トゲバンレイシ 刺蛮茘枝/刺蕃茘枝
Annona muricata L . (1753)
SENEGAL
科 名 : バンレイシ科 Annonaceae
属 名 : バンレイシ属 Annona Linn. (1735)
英 名 : soursop サワーソップ
prickly custard apple
原産地 : 南アメリカ、あるいは西インド諸島 といわれている。
用 途 : 大きな果実は25cmにもなる。中は脱脂綿状の繊維で、甘酸っぱい果汁が含まれている。
生食したり、ジュースにするために、世界中の熱帯各地で栽培されている。

収穫の時期ではなかったためか、あるいはセネガルでは栽培されていないためか、スーパーや市場では見かけなかったため、食べてはいない。
 
樹形 高さ 3.5m トゲバンレイシの葉

 
国立保健医療社会開発学校(ENDSS) の駐車場、2台のマイクロバスの間にに植えられていたもの。
葉は長さ約15cm。長楕円形、革質、表面には光沢があり、とても美しい。

トゲバンレイシの実

上の写真と同じ果実。

バンレイシ属の実は、多くの果実が癒着して一つになったもの。(癒合という)
とげは各果実の雌しべの柱頭部分である。

バンレイシ科は、熱帯から亜熱帯にかけて約130属、約2,300種があるが、バンレイシ属以外には有用種は少ない。

 参考写真 セネガル以外、筆者以外の撮影写真
トゲバンレイシの花
[ Copyright ] Dr. Gerald Carr
(Univ. of Hawaii )

名前の由来 トゲバンレイシ Annona muricata L .
 
トゲバンレイシ : 刺のあるバンレイシの意味。
 
Annona アンノナ属 : カリブ海ハイチ国の地名アノンに由来する。
命名者はリンネで、おそらく彼の使徒がハイチで採取してきたためであろう。リンネは『植物の種(1735)』などで、Anona属として、トゲバンレイシ、バンレイシ他 9種を命名している。
種小名 muricata : 「硬尖面の、硬い突起がある面の」という意味。
     刺のある果実を形容したもの。
 
 
 トゲバンレイシ バンレイシ(蛮茘枝/蕃茘枝)
                     Annona squamosa L .(1753)
バンレイシ科バンレイシ属。 南方の(南方から渡来した)レイシの意味。
原産地はトゲバンレイシと同じく西インド諸島とされている。各果実がイボイボ状に集まっているため、「釈迦頭」の別名がある。
径 7 〜 10 cm。
ダカール大学付属植物園では、高さ80cm程度の幼木を植えたところであったが実はなっておらず、実の実物は見たことがない。トゲバンレイシと違って、その葉は柔らかかった。
 
バンレイシの名は中国人が名付けものであろう。大きさはかなり小さいが、亀甲紋のある自国の「レイシ」に似ていたため、「南方から渡来したレイシ」という意味で「蛮茘枝」と名付けたわけである。
和名 バンレイシは漢名の音読み。
 
参考写真 右の実の色は、通常のものより白いと思われる。
バンレイシの葉 バンレイシの実
ダカール大学付属植物園
葉は薄く柔らかい
[ Copy right ] Dr. Gerald Carr
(Univ. of Hawaii )
 
 バンレイシ レイシ(茘枝) : Litchi chinensis Sonn. (1782)
ムクロジ科 レイシ属 中国南部原産の果物。ライチ。
レイシ (茘枝) の意味は不明。枝分かれして垂れ下がってなる実の様子を表したのではないかと、想像している。
 
レイシの(現代の)中国語の発音は " リーツゥー "( に近い)。ここから属名の Litchi が名付けられ、その英語読みが "ライチ" なのであろう。
 
楊貴妃の好物であったため、唐の玄宗皇帝(在位712〜756)が南部の広東から早馬で長安の都まで運ばせた、という話は有名である。
日本にも古くに伝わり、現在では南九州や南西諸島で栽培されて、デザートとしてよく使われている。
レイシの葉 レイシ(ライチ)の実

大分県 佐野公園の温室で

食べているところは「仮種皮」
 
参考文献 : Index Kewensis Ver.2.0/Oxford University Press、
        園芸植物大事典/小学館、
        週間朝日百科/植物の世界・朝日新聞社、
        植物学名辞典/牧野富太郎・清水藤太郎
        ハワイ大学 Dr. Gerald Carrのホームページ
               (転載許可取得済み)
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