クロキ 黒木
Symplocos lucida Sieb. & Zucc. (1837-1838)
← Laurus lucida Thunb. ex A. Murray (1784)
科 名: ハイノキ科 Symplocaceae Desf.
nom. cons.
属 名: ハイノキ属 Symplocos Jacq. (1760)
中国名: 光亮山礬 guang liang shan fan
原産地: 千葉県以西の本州、四国、九州、南西諸島。海岸近くの照葉樹林に生える。
中国、台湾、フィリピン、東南アジア、インド、ブータン
用 途: 枝葉を燃やした灰から良質の灰汁(あく)が採れ、染色に使われる。
特 徴: 開花するとその年は頂芽が伸びない(隔年伸長・隔年開花)。また 伸長時には同時枝を伴う。
備考: 学名は、アメリカ農務省の GRIN に拠っているが、日本では本種を S. kuroki とする考えが支持されており、以前は標記だった植物園の名札も取り替えられている。


60番通りを歩き始めて少し行った右側、平らな部分に2本が植えられている。左側はメタセコイア林。

樹 形            2013.9.5.
右側には木があり 左側が西なので、光を求めて斜めに生えている。
常緑樹     2013.1.29.
右は 約11.5m、左は高さ 約9m。右側を「個体A」、左を「同 B」とし、以下に掲載する写真で特記無きものは A とする。
ほかではクロキを見たことがないので、これが本来の樹形なのかどうかはわからない。芽吹き・伸長時には周囲の木にも葉が繁っているため、細長く伸びている可能性がある。なお、Aは花付きが良いが、Bはあまり良くない。
幹の様子
確かに黒い。右の写真で 直径 約16センチ。樹皮の所々がはげ落ちて、穴が開いている。枝の両脇には 山形の跡ができる。

隔年伸長・隔年開花
一般的な樹木は毎年枝を伸ばして生長するが、クロキは開花するとその年は伸びず、果実を作ることに専念する。この開花・伸長は枝単位ではなく、個体全体で一斉のようだ。
この伸長様式は、モチノキ属のモチノキやタラヨウでも確認しているが、極めて珍しい生態と言える。
1年目
・頂芽が伸長
  クロキの場合は同時枝を伴う
  ・葉腋に蕾を形成して越年
2年目
  ・開花すると、伸長しない
  ・結実、落果
3年目
  ・伸長 . . .
を繰り返す
なお、個体AとBでは、サイクルが1年ずれている。


1年目 成長サイクル
.2017.3.9    冬 芽 芽吹き   2014.4.13.
左:冬芽は苞芽で、2枚の苞芽鱗片に包まれている。下位の葉腋にあるのは、前年の果序の落ち痕。
右:鱗片がふたつに割れ、中から低出葉が伸び出している。日陰の枝であるため成長は悪く、同時枝は無さそうだ。
同時枝        2019.4.23.
勢いのある枝の場合は、低出葉の腋から3本の同時枝を出すが、2本の場合や同時枝を伴わないことも多い。葉にはわずかに鋸歯がある。
若葉の様子        2007.5.27.
革質 無毛の艶やかな葉。枝の伸びは少なく 8~10cm 程度。しかも2年に一度なので、樹冠の成長は遅い。
枝振り   2023.11.9.
2本ある内の 右の個体の側枝。二次側枝もさらに同時枝を出して分枝するうえに、着葉期間が長いため、葉が密についている。
周りを囲まれているために横に広がらず、陽光を求めて主軸を上へと伸ばしているように見える。
蕾の生長       2013.11.14.
芽吹きから半年ほどで、3本の同時枝も含めてほぼ全ての腋芽から、花序が伸び出してくる。
.2013.10.30 若い蕾 1年生枝    2013.11.1.

若枝には稜があり 葉に流れる。
越冬準備完了      2012.12.22.
成長したが まだまだ硬い蕾。花梗や花柄の長さはごく短い。花芽ではなく蕾の状態で越冬する。


2年目 生殖サイクル
蕾の動き出し以降を2年目とする。

.2012.3.15    膨らんできたつぼみ 萼もクロ      2014.2.28.
当然ながら、年によって また 枝によって成長の違いがある。
小花序には苞葉、小花には小苞がつく。萼は5個で濃い赤紫色。花弁が見えてきたが、これも先は紫がかっている。
.2011.4.5      開花 間近 (B) 花の詳細      2012.4.13.
開花前に花冠から柱頭が突き出る(左)。
花弁が深く切れ込んでいるが、基部ではつながっている合弁花で、子房は下位。右写真の右下の小花はすでに花冠が脱落して、花柱に引っかかった状態となっている。
満 開     2012.4.10.
ひとつの枝全体を撮ったものだが、花はどの部分にもついている。隔年開花は小枝単位ではなく、個体全体で同期しているようだ。ただし、陰になっている部分や左下の部分には、花がついていないところもある。開花しなかった場合にも頂芽は伸びないと思われるが、未確認である。
満 開                2012.4.10.
正面から見ると茎頂付近の花序しか見えないが、横から見ると前年枝のすべての葉腋に花がついていることがわかる。
若い実         2012.5.18.
各花序にできる果実は 1~2個。先端に萼片が残る。
開花・着果した年は、伸長しない。
黄葉して落下              2013.6.18.
毎年、初夏に黄葉・落葉する。着葉期間はかなり長そうだ。しかし左写真の黄葉は例外で、恐らく一昨年の葉だと思われる。
充実した実        2011.7.17.
葉には ごく浅い鋸歯がある。
黒く熟す        2011.10.12.


 
クロキ の 位 置
写真①: F13 ac 60番通り右側

 
名前の由来 クロキ Symplocos lucida
 和名 クロキ : 幹の色による
ハイノキ科には 良質の灰汁が採れる木がほかにもある。事典による幹の色の表現は、ハイノキ:暗褐色、シロバイ:灰褐色、クロバイ:灰褐色または黒褐色で皮目が多い、そしてクロキは黒褐色で滑らか、となっている。
 種小名 lucida : 強い光沢のある
皮質で無毛の葉に由来する。
 ハイノキ属 : 灰を取る木
ハイノキ属の樹木はアルミニウムを多量に蓄積する種が多く、その化合物である「明礬 ミョウバン」が採れる。特にその「灰」は、染色や媒染に適しているので、ハイノキの名が付いた。
 中国名 山礬属 shan fan shu :
礬 とはミョウバンの事で、山に生える明礬 という意味だろう。
 Symplocos 属 :
ギリシア語「symploke 連結している」の意味で、本属のある種に 雄しべが合生するものがあるため、という。
クロキの花を分解したことはないのではっきりしたことは言えないが、クロキは基部で花弁と合着しているようだ。
 ハイノキ科 : Symplocaceae nom. cons.
ハイノキ属 1属からなる。ハイノキ科を立てたのは 18世紀生まれのフランスの植物学者、デスフォンテイン R. L. Desfontaines (1750-1833) 。
チュンベリーが『日本植物誌』にクロキを記載した 1784年頃には、ハイノキ科は発表されておらず、ツュンベリーはクロキを Laurus ゲッケイジュ属としたのだが、Index Kewensis での 科名はクスノキ科ではなく、「エゴノキ科」となっている。

現在支持されている S. kuroki を含めて、クロキの学名の命名の経緯を 調べてみた。
 
クロキ の命名物語
は正名、 は異名、
  図版は主に、Biodiversity Heritage Library より

以前は標題に掲げた Symplocos lucida が主流だったが、現在は S. kuroki が支持されている。その命名の経緯を調べてみた。 まず参考に、ケンペルの記載から。

 学名の出発点『植物の種』(1753) 以前の記載  正名・異名の対象外
名 称 命名者 属名・備考 など
1712  Kuroggi seu Fon Kuroggi  ケンペル クロギ または ホンクロギ
Engelbert Kaempfer (1651–1716) はドイツの医師で博物学者。オランダ商館付きの医師として、1690年8月(元禄3年)から1692年9月までの2年間 出島に滞在した。2回の商館長の江戸参府にも随行して、街道沿いの植物・生物のみならず、日本の歴史・政治・社会についても観察した。
帰国後の1712年には『異邦の魅力』(原題:Amoenitatum Exoticarum )をラテン語で刊行。その第5部 「日本の植物」に多数の植物といくつかの植物画を記載した。名称は和名の読みで載っており、漢字が併記されているものも多い。
赤下線部 1行目の記述は、「クロギ Kuroggi」 または 「本クロギ Fon Kuroggi」 すなわち 真のクロギ。
辞書を引いてもうまく訳せない部分が多いが「漿果は丸い楕円形で、熟すと肉質の紫色となる、頂部には5裂した冠がある」というくだりがある。隔年伸長のことまでは書かれていないようだ。
次に、シーボルトらの初期の記載が「エゴノキ科」であるため、過去のエゴノキ属の記載を挙げておく。
名 称 命名者 属名・備考 など
1700  Styrax  トゥルヌフォール
Josephi Pitton Tournefort (1656-1708)は『Institutiones rei herbariæ』第1巻 p.598 に Styrax属と1種を記載。第2巻の 369図には花と実の図を載せている。それ以前にすでに、レオンハルト・フックス(1501-1566)や ボーアン弟(1560- 1624)、マティアス・ロベル(1560- 1624)、らによって記載されていた。
1737  Styrax  リンネ 『植物の属』
Carl von Linné (1707-1778) はスウェーデンの植物学者・博物学者。
『植物の種』以降の出版、記載  基準日:1753年5月1日
学 名 命名者 備 考
1760  Symplocos  ジャカン  ハイノキ属
Nicolaus Joseph von Jacquin (1727-1817) はオランダの植物学者で、『リンネの方法による植物知識への手引き』(1785)を著すなど、リンネの分類法の後継者だった。ハイノキ属を記載したのは『カリブの植物目録:Enumeratio systematica plantarum : quas in insulis Caribaeis vicinaque Americes continente detexit novas, aut iam cognitas emendavit』p.5 。
雄しべが多数、雌しべは1個のカテゴリーの、花弁が5個の区分に分類されている。p.24 に、S. martinicensis なる種を記載したが、説明文が無いために有効とはなっていない。
1763  科 の概念を示す  アダンソン
Michel Adanson (1727-1806) はフランスの植物学者。リンネとは異なる分類法で『植物の科:Familles des plantes』2巻を出版したが、あまり受け入れられなかった。Wikipediaによると、アダンソンは 65種の形質について各々に複数のクラスを設け、各植物の形質がどのクラスに含まれるかで植物を分類し、その結果から 58の科を設けた。その科は現在の分類学の「目」に近い、という。
学 名 命名者 備 考
1784  Laurus lucida  ムレイ  クロキの最初の記載
May.
-Jun
ツュンベリーの原稿を、引用の許可を得た Johan Andreas murray (1740- 1791) が『植物分類体系:Systema vegetabilis』に、先に発表してしまったもの。
③' 1784  Laurus lucida  ツュンベリー  少しだけ出版が遅かった
Aug
Carl Peter Thunberg (1743-1828) はスウェーデンの植物学者・博物学者でリンネの弟子。1775年に来日、翌年には出島商館長に従って江戸参府を果たし、徳川家治に謁見したが 同年 離日。
1784年に『日本植物誌:Flora Iaponica ~』を出版したが、上記のように学名の先取権はムレイにあるため、命名者としては本来ムレイ単独となるが、 通常は Thunb. ex Murray と標記される。
ツュンベリーは クロキを「ゲッケイジュ属(Laurus)」として記載した。ジャカンのハイノキ属 ②はまだ普及していなかったようだ。
左 p.172:クラス IX は雄しべの数が9個(Enneandria)であり、トップにはクスノキ(現 クスノキ属)が載っている。
クスノキ クロキ
クスノキの撮影:福岡教育大学 福原達人、掲載許可取得済み
クロキの雄しべを数えてみたところ、25個以上あった。
クスノキは3数性で花被片が6、雄しべは3個が3輪について9、さらに4輪目に仮雄しべがあって12個である。そもそも クロキは萼片も花弁も5個で、クスノキと同じグループにするのには無理がある。
1820  Symplocaceae  デスフォンテーヌ  ハイノキ科、保留名
René Louiche Desfontaines (1750-1833) はフランスの植物学者。初めは医師を目指したが、パリに出て植物学に目覚め、後にパリ植物園や自然史博物館の所長を歴任した。 Desfontaines
1825  Symplocos theifolia  D. ドン  クロキの異名
David Don (1799-1841) はイギリス スコットランドの植物学者。
『Prodromus florae Nepalensis 』p.145に記載したもの。theifoliaは チャノキの葉に似た、の意味だが、文献の引用は行っていない。クロキだとすると、③の種小名 lucida に優先権があるので、異名とされている。
学 名 命名者 備 考
1837  Symplocos lucida  シーボルト & ツッカリーニ  GRINでの正名
or
1838
Philipp Franz Balthasar von Siebold (1796-1866) はドイツの医師、植物学者、博物学者。出島の商館医として 1823年から28年まで滞在。
帰国後、ツッカリーニの協力のもとに 1835年から44年まで、逐次『日本植物誌:Flora Japonica, ~』を出版。クロキは第1巻 p.55で、図版は第24図。
図の葉は少し黄色味がかっているが、ツッカリーニが書いたと思われる解説は詳細にわたっており、日本名も Kuroki であり、参考文献として まずケンペルの『異邦の魅力』p.788 ❶が挙げられている(下図)。
ところがツュンベリーの『日本植物誌』からの引用は、p.174 ③' ではなく、Myrtis laevis p.198 である。(下図 緑の下線部、さらに その次の図参照。)
これはいったいどうしたことか?
これが、現在支持されている学名 S. kuroki の命名の有効性に関係してくる。
❸' 参考  ツュンベリー『日本植物誌』p. 198 Myrtis laevis の部分
1784
M. laevis は、雄しべが 20個以上ある Icosandria に記載されており、和名は コヤスノキ となっている。現在この記載はバラ科カマツカとされており、カマツカならば20個の雄しべがある。ツュンベリーはハイノキ属を認識していなかったためか、雄しべが多数あるフトモモ属としたのかもしれない。記載は1種のみ。トベラ科のコヤスノキは雄しべは5本なので、和名は他種と混同したものだろう。
学 名 命名者 備 考
1828  Symplocos lucida  ウォーリッチ  有効な記載ではない
Nathaniel Wallich (1786-1854) はデンマークに生まれ、イギリスの東インド会社など、インドで活躍した外科医・植物学者。多くの植物を採取し、インド協会博物館そのほかに寄付した。1817年からは東インド会社植物園の職員として働き、自身以外の標本を含めて2万種を越える手書きのリスト『Numerical list of dried specimens of plants in the Museum of the Honl. East India Company』(1828~)を作成した。
Wallich


左は
 その1ページ目

Smithonianの
 Biodiversity
  Heritage
   Libraryより
155ページには多くのハイノキ属の種が並んでおり、S. lucida は標本番号 4414 として載っている。
これを正式に記載したのが D. Don の兄、G. Don である。
1838  Symplocos lucida  Wall. ex G. Don  正名の可能性有り
Mar-
Apr
 ウォーリッチ ex G. ドン
George Don (1798–1856) はスコットランドの植物学者・植物採集家。
『A general history of the dichlamydeous plants:~』は園芸家と植物学者のための辞書 および 過去の出版一覧で、4巻からなる膨大なボリュームのデータベースである。 その第4巻 1ページから3ページにかけて 33種のハイノキ属が掲載され、ウォーリッチの⑤の標本リストに基づくものも 11種 取り上げられている。
(Wall. cat. no. 4414.) と明記されているが、そのほかには過去の著作の引用はなく、自生地は東インドなので、ツュンベリーの記載やシーボルトの図とは異なる標本に基づいていることになる。
GRINのコメント欄には、シーボルトの出版⑤よりも早くて、こちらが正名の可能性がある、と書かれている。
学 名 命名者 備 考
1844  Symplocos japonica  A. ドゥ・カンドール  クロキの異名
Alphonse L. P. P. de Candolle (1806-1893) はスイスの植物学者で、ジュネーブ大学の植物学教授を勤めた。国際植物命名規約の草案を作り、1867年 第4回パリでの植物学で「ド・カンドル法」として発行され、現在の規約のスタートとなった。S. japonica は『Prodromus systematis naturalis regni vegetabilis, ~』第8巻 p. 255 に記載。 de Candolle
シーボルト『日本植物誌』⑤ の S. lucida が引用され、それに続けて non Wall. ウォーリッチのものではない、との断り書きがある。
学 名 命名者 備 考
1993  Symplocos kuroki  永益 英敏  新しい命名 正名?
永益 英敏 は 京都大学 総合博物館 教授。
京大の雑誌『Contributions from the Biological Laboratory』第28巻 2号 に「日本のハイノキ科 The Symplocaceae of Japan」を掲載。
p. 240 にクロキを新しい名称 Symplocos kuroki として記載した。
      
S. kuroki に関する最初の引用は ムレイの Laurus luchida ③ とツュンベリーの「日本植物誌」③' に続けて、無効となっていない二つの異名。
S. lucida の引用ではシーボルトの「日本植物誌」⑤の、間違った引用部分を除外している。
記載文の後には2項目のノートがあり、なぜ新しい命名が有効であるかが説明されている。

p.242 から2ページにわたる記載をひと続きにしている。以下に要旨をまとめた。
1. シーボルトとツッカリーニ『日本植物誌』Symplocos lucida ⑤では、ケンペルの「Kuroggi」❶と ツュンベリーの『日本植物誌』③' の中の「Myrtus laevis」が異名として引用された。このため S. lucida の基準となる種(basionym)は、ツュンベリーの Myrtus laevis すなわち、バラ科 Pourthiaea villosa (Thunb. ex Murray) Decne. var. laevis (Thunb. ex Murray) Stapf *となる。
*筆者 注) カマツカ、現在は Pourthiaea villosa Decne. var. villosa
A. ドカンドールが新しく名付けた S. japonica も、命名規約的にはツュンベリーの Myrtus laevis を引用したことになる。
2. Nooteboomは、シーボルトの Symplocos lucida ⑤は ツュンベリーの Laurus lucida ③' に基づいているとしたが、シーボルトが Laurus lucida を引用していない以上、このふたつの名は異なるタイプに対して名付けられた「異タイプ異名」である。
Laurus lucida はクロキの最古の異名なのだが、規約に反する先行同名(earlier homonym) Symplocos lucida が存在するため、その種小名 'lucida' はクロキ属では使用できない。そのため ツュンベリーの Laurus lucida に基づく新たな名称 S. kuroki を提案する。
日本ではこれが受け入れられ、以下の事典で S. kuroki が採用されている。
  朝日百科『植物の世界』1997
  山渓ハンディ図鑑『樹に咲く花』2001
  北隆館『APG原色樹木大図鑑』2016
  ネイチャーガイド『琉球の樹木』2016
また 小石川植物園の名札も、lucida から kuroki に変更されている。
ではなぜ GRIN が S. lucida のままなのか、という疑問が残る。


植物の分類 : APG II 分類による クロキ の位置
クロンキストの分類で、バラ目よりも前にあった ツバキ目・アオイ目・ツツジ目・カキノキ目 などは、APG分類では大幅に位置が変更になり、キク亜綱にまとめられて「目」が無くなったものもある。
ハイノキ科も 以前はカキノキ目にあったが、APGではツツジ目に入れられている。もとはといえば、合弁花が進化の前半にあったのが不自然だったのである。
原始的な植物
 緑藻 : アオサ、アオミドロ、ミカヅキモ、など
 シダ植物 :  維管束があり 胞子で増える植物
小葉植物 : ヒカゲノカズラ、イワヒバ、ミズニラ、など
大葉植物(シダ類): マツバラン、トクサ、リュウビンタイ、ゼンマイ、オシダなど
 種子植物 :  維管束があり 種子で増える植物
 裸子植物 :  種子が露出している
ソテツ 類 : ソテツ、ザミア、など
イチョウ類 : イチョウ
マツ 類 : マツ、ナンヨウスギ、マキ、コウヤマキ、イチイ、ヒノキ、など
 被子植物 :  種子が真皮に蔽われている
被子植物基底群 : アンボレラ、スイレン、など
モクレン亜綱 : コショウ、モクレン、クスノキ、センリョウ、マツモ、など
 単子葉 類 : ショウブ、サトイモ、ユリ、ヤシ、ツユクサ、ショウガ、など
真生双子葉類 : キンポウゲ、アワブキ、ヤマモガシ、ヤマグルマ、ツゲ、など
中核真生双子葉類: ビワモドキ、ナデシコ、ビャクダン、ユキノシタ、など
以前の分類場所 カキノキ目  アカテツ科、カキ科、エゴノキ科、ハイノキ科、リッソカルパ科
バラ目 群 :
バラ亜綱: ブドウ、フウロソウ、フトモモ、など
マメ 群: ハマビシ、ニシキギ、カタバミ、マメ、バラ、ウリ、ブナ、など
アオイ群: アブラナ、アオイ、ムクロジ、など
キク目 群 :
キク亜綱: ミズキ、ツツジ、など
 ツツジ目 ツバキ科、サカキ科、カキノキ科、ハイノキ科、エゴノキ科、ツツジ科
ハイノキ科  ハイノキ属 のみ
シソ 群 : ガリア、リンドウ、ナス、シソ、など
キキョウ群: モチノキ、セリ、マツムシソウ、キク、など
後から分化した植物 (進化した植物 )           
注) 以前の分類とは クロンキスト体系とするが、構成が違うので、APG分類表の中に表現するのは正確ではない事もある。その場合はなるべく近い位置に当てはめた。

小石川植物園の樹木 -植物名の由来- 高橋俊一 五十音順索引へ