 |
ピンク・トーチジンジャー |
シリキット植物園には園の近くに付属のゲストハウス(ホテル)がある。
その庭に 色の薄いトーチジンジャーが咲いていた。
ホテルの廊下の隅に上手に生けられていたものは、普通の赤系統のものだった。
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開く前がいい |
オープンな廊下 |
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白花 トーチジンジャー : Etlingera elatior R.M. Smith |
トーチジンジャーの白花種で、伊豆熱川のバナナワニ園で開花したもの。
撮影したのは 2006年11月。
園長の木村氏がタイから導入したものを、苦労の末についに開花させた、という説明書きがあった。
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白 花 |

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そして、シリキット植物園にも温室内に白花があった。
白花種が発見されたのはタイでも南の方ということである。
シリキット植物園があるチェンマイは高地だから、温室が必要なのであろう。
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本場の白花種 |
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参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
園芸植物大事典/小学館、
週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎、 |
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