山手線が渡る橋・くぐる橋  − 架道橋 (ガード) ・跨線橋 −

神田 → 東京
17. 龍閑河岸 高架橋

現地には高架橋の名称板が張られていないが、『東京市街高架線東京万世橋間建設紀要』の一覧表によって判明している。 龍閑橋と外濠橋との間で、長さは30m弱である。 当初の名称は「龍閑河岸橋」。 

河岸(かし)とは、河川の岸で 舟から人または荷物を揚げ下ろしする所で、そこに立つ市場も指す。 河川に道路が面している場合、道路の向こう側は河岸とは言わない。

1947年の空中写真
      龍閑川                          龍閑河岸高架橋   外濠
           :白旗橋       :龍閑橋   :龍閑橋架道橋

市街線橋梁 立面図・断面図
神田
東京
『東京市街高架線東京万世橋間建設紀要』鉄道省/1920年発行

山手線の内側から 以下のような仮称を付ける。 
  
  
  
  
 : 中央線 2線
 : 山手線・京浜東北の4線
 : 旧 東北本線
 : 新幹線
 : 1919年(大正8年)開通
 : 1925年(大正14年)増線
 : 1956年(昭和31年)増線
 : 1991年(平成3年)開通


A 部分 : 中央線2線 1919年 3月1日開通。

                 山手線内側の様子          2009.12.10
2スパンとも車庫として使われている。

                 中は B部分まで貫通          2011.7.27
前掲の空中写真で分かるように、外濠と道路に挟まれた高架橋は平行四辺形をしている。 アーチも道路に平行で、二期工事として作られた4線を合わせた6線分がひと続きである。 奥に開口が見える。
コンクリート構造なので 斜めにするのは特に難しくはないが、純レンガ造で斜めの開口を作るためには、レンガの積み方がやっかいな 「ねじりまんぽ」という工法になる。

                  外濠側のアーチ            2011.7.27
奥は倉庫だろうか。 右上には外濠の上に架かる高速道路が迫る。


B 部分 計 4 線、 :1925年(大正14年)11月開通
現在の山手線と京浜東北線の4線で、構造はA部と同じくコンクリート・アーチで密着しており、開口も同じ位置である。
開通当初は山手線と京浜東北線で2線を共有、あとの2線は東北本線であった。


              山手線の外側        2011.2.15
龍閑橋ガードの東京駅側の橋台で、 山手線の内側を見ている。

コーナーの御影石はオリジナルのまま健在。 正面のレンガが 橋台側に較べて黒ずんでいるのは火災の影響だろうか?
橋台だけではなく、側面もレンガタイル張りの仕上げがなされており、オリジナルのようだ。 東京駅に近いために、山手線の内側だけでなく、外側も化粧したのだろう。
                  山手線の外側            2011.7.11
東京方向を見ている。 1955年(昭和30年)あたりから、旧東北本線の高架橋で隠れていたのだが、東北縦貫線工事で高架橋が撤去されて側面を見ることができるようになった。 内側と同じようにレンガタイル張りの装飾が為されている。


C 部分 計 2 線、 :1951年(昭和26年)竣工

山手線と京浜東北線を完全分離するために、すでに確保してあった外側の敷地に2線が増線する工事が、1949年(昭和24年)11月に開始され、呉服橋架道橋から 神田駅寄りの千代田町橋高架橋までが完成した後は、東京駅の引上げ線として使われた。 
1956年(昭和31年)に 田町・田端間の全線が増線され、「東京縦貫電車複々線」が一度は完成したのだが、東京駅ホームの数が少なかったために、東京発の東北本線は ほとんどなく、その後も もっぱら東海道線の折り返し、引きあげ線として使われた。

今回の東北縦貫線工事にあたって、外濠以北の高架橋が新たに造り直されている。 桁を架けるための「架設機」には高いタワーがあり、首都高速都心環状線をくぐれないので、この付近の仮設構台の上で組み立てられた。 そのため 「本銀橋架道橋」と「龍閑橋架道橋」などの建設・架設が後回しとなっている。

                東北縦貫線工事現場          2011.11.18
東京駅方向を見ている。 東北縦貫線は ここから手前神田方向に向かって急激な上り勾配となる。 正面に残っている 旧東北本線の高架橋 以南は、そのまま使われる。


D 部分 新幹線 : 1990年(平成2年)頃

              C部から見た 新幹線高架橋        2011.12.22
前掲写真と変わりない。 内側から見えるのは少しだけである。

                    山手線の外側           2011.9.3
                                     龍閑橋架道橋↑
左側はすでに外濠であり、龍閑河岸高架橋部分は短い。



位 置 (終戦後の様子)
龍閑川               1947年(昭和22年)7月の空中写真/国土地理院
       神田駅                外濠                               東京駅

龍閑河岸橋高架橋 データ

位 置: 中央区日本橋本石町四丁目
管理番号:
道路名:
線路の数: 現在 10 線 (下記 A〜D は仮の呼び名)
A: 2線: 中央線
B: 4線: 山手線、京浜東北線
C: 2線: 旧東北本線を撤去、
        現在東北縦貫線の工事中
D: 2線: 新幹線
橋 長: 山手線の内側で 約 28 m
アーチの数:  2つ
竣工年: A: 1919年(大正8年)1月頃
B: 1925年(大正14年) 計6線に
C: 1956年(昭和31年)2線増線
D: 1990年(平成2年)頃 新幹線高架橋
備 考: 旧名称は 龍閑河岸橋
名前の由来:  龍閑川に続く河岸。
 旧町名があったかどうかは不明。

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