園外植物

ディレニア・スッフルティコサ
カンボク ビワモドキ
 (仮名)
灌木枇杷擬き
Dillenia suffruticosa Martelli (1886)
← Wormia suffruticosa Griffiths (1854)
科 名 : ビワモドキ科Dilleniaceae
属 名 : ビワモドキ属 Dillenia L. (1753)
原産地 : マレーシア、シンガポール、
インドネシア(カリマンタン、スマトラ)
現地名 : Simpoh air
用 途 : 花を鑑賞するために栽培される。
撮影地 : シンガポール、インドネシア

昔、まだ ビワモドキ Dillenia indica しか知らなかった頃に、この木の実を見たことがあったのだが、ビワモドキ属の実は萼が閉じて固まったままだとばかり思っていて、この木が同じビワモドキ属だとは気が付かなかった。
 
ビワモドキ カンボク・ビワモドキ
ビワモドキは 10 m以上になるが、本種はせいぜい3m。

同じように育っても兄弟で性格が違うように?、同じ「属」でもずいぶん「生態」が違う。
 
樹 形 高さ 3m
ボゴール植物園には何本もの木が植えられていたので、隣の木と連続してしまっている。
 
ビワモドキ 本種の 根元 と 幹

 
枝振り
特に、日当たりの悪いところでは茎ばかりが伸び、葉と葉の間が30cmにもなってしまう。
枝が太くならない割に葉が大きいので、伸びると垂れ下がってくる。
 
葉の様子

 


ビワモドキに較べると丸い葉は、大きいものだと30cm以上ある。

若い葉はしなやかなために、紙の代わりにラッピングに使われるようだ。
葉の基の部分が連続的に「翼状」になり、茎を抱いている。
翼は閉じた状態であるため、葉の付け根の部分に「深い溝」ができる。

ビワモドキの葉も茎を抱いているが、翼状にはなっていない。
 
ビワモドキ ビワモドキの葉の付け根
 
花 直径7cm
大きい花は 10 cmにもなるらしい。
どちらかというと 下を向いて咲く花は、夕方には花弁が落ちる。


 
雌しべの周りに無数の雄しべ。
咲き終わった後
翌日には5枚の萼が閉じ、部分的に、特にガクの周囲が赤く色付く。
 
若い実の内部 (左 : 萼を取り去った状態)
結実後 何日目かはわからないが、まだ大きくない実の萼を剥いてみた。
雌しべや雄しべがそのままに、濃いピンクの果実が大きくなりつつある。

そして、『シンガポール植物園植物ガイド』(シンガポール日本人会自然友の会)によると 「36日目」に、果実が割れる。
 
裂開した果実
別の花が咲いたように美しい。子房の数は8つ。 また 7つのものも多い。
種子は朱色のころも(種衣)に包まれている。鳥が好んで食べるようだ。
 
開いた子房の尖端には、雌しべの尖端がひとつずつ 残っている。
雄しべの葯も 最後まで残っているようだ。
 
種子
種衣を取ると種子は普通の色で、「巾着」の形をしている。
サイズは、縦 3〜4mm。
 
名前の由来 Dillenia suffruticosa

和名 : なし
学名(種小名)から 「カンボク ビワモドキ」 (仮名) とする。
 
種小名 suffruticosa : 亜灌木の という意味
ビワモドキは10m以上になるが、本種は根際から枝分かれして灌木状となるため。
すでに掲載した「フィリピン ビワモドキ」(仮名)よりも、さらに樹高が低い。
 
Dillenia ビワモドキ属 :
18世紀ドイツの植物学者で、オックスフォード大学の植物学教授となった J. J. Dillenius (1687-1747) を顕彰したものである。『園芸植物大事典』

ビワモドキ属は熱帯アジアを中心に、マダガスカル島からオーストラリア北部まで 約65種があるそうだ。『朝日百科/植物の世界』

花の色は黄色と白がある。
 
 
カンボク・ビワモドキ  ←
 
  ビワモドキ (枇杷擬き) : Dillenia indica Linn. (1753)
インド・タイ・マレーシア原産。
ビワモドキの葉がビワの葉に似ているために名付けられた。

本文中にも何枚かの写真を載せたが、詳しい記述については「ビワモドキ」を見ていただきたい。

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